暮らしに伴うモノ、コト、あらゆる要素について整理し、収納に工夫をこらすことのプロである整理収納コンサルタント 本多さおりさんの自宅兼仕事場をインテリアスタイリスト川合将人さんが訪れました。 本多さおりさんの“ムダを生まない暮らし”とは!?

川合 将人

川合 将人

雑誌や広告、住宅メーカーのモデルルームなどで活躍中のインテリアスタイリスト。近年はコンサルティングや空間演出等も展開。

http://kawaimasato.com/

「今」を焦点にしたものとの付き合い方と収納

動線を意識してものと空間を最大限に活かす

川合

視界を雑多なものに圧迫されない、スッキリとした空間が心地いいです。 職業柄つい、部屋の中のいろんなところを見てしまいますが、本多さんの住まいは随所に収納のヒントが見られますね。 もともと整理好きだったんですか?

本多

そうですね、実家とか職場とか、みんながシェアするスペースの整理を勝手にやっていました。 大学時代、商業施設の化粧品売場でアルバイトをしていたんですが、化粧品は細かい製品が多いから在庫置き場が混沌としてくるんですよ。 それが嫌で、区分けしてラベルを貼ったりしていました。

川合

それはすごい。 周りの方は助かりますよね、お友達になりたいです(笑)。

本多

ムダが嫌いな性格だから、探し物とか、「あれどこ?」って聞かれて答えるとか嫌なんですよ。 それを解消するために場を整えるのが好きでした。

川合

なるほど。 ムダを解消するために整理収納を行う…なるほど。 ご自宅の暮らしを整える際にいちばん苦労されたのは、どの空間ですか?

本多

いまの住まいに引っ越してもっとも時間と労力をかけた空間は押入れです。 結婚して実家から引っ越してきた私には、押入れという空間が初体験。 奥行も活用しながら「取り出しやすさも叶えるには?」という点に苦労しました。

備え付けのふすまを取り外し、ひと目で全体を見渡せる状態に整えられた本多さん宅の押し入れ。天袋には、シーズンオフの衣類や日頃使用しない想い出の品などを収納。ストレージケースにラベルを貼り、なにが入っているのかを家族で共有しています

川合

押し入れですか。 僕も昔、築50年くらいの古い団地に住んでいたので懐かしいです。 押し入れの空間は、あまりうまく活用できていなかったようにおもいます。

本多

もともと備え付けてあったふすまを取り外して、カーテンを取り付けたんです。 ふすまを取り外すと、パッと開けるし引き出しをどの位置にでも置けるというのがポイントです。

川合

突っ張り棒でレールが渡してあるんですね!

本多

引き出しの奥の空間を利用するために、突っ張り棒を縦方向にも渡して使用頻度の低い礼服等をかけています。 日々の習慣に基づく動線に沿った収納が大切と考えていて、毎日出番のある私の服はひと目で見渡せるように横並びにして掛け、休日しか出番のない夫の私服は手前に引き出せるスライド式のハンガーポールに掛けて奥まで空間を利用。 夫の衣類スペースは、夫の動線に合わせて配置を考えアクセスのいちばんいい手前の位置にしました。 仕事から帰宅してスーツを脱ぎ、脱いだスーツをそのまま鴨居に取り付けたフックに掛ける。 Tシャツは引き出し、部屋着は鴨居の真下の収納ケースに入れてあるので、その場に立ったまま着替えが完結。 翌日、仕事に出かける際のスーツもここにセットします。

川合

我が家でも実践したくなります。 収納場所に迷いそうな帽子をラックの側面を利用して掛けている発想など、スペースの使い方が見事。

本多

使用頻度とエリアをマッチさせるということを大事にしています。 ものを取りやすいエリア、取りにくいエリアというのがやはりあるので、使用頻度の高いものをいいエリアに配置。 奥にはほんとうに使用頻度の低いものを収納しています。

川合

いちいちしゃがんだりする必要がなく、少ない動作で奥のものもスムーズに出し入れができるのがいいですね。

  • 突っ張り棒やスライド式のハンガーポールを活用した奥のものまで取り出せる工夫で、デッドスペースをつくりません

目的に合わせた収納アイテム選びを

川合

引き出しなど収納アイテムはどういう基準で選ばれていますか?

本多

引き出しは、無印良品の「クローゼットケース」を使用しています。 以前は夫と私がお互いに実家から持ち寄った引き出しを使用していたのですが、奥行きが浅かったのでその引き出しは知人にもらっていただき、収納を見直して買い足しました。 奥行きの数センチの違いでも使い勝手が変わってくるので、アイテムを選ぶときは導入する目的を明確にするといいとおもいます。 無印良品の製品は、MUJIモジュールといわれる日本の住宅に合いやすい規格サイズがベースとなっているので、商品同士の互換性があり、既存の家具や収納スペースに合いやすいので長く使えます。暮らしの変化に合わせて買い足せるのも安心です。

川合

押し入れのスペースのほかには、収納家具が見当たりませんね?

動線を意識したご主人の衣類スペース。カーテン全開にする必要なく、このスペースに立ったまま着替えが完結する仕組みに

本多

家の中の収納スペースはほぼここだけ。 ここに夫婦2人分の衣類や布団、その他しまっておきたいものをすべて収めて、収納家具は買わないようにしました。 押入れの中身、とくに衣類は、衣替えや新しい服を買うタイミングで見直しするようにしています。 たとえば、買い物に出かけ夫が新しいパンツを2本購入したら、帰宅後ワードローブを見直し、最近履いていないパンツを2本断捨離。そして翌日、リサイクルショップへ…といった具合です。 ものは油断するとどんどん停滞して「使っていないけれど収納を圧迫している」という状態になってしまうので、定期的に点検して常に「今」を焦点にした持ち物を心がけています。

川合

お話を伺っていると、気にも留めていなかった点に気付かされます。 継続して見直さないといけないんですね。

常に使いやすさを追求しています

本多

キッチンはこれまでの5年間でもっとも変化している空間なんですが、作業のしやすさ、片付けやすさ、見た目のスッキリ感を追求し、日々ベストな状態に更新し続けています。 料理によく使うボウルを引っ越した当初はオープンの吊り棚に乗せていたけれど、ボウルを取り出す度にシンク横の作業スペースに一度置き、目当てのサイズを選び取るという手間にあるとき気がついて「毎回これやってる? ムダだな」とおもったんです。 それで、ボウルをシンク下収納へ移動させました。 おかげで目当てのサイズを上から引っ張って取り出せるようになったし、戻すときも上に重ねるだけ。 ちょっと気になることがあったら実験的にやってみる。 常に使いやすさを追求しています。

川合

不便だなと思っても、そのまま放置してそのまま気にもとめなくなりそうですが…。

本多

作業しやすく、ムダなく使える状態管理しておくことで 苦手な家事でもちょっと気分が変わるのかなっておもうんです。

川合

うちはまったく収納スペースを活用できていないと反省しました。 多面的というか、三次元の空間の使い方がいいですね。

本多

“突っ張り棒とS字フックの申し子”と友人がつけてくれました (笑)。

ゲストプロフィール

本多さおり

整理収納コンサルタント。個人宅向けの整理収納コンサルティングを行う傍ら、雑誌やWebで自身の経験に基づいた暮らしに寄り添うシンプルな収納術を提案。著書に『家事がしやすい部屋づくり』(マイナビ)、『もっと知りたい 無印良品の収納』(KADOKAWA/メディアファクトリー)ほか。 http://hondasaori.com