家のごちゃつきの元になるのが、気づけばいつの間にか溜まっているもの。中でも「なかなか捨てられないもの」に苦労している方は多いのでは? それらをうまく整理するコツを、生活研究家・阿部絢子さんに伺いました。

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家、消費生活アドバイザー。整理収納から食、掃除など、生活全般に渡る知識を生かした著作多数。

http://ayakoabe262.jp/

手放せない原因を知れば、解決策がみえてくる

前回「暮らしのなかで溜まりがちなものを整理してみる」で見直した、「家の中で溜まりがちななかなか捨てられないもの」は、主に以下のようなものでした。これらの整理について、阿部さんと一緒に考えていきます。

①新しいものを買っても、古いものもそのままとっておく(洋服、バッグ、雑誌、本など)
②捨てるのに「もったいない」と躊躇してしまう(文房具、紙袋、エコバッグなど)
③ひとからもらったので手放しにくい(プレゼント、引き出物など)
④思い出があるから捨てにくい(旅行のおみやげ、趣味の品、卒業アルバム、証明書、トロフィー、手作りした品、子どもの作品など)

①②「いつか使えるかも」という期待や、「今までずっと読んできた本だから」といった未練が、手放せない原因です。

「これらは『今(もしくはごく近い将来)必ず使うのか?』を基準として、自分にシビアに問いかけてみましょう。状況は変わるのですから、同じものをずっと好き、必要とすると思い込むほうが不自然では?」

③④はものに感情移入してしまっていることが、処分しづらい原因です。

「まず③は、いただいた好意をきちんと受け止めているということを、もらったものをずっと持ち続けることで示そうとしています。でも本来、プレゼントをいただいたときに喜んだ時点で、気持ちのやり取りは十分に完結しているはず。その後にものを処分したからといって、その気持ちまで捨ててしまうわけではないのです」

次に④は特に悩んでいる人が多い品なので、細かく見ていきましょう。

「まず、思い出の品は一部(卒業アルバムや証明書など)を除き、しまいこむものではなく、飾って味わうものということを肝に銘じましょう」

その上で、

旅行のおみやげ…コーナーを決めて季節ごとに飾り替えるなどし、死蔵しないようにする。

制作した品…「これぞ!というものだけを飾る」「一番よくできたものをとっておき、練習品などは処分する」などのルールを作る。
「たとえば書道なら、常に一番よく書けた作品を家のいい場所に飾り、その他は写真に撮って処分したり弟子に手本として譲ったりすれば、総量は変わりません」

卒業アルバム…必要と感じるなら、場所を決めて保管する。
「そもそも母校に保管してあるのだから、個人で必ずとっておくべきという思い込みは不要かもしれませんよ。私は自分の著書も図書館にあるから、基本的に手元には1冊ずつしか残しません」

趣味の品…どの程度で満足するかを知り、好きだからと無限に集めない。
阿部さんの場合は猫グッズですが、
「一時期、猫の絵を描こうと道具を集めましたが、気に入った絵が描けたのでオリジナルのレターパッドのデザインに使い、満足したのでそこで終了。自分がどのぐらいで納得できるかを知ると、極めるまでやらなければというプレッシャーから解放されます。また、中途半端にダラダラ続けると未練が残ってものに執着しがちなので、ある時期、熱心にやりきることも結果的にものとよい距離で付き合えることにつながります」

子どもの作品…ある程度の年齢になったら本人に管理させる。
自分のものを管理する訓練をすることは、子どもにとってとても大事な経験になります」

といったやり方で、見直してみましょう。

「定期的に見直しを行うと、区切りをつけて次へ進めます。それができない人が多いのは、日頃から自分で判断する場面が少なく、決断力が鈍っているからです。『捨てられない』と思い込んでしまうのも、それが原因です。するとどんどんものが積み重なっていってしまうのです」

そこで次回「「決断力」をみがくのがすっきりへの近道」では、決断力を育てる方法についてご紹介します。

(つづく)