生活研究家・阿部絢子さんによる、家じゅうのごちゃつきをスッキリに変える整理収納術。今回からは、整った空間を快適に、そして常にキレイに維持していく、収納スペースごとのお手入れポイントを紹介していきます。適切なお手入れをすることで、おうちはもっと快適で美しくなりますよ!

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家、消費生活アドバイザー。整理収納から食、掃除など、生活全般に渡る知識を生かした著作多数。

http://ayakoabe262.jp/

ランドリー周りは「換気」が必須

水回りが集中し、たくさんの衣類を扱うために、湿気やカビ、ホコリや糸クズが気になるランドリー。この時期は特に注意してお手入れしたいもの。

「基本は換気をしっかりすること。水を使う場所なので、過度な湿気があることで、カビや細菌が活発化しやすくなってしまうからです」と生活研究家・阿部絢子さんは強調します。

目安として湿度が60%以上になると、カビが発生しやすくなります。冬の季節のように、40%を切ってしまうと、乾燥しすぎてパサつき感を覚えることも。温湿度計を用意し、とくに湿度をチェックする習慣をつけましょう。湿度が高ければ、空気を入れ替えて調節する必要があります。

「空気を入れ替えるには、風を送るのが一番。浴室の換気扇だけでは不十分なので、扇風機を当てて空気を循環させるようにしましょう」

阿部さん宅ではランドリーのリフォーム時に壁掛け式の扇風機を設置。梅雨時は収納棚の扉を開けた状態で、常に回しているそうです。

またクリップ式の扇風機なら、洗面台や棚などに取り付けて使えるので賃貸住宅にもおすすめです。

収納棚の中も「循環」させるシステムをつくる

収納棚の中にも湿気をこもらせない工夫が必要です。かんたんにできるアイデアとしておすすめしたいのが、タオルを均等に使い回し、収納棚内の空気を循環させる方法。

洗濯乾燥後のタオルは畳んだら、収納棚の奥(または上)にしまい、手前(または下)から使うようにします。いつも同じタオルばかり使うのを防ぎ、収納スペースの空気も循環させられて湿気対策になります。

これでタオルの傷み具合は均等になるはずですが、年に1度はすべてを出し、ダメージや生地のすり減りがないか状態をチェックしましょう。傷んだタオルはウェスにするなどし、新しいタオルを補充します。その際、収納棚を水拭きして乾燥させてからしまいましょう。

また扉つきの収納棚や洗面台下は、扉を開けた状態で扇風機をかけることで、中にこもりがちな湿気を飛ばすことができます。

「ちょこちょこ掃除」でホコリや糸クズを溜めこまない

洗濯物からも脱いだ衣類からも髪の毛やホコリ、糸クズなどが落ちて溜まりやすいのがランドリースペース。

「繊維クズが中心なので、水分を含んでこびりつく前にモップや雑巾などでこまめに集めて捨てましょう。隅のスペースや防水パンは特に溜まりやすいですが、手が届きにくいので、すき間に入るブラシなどを活用して」

阿部さんは細かいゴミまで集められる掃除用クロス「ニットクロス」「ダブルクロス」(ともにMQ-Duotex)とゴミ箱をランドリーに置き、気づいた時にすぐに拭き集めるようにしています。洗濯機と洗濯パンのすき間は、長く、折れ曲がるすき間ブラシ(レデッカー)で汚れをかき出します。

また、洗濯機の前に天井から床まで覆えるロールスクリーンを取り付けてあります。来客時に洗濯機まわりの生活感を隠してくれるだけでなく、脱衣スペースで発生したホコリや髪の毛が洗濯機や防水パンの中に入りこむのをシャットアウトしてくれる効果も。

「日ごろからこまめに汚れを取り除いておけば、本格的な掃除の回数を減らせます。私は4か月に1度、マイクロファイバークロスで全体を水拭きする程度です」

洗濯機を長もちさせるお手入れ

洗濯機は使ったら必ずフタを開けて中まで乾燥させます。また、定期的に洗濯槽を洗浄してカビを防止しましょう。

洗濯槽の洗い方

洗濯機に洗浄モードがある機種は、それに従って洗浄を。ない場合は、満水にして粉末漂白剤(大さじ5杯)と台所用中性洗剤(大さじ1杯)を入れ、7分間回して15分放置。その後、すすぎ、脱水し、完全に乾燥させる。

それ以外のお手入れ

洗濯槽の縁や洗剤を入れる投入口は、洗剤や柔軟剤がこびりつきやすい部分なので、こまめにクロスで水拭きします。

また、余洗いと組み合わせて使うことで洗濯機のひどい汚れを防止し、長もちさせることができます。

●汚れのひどいものは、水に洗剤を溶いたバケツで余洗いしてから洗濯機で洗う。
●ユニフォームなど泥汚れは外で乾かし、払い落としてから余洗いを。泥は湿ったまま洗っても取れない。
●汚れの強いものは年に1度は高濃度洗濯する。40度の水に酵素入り洗濯用洗剤を通常の数倍量入れてよく溶かし、洗濯物を1晩〜2晩つけ置きしてから洗濯機で洗う。

ランドリー周りで活躍するお手入れアイテム

  • 洗濯ネット
    衣類を入れて洗うことでダメージを防ぎ、洗濯機に糸クズが残るのを軽減します。

  • すき間ブラシ
    手の届きにくい奥まで差し込んでホコリをかき出せます。ブラシは水洗いできて衛生的。
    阿部さんはレデッカー社製のものを愛用。

  • 掃除用クロス
    水だけで汚れを落とせる市販のクロスを常備。阿部さんが活用しているのはMQ-Duotexの「ニットクロス」と「ダブルクロス」。デコボコのある編地が細かい汚れも拭き取ります。

  • 掃除用のマルチグローブ
    洗面台の蛇口や取っ手をつかんで拭きやすい手袋型。ケバを残さないので鏡みがきにも。