秋の夜を演出する照明

こんにちは!
昼夜の気温の差が激しくなって秋の気配が強くなってきたこの頃ですが、この時期になるとインテリア誌などでは照明を特集する機会が増えてきます。
過ごしやすい気候の中で、室内のムードを一変させてくれる照明を効果的に使用して、秋の夜長を楽しみましょう! という企画が多くなるからですね。
ということで今回は、まさに仕事の合間に出会って印象に残った照明を5つ、ピックアップしてご紹介させて頂きたいと思います。
アッパーライトに壁付けのブラケット、ペンダントランプ、トレンドの80年代のデザインまで、あまり見ることのできないユニークなタイプも揃えてみましたので、どうぞお楽しみください!

照明メーカー ネモが復刻したアッパーライト

まずはイタリアの照明メーカー、ネモのアッパー型ランプ。建築家のフランコ・アルビニとフランカ・ヘルグ、アントニオ・ピヴァの3人が共同でデザインした《AM2Z》になります。

中央にそびえ立つ白いフロアランプがネモの《AM2Z》。もとはシラーという会社から1960年代に発表されたものですが、現行品はネモが復刻製造をしています。本体のカラーはこのホワイトのほかにクローム色とブラッククローム色が揃います。

ネモは世界遺産に登録されたことで一躍脚光を浴びた、上野にある国立西洋美術館の建築を手掛けた建築家、ル・コルビュジエの一連の家具を製造していることで知られるカッシーナ社が手掛けている照明メーカーです。

近年ではコルビュジエの照明をいくつか復刻したほか、現代のトップデザイナーや建築家のデザインした新しい照明も数多く発表しています。

この《AM2Z》はフロア型のアッパーライトです。上部のお椀のような形状のシェードは天面が開口していて、内部の光源からの光が上方向に広がり、天井や上方の壁を照らし出す仕組みになっています。日本の家庭ではあまり取り入れているのを見ないアッパーライトですが、《AM2Z》も天井や壁面に光が反射して空間を柔らかく明るくしてくれる、心地よい間接照明となっています。

デザインしたのは、建築家のフランコ・アルビニを中心にした3人。円柱と半球のような形状を組み合わせた造形は、シンプルでありながら力強さを感じさせます。家具のデザインが有名なフランコ・アルビニですが照明も見逃せないのです。

ペンダントやテーブルランプもネモから復刻されていますが、どれもよいデザインなので是非チェックして欲しいです。

さて、せっかくなので続けてネモのランプをご紹介させて頂きます。フランスの建築家、デザイナーとして活躍した、シャルロット・ペリアンの壁付けのブラケット照明です。

シャルロット・ペリアンがデザインしたブラケットランプ《アプリーク ア ヴォレ》。これは形状の異なる3種類を壁に取り付けた状態です。それぞれ前面に設置されたアルミ製の反射板の角度を変えることができ、用途に合わせて光の方向を制御することができます。

これはもともと、シャルロット・ペリアンが自身が過ごす山荘の寝室で使うために自ら設計した照明なのだそうです。

ネモが復刻製造する《アプリーク ア ヴォレ》には、ピヴォタン、ダブル、プリエという、サイズや形状の異なる3モデルがあり、それぞれ位置を縦にしても横にしても取り付けができる仕様になっています。

壁に複数を取り付けると独特のリズムが生まれ、ミニマルアートの作品のような印象も与えますが、機能面にも大きな特徴があります。前面に取り付けられた反射板の角度を変え、光の広がる範囲や方向を好みに合わせて調節できるのです。

例えば壁面に横向きに取り付けた場合、通常は天井に光を反射させ空間全体を明るく照らすように光が上向きなるように使っていても、ベッドに寝転がって本を読むときなどには、手元を強く照らせるように反射板の角度を変え、下方向に光が向かうようにできるわけです。

もちろん、いまは全方向に角度を変えられるアームを持ったウォールランプなどもありますので、特段珍しい機能性でもないのですが、なによりも、このコンパクトなサイズとミニマルなデザインの中に、そのような仕組みをおさめていることが素晴らしく感じられます。

写真ではわかりにくいのですが、前面の反射板はすべてカラーが違います。レッドやイエローといった鮮やかなカラーも販売していますので、気になる方は日本で販売しているヤマギワさんのショールームで展示品を見て頂ければと思います。

トム・ロッサウが手がける、コッパーカラーのアルミシェード

では続いて、吊り下げ式のペンダントランプを。デンマーク人のデザイナー、トム・ロッサウの照明です。

曲面で構成された彫刻的なフォルムのシェードが印象的な、トム・ロッサウのペンダントランプ3点。シェードはコッパーカラーに仕上げたアルミ製。まだ代理店さんにサンプル品としての入荷状態だったため、このような感じで展示中でした。。。

トム・ロッサウの照明と言えば、日本では天然のバーチ材をシェードに使ったモデルが先に流通していますが、コッパーカラーのアルミシェードのモデルは今回はじめて実物を目にしました。といってもまだサンプル品の状態でしたので、まだ日本仕様になる前の段階。。。

温かみのある木目の表情が美しいバーチ材のモデルも雰囲気がありますが、よりエッジの立ったこのアルミシェードのモデルも好みです。照明自体の造形や光の拡散の仕方などは(すみません写真の照明は光っていないです)、同じデンマーク人のデザイナー、ヴァーナー・パントンの照明を想起させるものがあり、どことなく懐かしさを感じさせるデザインでもありました。

家庭での使用はもちろんですが、複数を使った場合、レストランやカフェ、ショップなどの商業施設の内装などにも似合いそうです。機会があれば使用してみたいと思いました。

トム・ロッサウの照明は、ロイヤルファニチャーコレクションさんが日本の代理店を務めていますので、ご興味のある方は調べてみてください。

インゴ・マウラーによる独創的な照明デザイン

次は、芸術性の高い照明のデザインでお馴染み、ドイツの生んだ光の魔術師、インゴ・マウラーの照明になります。

インゴ・マウラーがデザインした照明のシリーズ、ライトストラクチャーが日本でも発売に。蛍光管のようなチューブを、テンションを張ったワイヤーで組み合わせたオブジェのような照明です。

過去に東京オペラシティアートギャラリーでも大規模な展覧会が行われ、日本にもたくさんのファンがいる照明デザイナー、インゴ・マウラーですが、自分もファンの一人です。

最初に出会って衝撃を受けた、低電圧ワイヤー照明のシリーズ《ヤヤホ》をはじめ、電球に翼の生えた《ルーチェリーノ》、電球をそのまま大きくしたようなランプ《バルブ》など、その独創的な表現に触れる度、常に感動をさせられてきました。

この《ライトストラクチャー》のオリジナルは、1970年にデザインされていますが、今回ご紹介のモデルは、2013年に復刻されたバージョンで、ようやく日本に入ってきたところです。蛍光灯のように見えるのは、プレキシグラスとアクリル、アルミで作られたチューブで、内部にLED光源を搭載しています。

LEDを使って、わざわざ蛍光灯のように見せているところが凄いですが、ワイヤーでテンションを張り各チューブをつないだ構造が見事です。この置き型のテーブルタイプに加え、ペンダントランプも販売していますので、実物をご覧になりたい方は、代理店であるスタジオノイさんのショールームまでお願いします。

キャリアも長く、すでに巨匠の領域にいるインゴ・マウラーですが、近年はLEDや有機ELなどの先進的な光源を芸術的なアプローチで照明のデザインに落とし込んだ作品も多く発表していて、常に照明デザインのトップを走っている感がありますね。

奇抜な色と形が心まで照らしてくれそう!

それでは最後の照明です。1980年代のデザインを象徴するメーカー、メンフィスミラノのフロアランプになります。

1984年にフランス人のデザイナー、マルティーヌ・ブダンがデザインした《チャールストン》。上に付いたブルーのお椀のような部分がライト部で、これも天井を照らすアッパーライトになります。しかし、思い切った形と色ですね。素敵です!

メンフィスミラノからは、タイヤの付いた名作ランプ《スーパー》なども発表しているデザイナー、マルティーノ・ブダンのデザインしたものですが、この《チャールストン》は日本で見かけることはほとんどありません。

上部が時計の文字盤のような形状になっていることから想像できるように、ライト部は中心を軸にして時計の針が回転するように、照らす方向を手動でぐるっと回して変えることができる設計になっています。

メンフィスミラノは、イタリアの建築家、エットレ・ソットサスを中心に生まれたデザイングループ、メンフィスから発表された家具や照明、陶器やガラス製品などを製造販売しているメーカーです。この《チャールストン》も、そのメンフィスの活動に参加していた、マルティーヌ・ブダンによるものですが、ポストモダンと形容される奇抜な色と形で構成された、1980年代の空気感をビンビンに放ちまくっています。

最近はファッション、アパレル系の業界の人や若い世代を中心に再評価の気運が高まり、注目を集めているメンフィスのデザインですが、マルティーノ・ブダンの手掛けた製品はキャッチーなものが多く、人気も高いですね。

ちなみにこれは、私が所属している事務所兼デザインギャラリー、SOMEWHERE TOKYOにて販売しています。

以上、今回は照明にスポットを当ててご紹介をさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?

ひとくちに照明といっても、手掛けるメーカーやデザイナーによって、目指す機能や造形、その表現は千差万別です。今後もどんな照明が世の中に出てくるのか、非常に楽しみなインテリア・アイテムですね。

では、また!