収納のしかたは十人十色。
おうちの収納やお気に入りのものから見えてきた、「収納と暮らし」をめぐる短い物語をお届けします。

HOUSTO 編集部

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住人プロフィール

iwaoicaco(いわお いかこ) ハッピー小物作家・人形作家・ブロガー

一戸建て4LDK 神奈川県逗子市
築30年・入居5年
夫婦2人暮らし

旅の思い出をベースに、自分のルールで飾る家

イラストや小物・人形づくりなど、創作活動をしながら、旅やファッションについて綴ったブログ「いわおの日々ing」で注目を集める、アーティストのiwaoicacoさん。美術系の大学を卒業後、広告制作会社、ギャラリー勤務を経て、現在は逗子の小高い山の上の一軒家で、アート&主婦生活をのんびりと楽しんでいる。

パリ、ヴァンヴの蚤の市。明け方の冷たく澄んだ空の下、iwaoicacoさんが一目惚れしたのが、カラフルでいてシックなデザインのラグ。パリの空気まで運んできたような気分になるそう。

icacodoll

iwaoicacoの代名詞、icacodoll。ショップなどでの展示のほか、オーダーメイドも受け付けている。

「家のなかは、各スペース、エリアごとに、なんとなくテーマを決めています。色味、プリミティブな雰囲気、キュートでかわいい感じ……。また、旅した世界の思い出も反映しています。イタリア、アメリカの中西部、北欧やヨーロッパのノスタルジー。そこに、グリーンやシャビーシックを加えて。自分だけのルールを作って。自己満足なんですけどね、気に入ったものはいつも目にしていたくて、隙間なくものを飾ってしまう性分みたいです」。

イームズの棚には画集や写真集を並べて。 ご主人が描いた絵を中心に、アメリカの電柱に貼ってあったヤードセールの案内ポスターなど、旅の思い出を額装して、アートにしてしまうのもiwaoicaco流。

旅はいつも、長期間。レンタカーでどこまでも

アメリカの中西部を一万キロ走り抜けた、去年のロングトリップ。モンタナ、ワイオミングなど、古き良きアメリカを見つける旅だった。

iwaoicacoさんの旅は、いつも長期間だ。ご主人と2人で、アメリカやヨーロッパをレンタカーで2ヶ月前後、巡り続ける。その目的は、写真を撮ること。その土地にしかない出会いと、美味しいものを楽しむこと。そして、将来の夢であるブロカントのお店を開くための、買い付けだ。

ウィスコンシン州を駆け抜けていたときに出会った、アーミッシュの子どもたち。伝統的な農耕生活を続ける人々の暮らしに触れ、思い出深い旅になった。

ネイティヴアメリカンの人々がつくったセージなどのハーブのオブジェ

アンティークの香水の瓶の前に飾っているのは、ネイティヴアメリカンの人々がつくったセージなどのハーブのオブジェ。浄化や魔除け、幸運を呼び込むアイテムだそう。

「格式の高いアンティークではなくて、もっと暮らしに寄り添う、気軽な古道具がブロカント。すべての人に価値があるものではないけれど、誰かの宝物になり得るもの。その昔、誰かが大切にしていたと思うと、ストーリーを感じますよね。そんなモノたちを集めたショップを開くのが、夢なんです。だから、旅ではいつもレンタカーの中は買い物したモノでいっぱい。途中で梱包して日本へ送っては、また移動……そんな旅を続けてきました」。

寝室

二階の寝室。ラグもベッドカバーも、枕元の絵も、全部アメリカから連れ帰ったモノたち。

このスペースのテーマは「蚤の市」。蚤の市を散歩するときの楽しい雰囲気、発見する喜びを演出しているという。

食べることが好き。食器、料理本のコレクション

料理をして、人をもてなしたりするのも大好きだというiwaoicacoさん。旅で出合った味を再現したり、大好きで集めている料理本を参考にしてつくる料理は、どれもオリジナリティに溢れている。もちろん、料理を盛りつける食器のコレクションも圧巻だ。

コルビュジェのガラステーブル

コルビュジェのガラステーブルを愛用。写真の右側に見えているのは、なんと仏壇。賑やかに、楽しく飾りつけて、照明も灯している。

食器棚

圧巻の食器棚。この棚がキッチンにもあと4つある。日本、アジア、ヨーロッパ、中近東、アメリカ……料理に合わせて、テーブルの上で旅を楽しむ。

本棚

世界の料理、古き良き料理本から、いま話題の料理本まで、本棚にはさまざまな料理本が詰まっている。

好きなモノ、美しいモノ、そしていっぱいの思い出に囲まれて、豊かに暮らしたい

階段スペース

階段スペースには、旅先で見つけた絵や、思い出の絵、手紙、子どもの描いた絵などを飾って、オリジナルギャラリーを楽しんでいる。

「この物量に驚かれることも多いんですけど、とにかく、好きなモノに囲まれていたいんです。特別な日に飲んだワインのボトルも、捨てられずに飾っておきます。目にするたびに、あの日の白いテーブルクロス……美味しい時間が蘇る。私は、思い出の中で生きているんだなぁ、と。モノのないすっきりした暮らしにも憧れますけど、きっと耐えられない(笑)。世の中に、一組くらい、こんな夫婦がいたっていいじゃない?って、勝手に納得して、すべてを大切にしているんですよ」。

リビング

リビングの一角、日が当たるこの場所は、植物がすくすく育つ。お気に入りのアイテムとともに、多肉植物を中心にして、もりもりと飾り付けている。

「これからはもうすこし動きやすくするために、本当に大切なモノを厳選しようかな、と思っています」と笑顔で話してくれたiwaoicacoさん。肌になじんだ家具、こだわりの布類、本、食器、ダサかわいい縫いぐるみのコレクション……。旅するアーティストの目線で集めた思い入れの強いモノたちがところ狭しと飾られたその家は、訪れる人を驚きと感動に包み込む、唯一無二のミュージアムだった。