vol.29 好みにぴったりな収納家具を作る達人

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大人気の建築集団「HandiHouse project」が再登場!今回紹介するのは、住宅のリノベーションとともに、おしゃれで機能的な収納家具までつくってしまう達人です。

昭和のレトロ感が漂う一軒家のリノベーション

本連載のvol.26でご紹介した、「HandiHouse project」。デザインから工事のすべて過程を、暮らす人と一緒にチームになって行うという新発想の建築集団は、今やなかなか予約が取りづらいほどの人気を集めています。今回は、メンバーの一人である荒木伸哉さんが手がけた、郊外のリノベーションハウスへお邪魔しました。

木の質感を活かした、暖かみのあるLDK。廊下側に設えた窓の効果で、開放感も抜群です。

木の質感を活かした、暖かみのあるLDK。廊下側に設えた窓の効果で、開放感も抜群です。

築34年。埼玉県の閑静な住宅街にあるその一軒家は、もともと昭和の雰囲気が漂う和風住宅でした。住宅街自体の平和な雰囲気と、安定感がある建物。そして、内装の建具の風合いなどが気に入って、この家をリノベーションしようと決めたのは、Sさんご夫妻。この家で、自分たちの好みに合わせたリノベーションをしてくれるのは「HandiHouse project」しかいない、と直感で決めたそうです。

「施主のSさんご夫妻とは年齢も近くて、インテリアの好みも似ていたので、楽しかったです。解体工事や、廊下のペンキ塗りなど、みんなで一丸となって取り組みました。」(荒木さん、以下同)。

家の個性に寄り添う収納づくり

もともと、建具のいくつかにラワン材が使われていたこの家。建具の色合いは、Sさんが好むアンティークやヴィンテージの家具にぴったりでした。荒木さんは、木の風合いをインテリアの色調の軸として、収納にも活かすことにしました。

玄関入ってすぐのところです。オレンジがかった優しい色合いの建具が印象的です。

玄関入ってすぐのところです。オレンジがかった優しい色合いの建具が印象的です。


収納扉を開けたところ。靴や掃除道具など、収納にはかなりの容量があります。

収納扉を開けたところ。靴や掃除道具など、収納にはかなりの容量があります。


2階の一室にもともとあったクローゼット。このラワンの建具にSさんは一目惚れしました。

2階の一室にもともとあったクローゼット。このラワンの建具にSさんは一目惚れしました。

オリジナルの造作収納は、最後につくる

「HandiHouse projectの家づくりは、とてもフレキシブル。家をつくりながら、ここはこんな造作が欲しいな、と思ったら、その都度つくっていきます。このSさんのお宅は、かなり造作収納にこだわりました」。

リビングに設えたデスク兼収納棚。無印良品の収納用品に合わせて荒木さんが製作。散らかりがちな文房具や子ども用品を整理しているそう。

リビングに設えたデスク兼収納棚。無印良品の収納用品に合わせて荒木さんが製作。散らかりがちな文房具や子ども用品を整理しているそう。


キッチン収納もすべて手づくり。換気扇の横、ガラス扉を付けた吊り戸棚には、大切な陶器が見えるように収められています。

キッチン収納もすべて手づくり。換気扇の横、ガラス扉を付けた吊り戸棚には、大切な陶器が見えるように収められています。

設置箇所は決めた上で、どんな色・形の造作収納にするか。それらを考え、つくるのは最終段階だと荒木さん。
「ある程度、家が仕上がらないと、収納のディテールはイメージしづらい。現地で感じたことや動線も体感してもらった上で、インテリアにも合うかどうか、生活しやすいかどうかをSさんとも協議しながら、造作収納は最後につくりました」。

使い勝手を考えたプチ収納テクニック

Sさんの家では、ところどころに、荒木さんが施したプチ収納テクニックが見られます。これも、Sさんご家族の好みを知りつくしているからこそできること。毎日の暮らしを楽しく、便利にしてくれる工夫が詰まっています。

料理上手な奥様のためのキッチン。出番の多い調理器具を吊り下げられるアイアンのバーも、荒木さんがつくったものです。

料理上手な奥様のためのキッチン。出番の多い調理器具を吊り下げられるアイアンのバーも、荒木さんがつくったものです。

キッチンの換気扇横の、目立ちにくい部分に、製菓道具をまとめて置けるスペースを設置。

キッチンの換気扇横の、目立ちにくい部分に、製菓道具をまとめて置けるスペースを設置。

躯体の柱を活かして壁の一部をくりぬき、オリジナルのアイアンバーを2本取り付けてあります。使い道が広がるアイディアです。

躯体の柱を活かして壁の一部をくりぬき、オリジナルのアイアンバーを2本取り付けてあります。使い道が広がるアイディアです。

ソファ横のマガジンラックは、荒木さんが古い家具を直してSさんにプレゼントしたもの。

ソファ横のマガジンラックは、荒木さんが古い家具を直してSさんにプレゼントしたもの。

家族みんなが「お片付け」を楽しめる空間

荒木さんとともに自分たちの手でつくった家に、Sさんの愛着もひとしお。インテリアはもちろん、動線の良さ、収納のしやすさなど、とことんこだわった理想の家は、いつもすっきりと片付いています。

ブロックと板で手づくりしたテレビ台。その脇には、おもちゃ類がまとめてあります。

ブロックと板で手づくりしたテレビ台。その脇には、おもちゃ類がまとめてあります。


4人家族のSさん一家。お子様たちも工期の間に、荒木さんにすっかり懐いてしまったとか。

4人家族のSさん一家。お子様たちも工期の間に、荒木さんにすっかり懐いてしまったとか。

「収納のポイントは、置く場所のルールを決め、使いやすく、しまいやすい収納をつくること。加えて掃除のしやすさだと思います。生活の土台となる収納を、より機能的にさせることで、その場所を好きになってもらえたら…と考えています」。

みんなで話し合いながらつくったリノベーションハウス。収納にも、暮らす人を思いやる優しい気持ちがこめられていました。