キッチンづくりのルールを知る<前編>

人にとって心地よさを感じる収納は、居住空間や家族構成、ライフスタイルなどによってさまざま。それは、キッチンの収納においても同じことがいえます。人それぞれの価値観を尊重した、美しい整理収納の方法を提案するプロフェッショナル、鈴木尚子さん宅のキッチンを手本に今回はキッチンづくりのルールについて伺います。

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キッチンをご機嫌になれる場所へ

キッチンとは、言わずと知れた食事を作るところ。そのため、食事を作るために必要なキッチンツールから、盛り付けのために必要な器類、食べるために必要な箸、カトラリー、弁当用のグッズなど、たくさんのアイテムが溢れて雑然となりがち。ところが、鈴木さん宅のキッチンはうっとりするほど美しく、すっきりとした空間が広がっています。どうしたらこのような気持ちのよいキッチンに整えることができるのでしょうか。

「毎日の大事な食生活を支えるのが、キッチンです。毎日使っている場所ですから、いまある景色に慣れすぎてしまっている方が大半だとおもいます。ゆっくり自分にとって都合のよいキッチン、ご機嫌になれるキッチンを考えたことがなかいという方も多くいらっしゃいます」と鈴木さんは指摘します。

鈴木さんによれば、自宅のキッチンでものの出し入れの回数を数えたところ、朝食の準備をしている間だけでなんと25回も行っていたのだそう。1日に3度食事を作ると想定すると、その「出し入れ」を毎日、75回ほどやっている計算になるのです。

「キッチンで行う何十回というものの出し入れが、スムーズなものではなく
毎回舌打ちしたくなるようなストレスを感じる状態での出し入れだったら…。一日をスタートする朝の貴重な時間に、気持ちよく家事をすることなんてできませんよね」(鈴木さん)

きちんと仕組みを設けて「出し入れ」しやすい場所にしておくことは、自分のためにも、そして家族のためにも大事だと鈴木さんはいいます。

いまの自分にあうルールをみつける

「まずは、キッチンにあるべきものは人それぞれの価値観によって異なるということを知ることから」と鈴木さん。

家族構成、普段作るメニューの内容、平日の家事に割ける時間、毎日違う料理を楽しみたい派、おかずを作り置きする派といった食事のスタイルや嗜好などが代表的な判断基準となります。

毎日のように使っている場所だから無駄なものはないだろう、と思い込んでしまいそうですが、先入観を捨てて見直すことが必要といいます。

「なんとなくキッチンにあって当然と思っているもの、全然使わないものがキッチンには生息しています。キッチンのものを全て出してみると、意外にも不要なものが多いことに驚かれる方が多いはずです」(鈴木さん)

アイテムを出して、キッチンにあるべきものを見極める

自分にあったキッチンを手に入れるために、キッチンにしまっているアイテムをすべて外に出し、全体量を把握しましょう。

空間はさほど広くないにせよ、キッチンは物量が多い場所なのですべて出してみると、リビングいっぱいになるほどしまいこんでいる場合も。一度に全部を出して見直そうとするのは挫折のもとです。

「キッチンに収納しているアイテムの見直しは、小さなスペースごとに区切って数回に分けて行うことをおすすめします。決めた範囲内のものをすべて出し、分類。そして必要なものだけを元の場所に戻す、を繰り返していきます」(鈴木さん)

分類するときの基準も人によって異なりますが、鈴木さんは使用頻度で4つに仕分けすることを推奨しています。

◆4つの分類基準例

  • 毎日使うもの
  • 定期的に使うもの(月に1回程度)
  • シーズンごとに使うもの(年に1回程度)
  • 不要なもの

こうしてキッチンにしまっているアイテムの全体量を把握し、いまのキッチンスペースに対して物量は適量なのかを見極めてアイテムを選んだら、「仮置き」の期間を設けます。「仮置き」期間に、ものをどこにしまったらストレスなく、自分にとって使い勝手がよいキッチンになるのか、毎日の自分の動き(動線)を考えて、アイテムごとの適所を見つけていくのです。

手順は以下の通り。

①収納しているアイテムを全部出す
※一度に行うのではなく、小スペースごとに計画的に行いましょう

②仲間分けし、必要なものだけを選ぶ
※この段階までに、キッチンの収納容量に合わせて適量にする

③ざっくりと仮置き

④適所を探す作業(ものの住所、収納方法、収納アイテムを決定して収める)
※自分にとって最適なのか、常に維持していくための適切な方法を探す