暮らしとともに進化するクローゼット

快適な新生活を夢見て引っ越ししたものの、備え付けのクローゼットが想像よりも小さくて荷物が溢れてしまった…なんて経験ありませんか? クローゼットの悩みは家庭によってさまざま。限られた空間をうまく活用しながらすっきり暮らすためのヒントをクローゼットオーガナイザー 鈴木尚子さんに伺います

今回はクローゼットづくりの実践編。備え付けのクローゼットに家族の衣類が収まらず途方にくれている…というHさん宅を訪れました。

クローゼットの収納に悩む30代の主婦Hさん宅は、30代の旦那さんと2歳のお子さんの3人家族。
第一子の出産のタイミングで心機一転、引っ越しをしましたが、新居のクローゼットが想像していたよりもコンパクトだったため、家族の衣類が収まらず、引っ越して来たときのダンボールに入れたままの状態がしばらく続いている状況。収納家具を購入してきちんと整理をしたいけれど、今後家族が増える可能性なども考えるとすぐに即決できずにいるというのです。
そんなHさん宅のクローゼット収納の悩みを解決すべく鈴木尚子さんにアドバイスを求めます。

具体的な悩みは、3つ。

  1. ダンボールをなんとかしたい
  2. 溢れた荷物を整理して、家族が眠れるスペースを確保したい
  3. 二人目の子どものことも考えて衣類は減らしたくないが、すっきりさせたい

【Hさんプロフィール】

  • ● 家族構成:ご夫婦と2歳のお子さんの3人暮らし
  • ● 間取り:3LDK
  • ● 備え付け収納:クローゼット

「結婚して間もない、これから出産を考えているなど、家族のカタチを形成中のご夫婦の場合、引っ越ししたものの『どの部屋をどう使うかが定まらない』『家具が選べない』といった理由から引っ越しの荷物が置きっぱなしになってしまっているケースは多いです」と鈴木さんはいいます。

「仮置き」なら、家族のスタイルが変わっても改善できる

せっかく引っ越ししたのに、ダンボールに囲まれて暮らすのは忍びない! ゆっくり家族計画を考えながら、快適なクローゼットを手に入れる方法はないのでしょうか。

「ダンボールが片付かない状態を継続してしまうのは、衛生的にもおすすめできませんし、暮らしも好ましい方向には進んでいきません。家族のスタイルがはっきりと見えていなくても、ご夫婦が現時点で納得いく状態までは「仮置き」で整えてしまわないと、いつまでもずるずるとダンボールに囲まれた暮らしを引っぱってしまいます」(鈴木さん)

近い将来に起こる家族の変化に備えるためにも、取り入れていただきたいと鈴木さんが提案するのが「仮置き」の時間。高価な収納家具や収納用品を購入するのではなく、できるだけいまある手持ちのアイテムを使って、いまの暮らしに合ったベストな状態に整えていきます。

「『仮置き』の期間は、収納用品をわざわざ購入する必要はありませんが、もし購入するなら、先々もフレキシブルに使えるようなサイズのものを選びましょう。たくさん入るからといって、奥行きが押し入れサイズのタイプを購入する方がいらっしゃいますが押し入れがない住宅が増えていますので、奥行きが浅くクローゼットの中でも使え、部屋に置いても圧迫感なく使うことが可能なタイプの方が使い勝手が広がります」

※「仮置き」についてはコチラもチェック。
https://uchishu.com/knowledge/suzukinaoko/暮らしに似合うクローゼットづくり/

「仮置き」だって、必要なものを「選ぶ」ことから!

今回のHさん宅の空間を整えるために、鈴木さんがポイントとしたのは3つ。

  • ● ひと目で見渡せること
  • ● 出し入れがかんたんなこと
  • ● 適量(収納スペースに見合った量)にすること

「Hさんは、衣類はできるだけ減らしたくはないけれど、第二子のことも未来設計に入れていらっしゃいました。まずは現状の持ち物を把握し、必要なものだけを『選ぶ』という作業が大切です。

たとえ『仮置き』でも、一度すべての衣類を出して必要なものと不要なものの分類を行いましょう。」(鈴木さん)

※「選ぶ」についてはコチラもチェック。
https://uchishu.com/knowledge/suzukinaoko/クローゼットづくりのルールを知る/

ダンボールの中から衣類を取り出し、着替えをする生活が続いていたHさん宅

ダンボールの中から衣類を取り出し、着替えをする生活が続いていたHさん宅

すべての衣類を把握し選んだら、次は「しまう」

家族の衣類をすべて把握し選んだら、「しまう」作業に入ります。Hさん宅の場合は家族の衣類が混在していたため夫婦の衣類をきちんと分け、物量がさほど多くない旦那さんの衣類を備え付けのクローゼットに収納。マタニティウェアなど、いまは着なくても将来のことを考えて捨てられないアイテムが多い奥さんの衣類は、壁側に収納スペースを設けました。

  • BEFORE

    BEFORE

  • AFTER

    AFTER

購入したばかりのものをビニールに入れたまま押し込んでしまうなど、使い忘れが多く効率的に活用できていなかったクローゼット。すべてのアイテムに指定席と明確な枠を決め、スペースから溢れるような買い物はしないといったルールづくりを行った

  • BEFORE

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  • AFTER

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ダンボールはすべて処分。家族構成やライフスタイルの変化に応じてフレキシブルに使え、買い足すこともできるシンプルな引き出しタイプの収納用品を用いて衣類をすっきり収納した

《鈴木尚子さんのワンポイント》
引き出しタイプの収納用品は、たくさんものを入れると開け難くなってしまうものがありますが、金属レールのタイプを選べば開閉がスムーズ!

スペースは有限であることを知りましょう

「Hさん宅では、これまで収納スペースが『有限』だということを自覚できない状態が続いていました。収納用品がなにもない状態のままですと、床がある限りどんどんどんどん制限なくものが増えていき、最後には出入りすら困難になるといった事態に陥ってしまうことがあります」と鈴木さん。
収納スペースは無限にあるわけではなく有限で、スペースに対してどれくらい衣類を持つことができるのかといった適量を自覚することが欠かせないといいます。

さらに、「何を」「どこに」「どれくらい」置けるのかが理解できるようになると、節制につながっていくという嬉しい効果もあるのだとか。

「仮の状態でも構いませんので、収納スペースの枠を決めて、スペースに収まるような状態に一度整えてしまうことで、気持ちよくすっきりと使える状態をまずは理解しましょう。一度、キレイな状態を経験されると『こんな風に過ごせるのだったらもう少し量を減らしてみようかな』『入らなくなったら1枚処分しようかな』と環境からご本人が影響を受け、進歩されます」

仮置きの期間を設けて、いまの家族のライフスタイルや収納スペースとして割くことのできるスペースを知ることで、それに見合った収納のルールが自然とできていきます。

いまよりもちょっとだけキレイに整えるために、ちょっとだけ心地よくするために、ちょっとだけ使いやすくするために、そんな「ちょっと」を目標にしながら、仮置きの期間に新しい自分なりのクローゼット収納の方法を見つけてみてはいかがでしょうか。