長く使える良い収納家具と出会いたい…。そんな願いから今回、注目したのが「和家具」。一点物の存在感に加え、壊れても直せて何十年と使い続けられる和家具は、もっともエコな家具と言えるかもしれません。使ってこそ良さが実感できる和家具に、新たな命を吹き込む術を、創業70年の和家具アンティークの専門店「アンティーク山本商店」に伺います!
お題「家具表面のキズ、シミのリペア」
暮らしの道具である和家具だからこそ、表面のキズやシミは避けられないもの。仕上がりイメージをしっかり掴めていれば、初心者でも大丈夫。アンティークが映える絶妙なツヤ加減でリペアする山本商店で、好みのツヤの出し方を教えてもらいました!
家具の表情を整える
半襟などの和装小物を収納する桐の用箪笥。全体的な汚れに加え、上面の部分的な日焼けや横のひび割れも目立つ。
STEP1 ヤスリで全体の汚れを落とす<直伝!真似テク>
粗めの紙ヤスリで表面の汚れやシミを削り取ったら、目の細かい紙ヤスリで表面をならす。引き手の隙間まで丁寧に。
汚れやムラになった日焼けを紙ヤスリで削り落とすだけで、表情はずいぶん明るくなる。
STEP2 乾拭き<直伝!真似テク>
紙ヤスリで削って出た木の粉は、いらない布で乾拭きしてきれいに落としておく。
STEP3 オイルステインで着色<直伝!真似テク>
好みの色のオイルステインを布に少しずつ付け、伸ばすように塗る。木目に沿って染み込ませるように。
STEP4 ニスで表面を保護<直伝!真似テク>
表面を保護するためニスを塗る。木目に沿って、金具まで塗るときれいに仕上がる。ツヤを抑えたい場合は「半ツヤ」のニスを選んで。
STEP5 クリアラッカーで仕上げ<直伝!真似テク>
ツヤが欲しい場合は2、3度重ね塗りを。ツヤを抑えたい場合は、乾ききる前にタオルで拭えばマットな仕上がりに!
Before After
上部の焼けムラもなくなり、絶妙なツヤ感で美しく生き返った。仕上げにクリアラッカーを吹くことで、色ツヤの持ちがよくなるだけでなく、手や洋服への着色を防げる。光りすぎない質感が好みなら、「ツヤなし」のラッカーを選んだり、乾く前に表面を拭ったりすれば、表面を保護しつつマットな質感が実現できる。
同じ方法で木箱も美しくリペア!
運搬用の木箱から、職人が自分用に手作りした道具箱まで、アンティーク店では様々な木箱に出会える。汚れやシミは、色のトーンを落とせば目立たない。前述と同じ方法で、部屋の雰囲気に合わせてリペアしよう。
キズを目立たなくリペアする
座面の大きな傷が目立つ昭和初期の丸椅子。塗装でコーティングされているが、経年で全体的に傷やムラが出ている。
STEP1 全体をヤスリでこすりコーティングを落とす<職人技!>
美しく仕上げるため、元のコーティングはヤスリで全部剥がす。丸い部分は手作業になるため、根気のいる作業だ。
STEP2 キズを中心にヤスる<直伝!真似テク>
キズの凹みが目立たなくなるまで、紙やすりで丁寧に削る。
STEP3 ニスを塗る<直伝!真似テク>
木の質感を生かすなら、塗装はニスのみで。キズを生かしたアンティークな風合いが好みなら、キズにオイルステインを染み込ませるのも一興。
STEP4 ラッカーで表面を保護<直伝!真似テク>
全体に均等にクリアラッカーを吹き、半日ほどかけ完全に乾燥させれば完成。塗装時はマスクと軍手を着用し、換気のいい場所で!
Before After
大きかったキズが姿を消した。オイルステインを使わずニスだけで仕上げれば、温かい木の質感が伝わる明るい表情に。
まとめ
家具を塗装する時は、どう使われるかをイメージすることが大切。たとえば桐箪笥は「砥の粉仕上げ」が一般的だが、汚れやすく費用もかかるため、山本商店では、現代の日常で使いやすいようオイルステインでリペアする。光りすぎないツヤを出すことで、洋室に置いても違和感なく、外国のアンティーク家具との相性も良くなる。家具の表情を整えるリペアは、暮らし方に思いを馳せる作業でもあるのだ。
時代和家具の店 アンティーク 山本商店
下北沢で70年続く時代和家具の専門店。明治、大正、昭和初期の時代和家具と雑貨が、常時1500~2000点ほど揃う。地下1階から2階まで所狭しとディスプレイされたアンティークの和家具は、すべてメンテナンス済み。「使ってこそ良さを実感できる」とのポリシーから、仕入れた和家具は1点ずつ丁寧に職人が手入れし、新たな命を吹き込んでいる。お手入れ方法や家具の特性は、和家具を愛するスタッフがアドバイスしてくれる。価格も数千円からとリーズナブルで、幅広い年代の和家具ファンが足繁く通う人気店。
- 時代和家具の店 アンティーク 山本商店
- 東京都世田谷区北沢5-6-3
- 営業時間 11:00~19:00
- 定休日 月曜日 ※祝日の場合営業し、翌火曜日が振替休日
- 問い合わせ
- 03-3468-0853
- http://www.antique-yamamoto.co.jp/