長く使える良い収納家具と出会いたい…。そんな願いから今回、注目したのが「和家具」。一点物の存在感に加え、壊れても直せて何十年と使い続けられる和家具は、もっともエコな家具と言えるかもしれません。使ってこそ良さが実感できる和家具に、新たな命を吹き込む術を、創業70年の和家具アンティークの専門店「アンティーク山本商店」に伺います!
お題「棚を使いやすくリメイクする」
重くなった引き戸をスルスルと軽くするだけで、古い家具でもストレスなく使えます。テレビやレコーダーをしまいたいときは、目立たないようにコードを配線することもできます。和家具の雰囲気はそのままに、現代の暮らしに合わせて使い勝手を上げるリメイクに挑戦してみませんか?
木の引き戸のスムーズな開閉
BEFORE
昭和初期から中期頃の「置床」。味のある見た目が魅力的だが、木の扉が経年でたわみ、開け閉めに力が必要な状態。まずは、引き戸を開け締めしやすくする。
木はどうしても経年で反りが発生する。この扉の動きが重かったのは、表面の中心がたわみ、溝やレールに当たっていたから。このたわみを少し削るだけで、ぐっと動きは良くなる。
STEP1 余分な部分を見つける<直伝!真似テク>
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扉の裏側の中心に定規を当て、両端の反っている部分にまっすぐ印を付ける。
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定規を当ててみると、両端がこんなにたわんでいた。この裏の両端を、溝に当たらないよう削れば、スムーズに開け閉めできるようになる。
STEP2 ヤスリで削る<直伝!真似テク>
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削る時は、直角に削ることを意識して。直角部分のある木材に粗目の紙やすりを巻き付け、鉛筆で印をつけた部分を少しずつ削る。
STEP3 キレイに木屑を取る<直伝!真似テク>
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乾いたいらない布で、ていねいに木屑を払う。
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あまり削りすぎると、遊びが大きくなりガタツキが出てしまうので、少しずつ削って調整しながら進める。
STEP4 ロウを塗る<直伝!真似テク>
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削り終えたら、溝と当たる部分の滑りをさらに良くするよう、ロウを塗って仕上げる。
AFTER
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扉の両端の反った部分を削り、ロウを塗ることで、指一本でスルスルと開くようになった。裏側を削るので、雰囲気のある見た目はそのままに、使用感だけアップできている。
テレビボード用に穴を開ける
BEFORE
テレビ台としても人気のこのタイプの家具は、コード用に穴を開けてほしいというリクエストも多いそう。今回は、初心者でもできる、四角い穴の開け方を教えてもらった。
STEP1 穴の位置とサイズを決める<直伝!真似テク>
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手持ちの機器のコード位置に合わせ、穴を開けたい場所に印を付ける。直角になった「差し金」などを使えば正確に位置決めできる。今回は左端に4cm四方の穴を開ける。
STEP2 カッターで穴を開ける<直伝!真似テク>
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ベニヤ板でできていることが多い背板は、実はカッターでも穴あけが可能。5mm厚ぐらいまでなら、専用の道具がなくて大丈夫。
AFTER
使いやすそうな穴が簡単に空いた。所要時間は20分程度。あまり力を入れると割れたり、板の表面がめくれてしまうので、何度も同じ場所をなぞって切り込みを入れながら、少しずつ作業するのがコツ。大きな家具の場合は内側から作業した方が、失敗しても背板側がめくれるので目立たない。
まとめ
古い和家具もアレンジ次第で、今の暮らしになじませることができる。山本商店では、時が刻んだ味はそのままにしつつも、使い勝手は良くなるよう、バランスのいい提案をしてくれる。和家具の温かみを感じながら暮らす日々を手に入れたい人は、まずは相談してみては?
時代和家具の店 アンティーク 山本商店
下北沢で70年続く時代和家具の専門店。明治、大正、昭和初期の時代和家具と雑貨が、常時1500~2000点ほど揃う。地下1階から2階まで所狭しとディスプレイされたアンティークの和家具は、すべてメンテナンス済み。「使ってこそ良さを実感できる」とのポリシーから、仕入れた和家具は1点ずつ丁寧に職人が手入れし、新たな命を吹き込んでいる。お手入れ方法や家具の特性は、和家具を愛するスタッフがアドバイスしてくれる。価格も数千円からとリーズナブルで、幅広い年代の和家具ファンが足繁く通う人気店。
- 時代和家具の店 アンティーク 山本商店
- 東京都世田谷区北沢5-6-3
- 営業時間 11:00~19:00
- 定休日 月曜日 ※祝日の場合営業し、翌火曜日が振替休日
- 問い合わせ
- 03-3468-0853
- http://www.antique-yamamoto.co.jp/