壁紙を貼り替えるなど、軽くいじるくらいでいいか〜と気楽に考えていた、セカンドハウス山の家のリフォーム。インテリアデザイナーに依頼して、いくつか工務店に見積もりを出してもらいました。いろいろ悩んでいるうちに、ある日ポストに投げ入れられたものは……。

N・Y

N・Y

東京郊外の一軒家で、3人家族+柴犬(3歳)と暮らす、恐妻家のお気楽会社員(53)。30年以上続けるアマチュアJAZZバンドでは、ギターを担当。ジャズ雑誌などで評論記事を執筆。暮らし系のエッセイは初挑戦。コスパよく別荘生活するコツを、あまり堅苦しくなく、お伝えできたらと思います。

住めるようになったセカンドハウスだけど…早くリフォームしたい! 相談した先とは?

洗面所の現況です。この壁紙といい、懐かしい蛍光灯の照明といい、なかなかですよね(苦笑)。
リフォームについてあれこれネット検索を続けてきましたが、どうにも決め手がわかりません。そこで妻が、知人にひとまず相談しようと言い出しました。40代のSさんというインテリアコーディネーターです。Sさんはさっそく、近所の温泉に泊まりがてら、山のわが家を見にきてくれました。

「まず、この家をどうしたいか、大まかなイメージでいいので、教えてください」
Sさんは言いました。僕たちは、特に水回りなどの大きな工事は必要ないと思っていました。

・LDKの壁紙と照明
・LDKの床を無垢材に
・キッチンの面材変更
・ボロボロの洗面所の壁紙、床、照明
・玄関の壁紙、照明、床、収納
・玄関ポーチを直したい
・ウッドデッキを作りたい

Sさんは私たちの要望にウンウンと頷きながら、メモをとっていきます。ウッドデッキを作るなら、玄関ポーチごと取り込むような形で、広いものを作ったらどうか、などの提案をしてくれました。

話の流れで、テレビのアンテナ業者さんに「屋根を直した方がいい」と言われたことを伝えると、Sさんはかすかに眉をひそめました。

「なるほど…それは、築年数を考えても、やる必要があるかもしれませんね。室内については、多少不満があったとしてもなんとか使える状態じゃないですか。でも構造自体が弱くなっているとなると…インテリアは二の次でいいというか。そんなこと言ったら私の意味がなくなっちゃうんですが(笑)。とりあえず、工務店さんに相見積もりをとって、そこから何が必要かを具体的に考えていきましょう。室内については、どんなものでもいいので、イメージを膨らませておいていただいて、雑誌でもネットでも、気になるインテリアの写真があったらどんどん私に送ってください」

施工会社もやっぱり相性が大切

その後、2社の工務店の方がわが家の下見に来てくれました。
まずはA社。地元では有名な会社です。Sさんも同席し、私たちの要望を伝えながら、一緒に家の中を見て回りました。30分ほどで、下見は終了。最後に外観を見上げて、A社の担当者は言いました。「屋根と壁はやった方がいいでしょうね。かなり…かかりますよ」。

次に、日をおいてB社。
知人の別荘を手がけた隣町の工務店で、丁寧な仕事ぶりが評判の会社です。こちらの担当者は、あらかじめ大きな脚立を持ってきて、屋根に上り、また屋根の中や床下にも入って細かくチェックをしていきました。室内も、動線がイマイチな洗面所や玄関の古い収納などについても取り替えて、造作したらどうかという提案もしてくれました。
「屋根は、そうですね、かなり傷んでいます。床下にもいくつかクラック(割れ目)が見つかったので、手を入れる必要がありそうです。でもこれはハウスメーカーの家ですよね。造りが木造住宅とは違って特殊なので、どうだろう…やり切れるかなというところはありますし、やってみたらさらにお金がかかる、なんてことになるかもしれません。また、ウッドデッキですが、玄関ポーチをカバーするほどとなると、相当な大きさになりますよ」。

2社の下見を受けて、私の感触としてはB社に軍配でした。
A社は、もともと受ける気がなかったのかもしれませんが、さーっと見て回っただけ、という感じ。細部まで見てくれたB社と比べると、安心感を得られませんでした。

見積もりに関するやりとりもすべてSさんが間に入ってくれました。Sさんも、B社に決まりですね、という感想でした。
「工務店とはしばらくやりとりが続きますから、相性がやっぱり大事ですよ。話していて気分がいい人と進めた方がいい」。

両社とも、ざっと800万円ほどの見積もりでした。内訳は以下の通り。
・木の伐採 65万円
・屋根、外壁の工事 200万円
・玄関改修 100万円
・ウッドデッキ 200万円
・室内のリフォーム 250万円

うーむ。室内のリフォームだけでいいと思っていたのが、なかなかの金額です。
やるのか、やらないのか。さらにB社は人気でとても忙しく、決めたとしても工事はかなり先になってしまうとのこと。これは数年先までかかるかなあ…そう思いながらポツポツとやりとりしているうちに冬がきて、山はオフシーズンに。

また春になったら具体的に決めましょう、ということで、いったんリフォーム計画は保留になりました。その間にSさんは、室内イメージやウッドデッキのイメージ図などを作って送ってくれました。私たちはそれを見ながら、いろいろと妄想を膨らませていたのです。

そのうち、「雨漏りをしているわけでもないから、まあ屋根はまだやらなくていいかな、室内のリフォームとウッドデッキだけやろうか」などと考えるようになりました。

春がきて、ポストに投げ込まれていたものは

山の家開きは4月の半ばでした。
このころ、信州ではまだまだ桜が見頃です。東京ではすっかり散ってしまっていたので、なんだか得したような気分でセカンドハウスへ向かいました。

玄関を開けると、ポストに書類が投げ込まれていました。見知らぬ名前宛ですが、住所は間違いなくここで合っています。差出人は、この家を建てたハウスメーカーでした。初代オーナー宛の連絡だったのです。

「●●様 今年は35年点検です。5年に一度の無料点検にお伺いしますので、ご希望日時についてご連絡をください」

これを見て、妻が言いました。
「屋根とか構造については、建てたメーカーに見てもらうのが一番いいんじゃない? 連絡してみようよ」。
でも、無料で見てくれたとしても、その後のリフォームはやっぱり高いんじゃないだろうか。それに先にB社にいろいろ見積もりを出してもらっている手前、申し訳ない気もします。
「何言ってるの、最善に対してお金を払うべきでしょう。これも相見積もりなんだから、やってみた方がいいわよ」。

気にしぃの私は律儀にB社に連絡を入れて、ハウスメーカーが点検に来ることを伝えました。すると担当の人は、少しほっとした様子でこう言ったのです。
「よかったです、餅は餅屋ですよ。建てたメーカーに見てもらうのが一番です。クラックの部分とか、いろいろ気になるところがクリアになるんじゃないですか。それでもうちに依頼したいということでしたら、またご連絡下さればいいので」。

ハウスメーカーに連絡をすると、さっそく点検に来てくれました。
そして結局、わが家はハウスメーカーにリフォームのほとんどを任せることに決めたのです。その理由は、構造についての安心感と、きめ細かな点検、ツボをついた提案。これから長くこの家を使うことを考えると、やはりもともと建てたメーカーに相談をしていった方がいい、と納得したのです。

動き出したリフォーム計画。また次回、詳しく書きたいと思います。

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