こんにちは。ライター佐藤望美です。
私のコラムは「暮らしにつながる旅」をテーマにお届けしています。今回は島根県の出雲。出雲大社へお詣りしてきました。日本人でよかった!と心から思える温泉ステイで、印象に残ったインテリアデザインをご紹介します。
出雲大社へのお詣り旅に選んだ温泉旅館は「界 出雲」
島根県の出雲を訪れた理由は、出雲大社への参拝。今年一年無事に過ごせたことに感謝する年末詣の旅です。
出雲大社の近辺にもお宿はたくさんあるのですが、今回は車で20分ほどの場所にある「界 出雲」に宿泊。温泉でゆっくりしたかったのと、窓からの景色にこだわりたかったから。ここは「灯台と水平線を望む お詣り支度の宿」というコンセプトで、日御碕灯台が見える客室にも惹かれて選びました。
こちらは地元の伝統文化をふんだんに取り入れたご当地部屋、「彩海の間」(さいかいのま)からの景色です。
藍色使いが光るインテリア。灯台側の客室には、夕日がより鮮やかに美しく感じられるように、補色効果のある藍色を取り入れているのだそうです。
今回は反対側(海側)の客室も特別に見せていただいたのですが、こちらは朝焼けをイメージ。石州和紙という島根の伝統工芸品でつくられた赤の壁紙が素敵です。
同じベッド、同じ畳。似たようなレイアウトですが、色が違うだけでここまで印象は変わるのですね。
旅に出てさまざまなタイプの客室に泊まると、自分の嗜好がだんだん明確化していることに気づかされます。私はブルーが好きなんだなぁ、ということをひしひしと実感。器も花瓶も、惹かれるのはブルー系の色味ばかりです。
このお宿は、フロント横の壁もブルー。江戸時代のたたら操業に始まり、刀鍛冶の技術を現代に継承している「鍛治工房 弘光」が手がけたアートワークだそうです。日本海と、沈む夕日をイメージ。黒い点々は、じつは玉鋼とノロ(砂鉄に含まれる不純物)です。
間接照明をとり入れたい欲もムクムクと
「鍛治工房 弘光」の作品は他にも!
かわたれテラスというパブリックスペース入り口に設けられたライトです。こちらも深いブルーがなんとも言えない大人っぽさ。濃いネイビーは、黒よりシックで洗練された雰囲気になると個人的には思っています。
近々取り入れたいなと思っているのが間接照明。お宿にディスプレイされていた照明はどれもジャパニーズモダンなデザインで、私好みでした。
私の家は仕切りやドアをなるべくなくした開放感のある間取り。家のどこにいても家族がつながっているような家を目指して設計したのですが、ただただ広いだけの空間に見えてしまうこともあるのがちょっとした悩みです。間接照明は、空間のゾーニングや立体感を出すのにもってこいですね。
出雲大社といえば、神楽殿の大注連縄。それを思い起こさせる注連縄デザインは館内でも効果的に使われていて、なんだか神聖な雰囲気。背筋がピンと伸びるような気持ちです。
ちょっとモダンな家でも馴染んでくれそうですよね。わが家にも神棚があるので、この年末からは注連縄を飾りたい!
蟹づくしの会席。料理と同じくらい器が気になる
今回はひとり旅だったのですが、ここではおひとりさまでも蟹を楽しめるプラン(ひとり蟹会席)が。蟹を独占して自分のペースで食べられるのは、想像していたよりはるかによかった!
松葉蟹の灯台盛りや湯引き刺し(上の写真)。一生分の蟹を食べつくしたかと思うくらい、いただきました。それにしても、器や盛りつけが華やかで美しかった…。開運を意識したデザインを多くとり入れているそうです。
こちらは香箱蟹のグラタン仕立て。ほぐした蟹の身や蟹味噌を使った濃厚なグラタンで、蟹の甲羅をかたどった器に盛りつけられています。
食べ終わったら、すかさず裏返して確認。「持っていても家ではほぼ使わないけれど」というようなデザインの器に出会うとワクワクします(笑)。
一番好みだったのはデザートの器。こちらは島根県松江市の袖師窯のものです。なんと1877年に開窯し、今は5代目が継いでいるとのこと。
素朴で使いやすそうなのに、洗練された表情もある。和洋中、どんな料理も受け入れてくれそうです。
今回は松江まで足を延ばす時間がなく残念です。次回はぜひ窯元を訪れてみたい!
これまで知りませんでしたが、島根には窯元がたくさんあるよう。「界 出雲」では袖師窯の他にも多くの焼き物が使用・展示されていて、ショップでもいくつか販売がありました。
こちらは石見焼、石州嶋田窯の一輪挿し。富士山のようなデザインに惹かれて、チェックアウト時に購入しよう!と張り切っていたらなんとタッチの差で別の方が先にお買い上げ…。こんなことってあるんですね。こちらは、売り切れる前に撮影していた写真です。
今ある他の在庫を見せていただき、選んだのはこちら。
これはこれで、気に入っています。短く折れてしまったドライフラワーを挿してもいいし、パセリなど使いかけのハーブを飾っても可愛いかも? 今のところ、キッチンカウンターにそのまま飾っています。
新しいモノとの出合い、新しい発見。だから旅はやめられません。
それでは、またお会いしましょう。