第8回目は、秦泉寺里美さん(@jzjstm)のお宅を訪問。都心に住むことにこだわり、16坪の土地を購入して注文住宅を建てました。狭小住宅ならではの工夫や内装について詳しくお話を伺います。後編はこちら

HOUSTO 編集部

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ツレヅレハナコさんプロフィール

食と酒と旅を愛する文筆家・料理研究家。書籍、雑誌、WEBなどへの寄稿やレシピ提案だけでなく、調理器具のプロデュースなども手掛ける。『女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、『世界の現地ごはん帖』(光文社)、『47歳、ゆる晩酌はじめました。』(KADOKAWA)など著書も多数。
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秦泉寺さん宅のプロフィール

住まいの種別:注文住宅
築年数:2年
地域:東京都
床面積:約86㎡
施工会社:ホープス
間取り:2LDK
家族:夫との2人暮らし

マンション探しから戸建てに方向転換。施工会社は「東京 狭小住宅」で検索して探しました

ツレヅレハナコさん(以下ハナコ):狭小住宅と聞いていましたが、リビングダイニングがすごく広く感じますね!

秦泉寺さん(以下秦泉寺):とにかく狭い土地なので、いかに圧迫感をなくすかを考えて設計してもらいました。

ハナコ:家づくりのきっかけはなんだったんでしょうか。

秦泉寺:以前は賃貸住宅に住んでいて、契約更新のタイミングでそろそろマンションを買おうかと夫と話していたんです。でも80〜90平米くらいの広さで探すとファミリー向けの物件が多くて。私たちは夫婦2人だし、それに新築マンションはどれも似たようなデザインと間取り。じつはハナコさんの著書『女ひとり、家を建てる』がきっかけで、家を建てることに決めたんですよ。ハナコさんの本を読んで「家ってこんなに気軽に建てられるものなのか!」と思ったんです。

ハナコ:あら、それはうれしい! 私もまさか自分が家を建てるとは夢にも思っていませんでしたからね。

秦泉寺:以前は、歳を重ねた大人が人生の集大成として家を建てるようなイメージを持っていました。でも、ハナコさんはもっと軽やかに家を建てていて(笑)。

ハナコ:マンションを買っても結局は同じくらいお金がかかる場合があるし、実際に建ててみると家づくりのハードルってそんなに高くないのかも?と私は思ったんです。この土地はどうやって見つけたんですか?

秦泉寺:マンション探しをお願いしていた不動産会社が、土地もひとつ見てみましょうかと案内してくれたところが、ここでした。

ハナコ:へぇ! それで決まったのならすごい。

秦泉寺:後から他の土地も見ましたが、結局はここの立地がとてもよかったので決めました。

ハナコ:かなり便利な場所ですよね。渋谷へのアクセスがよくて、最寄り駅からも割とすぐでしたし。

秦泉寺:そうなんです。通勤することを考えると、やっぱり利便性のいい都心に住むことは私たち夫婦にとって譲れない条件でした。少し離れたエリアまで選択肢を広げれば、もっと広い土地もあったんでしょうけれど…。確かにここは狭いし、実はものすごく高かったですが、それはもう仕方がない。

ハナコ:なるほど〜。施工会社を選んだ決め手はなんだったんでしょうか。

秦泉寺:「東京 狭小住宅」とネットで検索しました。選んだ会社はオリジナルのワークショップがあって、それを受けてから信頼感が増し、お願いすることに決めたんです。ワークショップは暮らしで大事にしたいこと、好きなことの写真をA3用紙に好きに貼っていくという内容。私はキャンプやお酒、音楽フェス、友人、家族。夫は音楽や家族、キャンプ、旅行をコラージュしました。担当者の方がそれを見て、「部屋数の多さにこだわらず、人が大勢集まりやすい開放感のある家」を提案してくれたんです。

ハナコ:まさにお2人にぴったりのコンセプト!

秦泉寺:家族構成や、どんな間取りにしたいかということはいっさい聞かれなかったのが、逆に新鮮でした。まさに私たちのライフスタイルに部屋数はあまり必要なかった。結局この家はリビングダイニングと1階の寝室、3階の書斎だけです。

ハナコ:めちゃくちゃシンプルな間取りですよね。

キッチンはあえて壁づけに。2人並んで料理できる広さを確保しました

ハナコ:リビングダイニングは2階に持ってきたんですね。キッチンはわが家と同じ壁づけ。「壁づけは今の流行りじゃないけど本当にいいですか?」と打ち合わせのとき建築士さんに聞かれましたよ。でも私は誰かと向かい合って料理したいわけじゃないんですよね。

秦泉寺:今は対面キッチンが主流ですもんね。でも私もハナコさんと同じで、料理に集中したいタイプ。壁に向いていることで、むしろダイニング側と一体感が出ると思っています。友人たちを招いてホームパーティーをするのが好きだし、キッチンには立ちたい人が立てばいいという感じで。

ハナコ:ワークトップが広いですね。食器がとり出しやすいのもいい。

秦泉寺:2人並んで料理できることにこだわりました。作業スペースを確保するため、ここにはものを置かないように気をつけています。あと私は背が高いので、標準より高い90cmに。キッチンや吊り戸棚は「EIDAI」のものですが、吊り戸棚下のオープン棚は、大工さんにお願いして造作してもらいました。お気に入りの器を見せられるようにしたかったんです。

ハナコ:そんなことができるんですね! 木の材質や色味が近いから、てっきりメーカーのものかと思いました。ダイニングテーブルのそばに置いているカップボード、バルミューダ製品で埋め尽くされているのが気になる〜。

秦泉寺:私、「バルミューダ」の広報担当を務めているんです。仕事としてだけでなく本当にうちの社の製品が大好きで、持っていない製品はほぼないです(笑)。このカップボードは「HACHIDO」というインテリアデザイン事務所を営む友人に頼んでオーダーメイドしました。炊飯器置き場は蒸気を逃すためにスライド棚にしてもらいましたが、バルミューダの炊飯器に合わせてミリ単位でサイズを合わせています(笑)。

ハナコ:ブランド愛がすごい。それにしてもこのカップボード、天板がステンレスになっているのが珍しくないですか?

秦泉寺:そこはこだわったポイントで、キッチンのステンレスワークトップと雰囲気をそろえかったのが理由です。木の優しい印象は残しつつ、テンションを合わせました。

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