パティシエとして、野菜を主役にしたさまざまなレシピを考案する傍ら、企業とコラボレートした商品開発や講演会、食育セミナーなど多方面で活躍される柿沢安耶さん。膨大なものや資料はどのように収納しているの!? そんな好奇心からアトリエを訪ねてみました。
「必要なときにすぐに取り出せる」が大事
川合
パティシエとしての仕事に加えて、食育セミナーや農業支援活動、講演など多方面で活躍されていらっしゃる柿沢さんなので、食材関連の本や、資料に囲まれて生活されているのではないかと想像していましたが、見当たりませんね?
柿沢
目につかないようにしてありますが、書類関係も捨てられなくて、過去に考えたレシピから、いまのレシピまで、終了したプロジェクトの資料もすべて書庫に保管してあります。 同じサイズのファイルに、プロジェクトごとにファイリングしていて、各ファイルには、終了した順に識別用のナンバーをつけ、最後にデータ化。一覧表で管理しています。 整理とか仕分けとかおそらく好きなんですね。必要なときにすぐに取り出せることが大事なので、その日のうちに整理するということを徹底しています。
川合
すごいなー。図書館のようなアーカイブ。そして、番号で振り分けた情報を最後にきちんと一元化されているとは…。
柿沢
心配性なのかもしれないです。写真とかもぜんぜん捨てないので。枚数もハンパない(笑)。 けっこう使うんですよ。たとえば、クリスマスのときとか、バレンタインのときに、「あのときどんな商品を作ったっけ…」みたいな確認をしたりするので。必要な書類をいつでも取り出せるようにしていたいんです。
川合
なかなかここまで細かく整理できないですよ。
柿沢
「その日のうちに」というのが、きっと大事。時間が経ってしまうとどこまでやったかわからなくなってしまうので。仕分けが好き、でも捨てない(笑)。
川合
「その日のうちに」やるべきだなと痛感しています。見習わなくては…(本日2回目)。この書類の中には、野菜に関する膨大な情報が詰まっていると思いますが、最近注目しているものがありますか?
柿沢
「伝統野菜」に注目しています。古くからその土地で作りつづけられてきた在来品種で、採種を繰り返していく中で、その土地の風土にあった野菜として確立されてきた野菜ですが、生産者の高齢化や育苗の難しさなどから継承が危ぶまれている野菜でもあります。 何百年も作りつづけられているその土地に合ったこの伝統野菜を、私は残していきたい。 スイーツにすることで、伝統野菜が日の目を見るようなお手伝いができたらとおもっていて、伝統野菜を活かしたお土産の製品化などを考えています。
川合
伝統工芸を維持することと似ている気がします。守って継承していくための努力をしていかないといけませんね。 柿沢さんが新しいメニュー取り入れることによって、生かされる。
柿沢
ものとの付き合い方にも共通していえることですが、ほんとうにいいと思えるものを大事に使いつづけて生かしていく、それが私にとっての心地よいスタイルです。
ゲストプロフィール
柿沢 安耶
東京都出身。世界初の野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」オーナーパティシエ。イベント出演、料理教室講師など野菜の魅力を伝える幅広い活動とともに、食育セミナーや農業支援活動なども精力的に行っている。
→パティスリー ポタジエ