暮らしに伴うモノ、コト、あらゆる要素について整理し、収納に工夫をこらすことのプロである整理収納コンサルタント 本多さおりさんの自宅兼仕事場をインテリアスタイリスト川合将人さんが訪れました。 本多さおりさんの“ムダを生まない暮らし”とは!?

川合 将人

川合 将人

雑誌や広告、住宅メーカーのモデルルームなどで活躍中のインテリアスタイリスト。近年はコンサルティングや空間演出等も展開。

http://kawaimasato.com/

ムダがほんとに嫌いだから、「見直し」を繰り返す

整理収納コンサルタントになったきっかけとは!?

川合

整理収納コンサルタントとして、個人宅の収納整理サービスを行う傍ら、書籍の執筆や、雑誌の監修など幅広く活躍されていらっしゃいますが、 どのようなことがきっかけで現在のようなお仕事に至ったのですか?

本多

すべてブログがきっかけです。 家庭向けの整理収納サービスをはじめた際に、お客さんを募集するのもブログでしたし、 書籍を2012年に初めて出させていただいたんですが、そのときもブログ読者だった編集者さんからのお声がけがきっかけでした。 同時期に生活情報番組『まる得マガジン(NHK)』の収納特集に講師として出演させていただいたのですが、それもブログから。 当時、なんの実績もない一主婦だった私が、ブログを見てくださった方からコンタクトいただき、仕事に結びついていきました。

川合

ブログが仕事につながったというのは、興味深いです。 家庭向けの整理収納サービスは どのようなことを行っていらっしゃるのですか?

本多

ブログで新規のお客さんを募集して、 ご応募いただいた方の中から月に5〜6人くらいしか担当できないんですが 個人宅に伺って整理収納のサービスを行っています。 どこを整理したいのか、家族構成などの情報を写真と一緒に事前にメールで送っていただくようにしていて、その情報や写真をもとに改善点を考えてご自宅に伺い、1回5時間ほどの作業を行うという流れです。

「整理収納」ってなに??

川合

整理収納サービスで大事にされているのはどういったことですか?

本多

サービス当日、事前に送っていただいた資料と写真をお客さんご本人にも一緒に見ていただき、日々の暮らしについて細かい内容までしっかりヒアリングします。 自身の生活について客観的にみてもらうことで、改善すべき点がみえてくるんです。 そして、「整理収納ってなに?」ってことからきちんと説明します。 これから行うことの目的を共有するかんじです。 整理=物を出して分類すること。 分類は、「いる」、「いらない」もそうだし、食器、調理ツール、食品、お弁当関係のもの…などのジャンル分けもそう。 さらに「食器」といっても、よく使う「一軍」、たまに使う「二軍」といった使用頻度の分類というのもすごく大事で、食器だからといってすべて同じ場所にしまわなければならないわけではないんですよね。 いい場所には使用頻度の高いものをおきたいじゃないですか。

川合

整理収納サービスで大事にされているのはどういったことですか?

本多

食器だからという括りで、一軍も二軍も三軍もごちゃごちゃになってぎゅうぎゅうに押込められている状態を、ぜんぶ見直してリセットしてもらうために分類の作業をしてもらいます。 三軍のものなんて、もうほとんど使っていないもののはずなんです。 それなのに、三軍の食器がいちばん取りやすい場所に鎮座していたりすることも…。 こうして整理したものを場所にマッチングさせていくのが収納です。 一部の引き出しだけをちょこちょこ整理しても、問題の根本の解決にならない。 そもそも、その場所がベストじゃない場合があるので。 整理することは、自分の傾向のようなことを知ることにもつながります。 「収納」よりむしろ「整理」の方が大事なくらいです。 こういったことをお客さんに説明し、そこからは体育界系の作業がスタートします(笑)。

川合

なるほど。 僕の場合は、モデルルームや店舗の空間を手がけるとき、床や壁といった目にする面積の多い面の内装材をどのような素材にするのか、まずベースを決めていき、その上に家具や照明を乗っけて空間をつくっていくかんじなのですが、まったく視点が異なりますね。

情報管理でも、ムダはなくせます

川合

お客さんの情報をはじめ、仕事に纏わる情報はどのように管理されてますか?

本多

手書きの内容はすべて手帳に、データはiPhoneに一元化。 情報整理のポイントは、検索するときのことを考えることです。 手書きもデータもインデックス分け、フォルダ分けで分類をします。 メールはGmailを活用しています。 Gmailは分類のしやすさ、視覚的なわかりやすさから仕事メールとして採用。 メールの自動振り分け設定をしていて、プロジェクト毎にラベルをつけて分類しています。 私にとっては、ほしい情報に辿り着きやすい状態にしておくことが大事です。 ものの収納同様、ムダが本当に嫌いなんですよね。

川合

ムダを生まないために、あらゆることにおいてスムーズで心地いい新しい暮らしのスタイルを考えていらっしゃる本多さんに、収納製品の開発をお願いしたいですね(笑)。

本多

ただキレイになっただけじゃなくて、 「生活がしやすくなった」とか、「やりたかった●●ができたの」とか、 時間と心にゆとりが生まれたというようなエピソードをお客さんからいただけるのがすごく嬉しい。 私のようなアドバイザーの仕事は、お客さんが一人で片付けられるようになるためのお手伝いをすることですが、一緒にお手伝いすることで「空間を整理収納するとこんなにいい効果がある」ということを実感していただきたいです。

ゲストプロフィール

本多さおり

整理収納コンサルタント。個人宅向けの整理収納コンサルティングを行う傍ら、雑誌やWebで自身の経験に基づいた暮らしに寄り添うシンプルな収納術を提案。著書に『家事がしやすい部屋づくり』(マイナビ)、『もっと知りたい 無印良品の収納』(KADOKAWA/メディアファクトリー)ほか。 http://hondasaori.com