空間を彩るインテリア。色合い、ファブリック、家具の配置、照明、小物やグリーン……インテリアを見れば、その人の個性がわかります。そして収納も、インテリアの大切な要素。今回は、インテリアデザイナーの柳生千恵さんのオフィスで、美しい収納のヒントを教えてもらいました。
ティーサロンのようにくつろげる美しいオフィス
東京と湘南で活躍するインテリアデザイナー、柳生千恵さん。リノベーションデザインや新築、店舗まで、広く手がけています。インテリアコーディネーター、City & Guild introduce to Home Interior Design Certificate(英国資格)のほか、キッチンスペシャリスト、整理収納アドバイザーなどの資格も持っている柳生さん。イギリス生活の経験は、自身の仕事の幅を広げてくれたと話します。オフィスは、都心のワンルームマンション。好きなもので美しく彩られたこの空間は、インテリアサロンも兼ねており、オリジナル家具も置かれています。
「窓からは美術館のエントランスが見えて、園庭の緑から四季を感じることができます。ここでは、たまにアフタヌーンティーなど、ちょっとしたパーティーをすることもあるんですよ(柳生さん、以下同)」。 ワンルームにありがちな生活感のあるキッチンも、パネル扉で隠してあります。これはもともとの造りではあったそうですが、とても気に入っていると柳生さん。
好きなものは見せて、魅せる
「収納について、私はインテリアコーディネーターの目線で考えます。『整理整頓』はその道のプロに任せて(笑)、好きなものをどう配置するか、という発想ですね。自分の好きなものは、大切にしまい込むよりも、いつでも眺められるように、また、手に取って使うことができたほうがいいと思うんです」。 そう話す柳生さんのオフィスには、ご自身のセンスで選んだ小物があちこちに飾られています。
「イギリスでは、よく骨董市に行きました。日本でも、骨董屋さんを廻るのが好きです。でも、そんなに高価なものを買うわけではなくて、掘り出し物を探すのが楽しい。少しずつ集めたアンティークは、普段使いしています。好きなものは、どんどん使ってあげること。せっかくの出会いものですから。インテリアも、こうして好きなものを飾ることで自分らしさが出るんですよ」。
「お客様との打ち合わせでは、会話を重ねます。私の好みを押しつけるのではなく、その人自身の好みと、客観的に見つけたその人に似合うものを合わせて、居心地のいい空間を作ることが仕事だと思っています」と柳生さん。 柳生さんが手がけた物件は、いずれもテイストが異なっています。しかし、どの物件も、気分が明るくなる、生き生きした空気感に満ちています。 「好きなものに囲まれる暮らしは、人生を豊かにしてくれます。インテリアのスパイスは、“魅せる”ディスプレイ。自分自身の好きなものを見つめ直す機会にもなると思いますよ」。
カフェのようなオフィスとプリンセスルーム
タイプの異なるリノベーションの施工例を2つ、見せていただきました。 タイプ1は、倉庫を兼ねたオフィス。ウエディングの招待状などを扱うオフィスは、大量のペーパー類の保管にスペースが必要でした。ワーキングスペースにはカフェのような快適性を持たせ、連動する倉庫はブラックの棚でスタイリッシュにまとめています。
タイプ2は、「プリンセスルーム」と名付けられた、女性一人暮らしのマンション。外でバリバリと仕事をこなす女性が、思い切り自分の好きな世界に浸れる夢の空間を実現しています。クローゼットも広々、壁の色にもこだわりました。
好きな色、風景、映画、雑貨……。自分の趣味をとことんつきつめて、お気に入りのアイテムに囲まれる暮らしは、心に安らぎを与えてくれます。 まずはささやかなスペースから、ディスプレイにこだわってみませんか。家の中に、心地よい新風が吹くことでしょう。