鎌倉の山の中に見つけた古い住宅をリノベーションして、唯一無二の空間を作り上げた塙麻衣子さん。里山の緑と、自らが手がけるボタニカルブランドの植物たちに囲まれた暮らしのなかで、どんな風に「収納」を工夫しているのでしょうか。
家も、庭も、自分たちの手でつくり直す
ボタニカルブランド「The Landscapers」を展開し、ガーデニングを中心とした新しいライフスタイルを提案する塙麻衣子さん。 学生時代は建築を専攻し、インテリアショップやディベロッパーに勤務した後、子育てをしながら、植木職人に突然の弟子入り。植物と庭作りを体当たりで学んだ経験が、現在の会社運営に繋がっています。 そんな塙さんが暮らすのは、家族と仲間たちの手でリノベーションをした、築40年の元和風住宅。鎌倉山の200坪以上ある土地に建っています。 「この場所とは、本当に、偶然の出合いでした。もともと日本庭園だった庭も、購入した当時は雑草だらけのジャングル状態。でも、それが逆に良かった。理想の場所を、自分たちで作つくることができると思ったんです」(塙さん、以下同)。 庭も少しずつ手を入れていき、中央にアトリエも設けて、現在はレンタルスペース「KAMAKULAND」としてロケーション提供しています。
見せる収納、見せない収納のバランス
「直す前に引っ越してきたので、家の中は古いままでした。2階に家族で暮らしながら、リノベーションをしていったんですよ」。 工程を見ながら、ここはこうしよう、あそこはこうしよう、とその都度考えて進めたリノベーション。収納は、どんな発想で作っていったのでしょうか。 「必要最低限のものは残して、扉をやめました。理由は、節約できるから(笑)。家作りのなかで、扉や建具って、大きな減額要素なんですよ」。 確かに、塙さんの家の中には、ほとんど扉がありません。 洗面スペースには、トイレにも扉がありませんでした。 「あえて扉を付けたのは、キッチン家電置き場を兼ねたパントリーですね。冷蔵庫、レンジなど、生活感の出る家電の露出はさせたくなかったんです。キッチンじたいを、家具のように見せたいと思っていたので」。 見せるものと、見せないものとのメリハリが、独特のインテリア空間を演出しています。
家族がのびのびと過ごせる場所づくり
必要以上に扉がない家には、家具も多くはありません。 2階のリビングダイニングは、すっきり開けたワンフロア。大きなソファも置かず、広々とした床で、家族がめいめいにくつろいで過ごしているのだとか。 「子どもたちは、自分の座布団を持っていて、自分の好きなところに運んで、ゴロゴロしたりしています(笑)。勉強も遊びも、気分に合わせて移動してやっている感じですね」。
「さまざまなインテリアに接する仕事を、ずっとしてきました。昔は、デザイナーズの家具がとても好きだったし、もっと都会的なインテリアに傾倒したこともありました。植物と、この土地に出合って、子育てをしながら家をリノベーションしていくなかで、必要なもの、必要でないものを見分けるようになりました」。 つくり込んだインテリアや、肩肘の張った収納よりも、家族にとって楽で、自然なほうがいい、と塙さん。 「いつも使うものをどう配置するか。家族が使いやすく、しまいやすくすること。乱雑に見えながらも、快適に過ごせるように少しだけ工夫することが、わが家流の収納かな、と思います」。
ディスプレイの参考にしたいショップ「アラウンド」
塙さんのご自宅から少し歩いた場所に、The Landscapersの旗艦店「アラウンド」があります。ここは、塙さんがつくり出すボタニカルプロダクトを中心に、セレクトした家具や雑貨などが並ぶ、個性的なインテリアスタイルショップです。 「ディスプレイは、いつもなんとなく(笑)。感覚でやっています」と塙さん。 憧れのグリーンを多用したディスプレイは、参考になるものばかりです。 ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。 http://landscapers.jp/shop/