こんにちは!今回は前回のブログでご紹介させて頂きました、デザインマイアミ バーゼルの視察時に立ち寄った、家具メーカーの<ヴィトラ>の本社敷地、通称「ヴィトラ・キャンパス」にある施設「ヴィトラ ショウデポ」について書きたいと思います。
広大な敷地に、世界的な建築家たちによる傑作が集結
このブログでも度々ご紹介をしている<ヴィトラ>の本社は、スイスとドイツの国境付近(ドイツ領になります)、バーゼルの中心地からバスで20分くらいの場所にあります。
工場などもある敷地内は広大で、フランク・ゲーリーやザハ・ハディッド、ジャン・プルーヴェ、バックミンスター・フラーなど、有名建築家が設計した様々な建物があり、それらをガイドさんが案内してくれるツアーなども行われています。
フランク・ゲーリーが設計した「ヴィトラ デザインミュージアム」では多様な企画展示が行われているほか、<ヴィトラ>の家具やデザインアイテムを中心にしたリアルな空間のコーディネートを体感できる「ヴィトラ ハウス」という建物には無料で入場が可能。レストランやショップも併設していて、熱心な建築・デザイン好きの観光客のほか、休日などには近隣の家族連れなども多く集まり、皆さん楽しそうに時間を過ごしています。
じつは「ヴィトラ キャンパス」に来るのは今回が2度目。前回は5、6年前だったと思いますが、その時はちょうど「ヴィトラ ハウス」ができて間もない頃で、個性的な設計の建物の内部で提案されるバラエティ豊かな家具のコーディネートを体感し、大変な刺激を受けました。
約400点もの名作家具が展示された驚きの施設
今回ご紹介する「ヴィトラ ショウデポ」は、その「ヴィトラ ハウス」と同じ建築家、スイスを拠点にするヘルツォーク&ド・ムーロンという建築ユニットが設計した施設になります。
オープンしたのは昨年の6月。<ヴィトラ>は約7000点以上にも及ぶ膨大な数の家具や照明をコレクションしていることでも知られ、それらをまとめた書籍なども出版していますが、近現代の家具の歴史から見ても非常に貴重なアイテムも多くあります。<ヴィトラ>が素晴らしいのは、そのコレクションを一般にも公開しているところで、「ヴィトラ ショウデポ」は主にそのコレクションを展示するスペースとして設計されました。
三角屋根に外壁はレンガ。窓がない非常にシンプルな外観の建物ですが、内部に入ると白く広い空間の中に、専用什器に椅子を中心にした名作家具のコレクションがこれでもか!という感じで陳列されています。
それぞれの什器は年代ごとに分けられていて、1800年から現在に至るまでのコレクションから展示用として約400点に絞ってこの空間に展示されています。
什器下にキャプションが設置されていて、発表された年代とデザイナー名、製品名などを照らし合わせながら見て行けます。
しかし、もうとにかくどこを見ても気になるものばかり。いっこうに先に進めない自分がいましたが、ときおり「え?これ、リートフェルトのデザインなの?」など、初めて現物を目にする家具も多く、本当に夢中になって見てしまいました。
どこをみても夢中になってしまう「ショウデポ」のコレクション
このあたりはモダンデザインのはじまりとされる、トーネットの曲木の椅子を並べた什器です。さすがに無駄がなく、優美なこの曲木のフォルムは色褪せることがありません。最近も雑誌の企画で椅子の特集があり再度トーネットの椅子の資料を読んだりしていたのですが、とくにヨーゼフ・ホフマンの椅子(ここにはなくて申し訳ないのですが)が欲しくなってしまいました。
クチビルのソファ《ボッカ》にアルキズームの《ミース》などなど、1970年前後のイタリアの家具が中心になった什器ですね。このように世界中の家具が年代ごとに並んでいるわけです。しかし、展示品はコレクションのごく一部。ということで下のフロアにはそのほかのコレクションの保管場所があって、ガラス越しにそれらが並んでいる風景を眺めることができます。
ここは下のフロアにある照明のコレクションが保管されたスペース。世界中の貴重なオリジナル品がこれでもかと並んでいます。いやー、欲しいものがたくさんあります。。。
こちらは私の好きなイタリアの家具を保管しているスペースです。突き当たりにはメンフィスから発表された、エットレ・ソットサスの棚《カサブランカ》が見えます。 保管スペースは4つに分類されていて、照明、イタリア家具のほかの2つは、アメリカの家具、北欧の家具という分類になっていました。 このフロアにはほかにもイームズのオフィスを再現したコーナーや、企画展示として家具の素材を陳列していた場所などもあり、すべてを見て入り口にあったミュージアムショップのスペースに戻った時にはすでに2時間半くらい経っていました。。。
カフェレストランにだって、新旧の名作家具がズラリ
さて、ちょっと休憩したいなあと思った時に嬉しいのが、この建物にカフェレストランが併設されているところです。
エントランスも見せ場になっていて、有名なイームズの壁掛けのコートハンガー、《ハングイットオール》が横一列にずらっと設置されていました。
そして内部はとても明るく開放的な空間。大振りな植物、窓から入り込む心地よい光。もちろん<ヴィトラ>と傘下の<アルテック>の家具や照明でコーディネートされた素敵なインテリアになっていました。ちなみにテラス席もあって、この時にはテラスでサラダを食べました。
という感じで、家具デザイン好きの方々には是非とも行って頂きたい必見スポット、「ヴィトラ ショウデポ」をご紹介させて頂きました。
バーゼルからは簡単に行くことができますが、しっかり全部の建築、施設を見て回るには結構な時間を必要とします。今回は触れていませんが「ヴィトラ ハウス」の建物のボリュームもかなりありますから、「ヴィトラ・キャンパス」に行くならたっぷり半日はかけるつもりで行って欲しいです。
では、また!