こんにちは! 外ではコート姿の人も多く見かけるようになり、あっという間に冬の訪れを感じつつある近頃ですが、今回はスタイリングを担当させて頂きました、スウェーデンの壁付け収納家具のブランド、 ストリングのイベント「THE STRING APARTMENT」についてご紹介をさせて頂きます。

川合 将人

川合 将人

雑誌や広告、住宅メーカーのモデルルームなどで活躍中のインテリアスタイリスト。近年はコンサルティングや空間演出等も展開。

http://kawaimasato.com/

ストリング シェルフを使用したアパート

ストリングは、1949年にスウェーデンの建築家、ニルス・ストリニングによってデザインされた壁付けの収納家具です。
はしご状のサイドフレームを複数壁に取り付け、そのフレームとフレームの間に棚板や扉付きの収納ボックス、デスクなどのユニットを自由に設置して自分だけのレイアウトを組めるシェルフで、住まい手の好みに合わせていくらでもカスタマイズができるデザインになっています。

10月末から11月の頭には都内のインテリアショップでたくさんの展示イベントが開催されていましたが、このストリングを主役にした展示も10月28日から11月3日までの7日間、青山の骨董通り近くにあるスタジオ、ライトボックススタジオ青山を特設会場として行われました。

イベントのテーマは“ストリング シェルフのある暮らし”。ライトボックススタジオ青山を一つのアパートに見立て、そこに住まう仮想の住民たちの各部屋にストリングを取り付け、それぞれの個性豊かなストリング シェルフのある暮らしを提案するという内容です。

ストリング シェルフを使用したアパートは全6室。4人のインテリアスタイリストがスタイリングを手掛ける4つの住居と、このイベントを運営しているセンプレデザインさんが担当する大家さんの部屋、そしてオフィス空間がこの期間限定で作られました。

住居のスタイリングは、インテリアスタイリストの黒田美津子さん、中林友紀さん、茂木雅代さん、そして私の4人が担当。私以外のスタイリストさんは皆さんが女性ということもあり、自分は男性の趣味部屋をテーマにスタイリングをさせて頂きましたので、今回はその部屋で使用した家具やストリング シェルフの使い方などに触れたいと思います。

映画と音楽を楽しむための空間づくり

ストリング・シェルフ

©Kentauros Yasunaga

「映画と音楽を楽しむための隠れ家」をテーマにスタイリングを担当させて頂いた部屋。ストリング シェルフを使って、映像や音楽を満喫できるラウンジ空間を演出してみました。
置き家具は綾瀬にあるヴィンテージ家具専門店さんから お借りした、ポール・ケアホルムのデザインしたソファ《PK31》の3 人掛けのほか、アルテックの《カルセリ・ラウンジチェア》、ハーマンミラーの《イームズ コントラクトテーブル》、ヴィトラの《ランディ チェア》などを使用しています。

映画と音楽を楽しむための男性の趣味部屋を想定したこの一室。仮想の住まい手の職業は悩んだ末に最も身近なインテリアスタイリストに設定しました。
週末や仕事がひと段落した時にだけ訪れる部屋で、ソファやラウンジチェアをメインに構成したラウンジ的な空間の中で、リラックスしながら映画や音楽を思う存分楽しむ場所として使用しているイメージです。ある意味、そんな空間があったらいいなあ〜という、私の理想ですね(笑)。

キッチンカウンター近くの右側は棚板やオプションのトレイユニット を使って器や食材、カトラリーなどを収納でき、下部はフラップ式のテーブルが引き出せて調理作業などにも使用できるように。そして左側は、仕事柄使用する機会の多い、照明機器の修理や改造などが行えるデスクスペースとしても活用できるようにストリングを構成してもらいました。

スペース プレイヤー こちらは来場者の方に大好評だった、天井のダクトレールに直付けできるパナソニックのプロジェクター《スペース プレイヤー》。業務用のみの販売で小売りはしていないようなのですが、配線の取り回しの煩わしさも皆無で簡単に取り付けできますし、スポットライトのような見た目もシンプルで素晴らしい製品です。展示では本体に差したSDカードで映像を流しました。

空間を圧迫しない収納のアイデア

ストリングシステム

住まい手はあくまでもイメージで、架空の人物を想定して演出してはいますが、できるだけリアルに感じてもらえるように、あたかもさっきまで人がいたように小物なども多めに設置。
設定として、趣味でフェンダーローズのエレクトリックピアノを演奏し、フォトグラファーとしてはもちろん映画監督としても活躍した、ウィリアム・クラインの作品のファンである人物というストーリーも考えていたので、実際にヴィンテージのフェンダーローズのピアノや、ウィリアム・クラインの映画のポスターなどもインテリアとしてスタイリングさせてもらいました。

そのあたりの趣味性を強く演出したのが、次の写真にあるキッチンカウンターまわりのピアノ演奏スペースになります。

キッチンカウンターに面したこのスペースでは、カウンターの手前をピアノの演奏用のスペースとして使い、キッチンとピアノのある空間を跨ぐようにして、ストリング シェルフを設置。キッチン道具やグラス類、エスプレッソメーカーのほか、趣味の映像DVDなどを収納する棚として使っています。右に置いたフロアランプはメンフィスミラノの《チャールストン》です。

ストリングシステム

ここで使用したストリング シェルフは、プレックスというシリーズで、側面パネル部が透明なアクリル製のタイプ。棚板はブラック色のものをセレクトしました。

キッチン側には調理道具やグラス類などを。
ピアノを演奏するエリアの上部には、カウンターに置いたブリオンベガのポータブルテレビで流す趣味の映像や音楽のDVDソフト、B&O PLAYのスピーカーなどを置きました。

サイドパネルがアクリルなので濡れたり汚れても手入れが簡単ということで、このようなキッチン以外でもパウダールームなど、水回りで使用するのにも適していて良いですね。

これまでストリングの取り扱いがあるショップでも、ほとんど展示されていなかったプレックスのシリーズですが、今回初めて使用させて頂いてとても新鮮でした。

横に3連の形で施工して頂きましたが、横幅でトータル240cmありましたから、結構なサイズなのです。それでも空間の邪魔として感じることはありませんでした。側面が透明ということで空間に圧迫感を与えないところが優れていますね。

さて、これまでは無機質なカラー、素材で構成したストリングですが、温かみのあるウォールナット材の棚板やボックスをセレクトすることもできるのです。

ストリングシステム

©Kentauros Yasunaga

ライトボックススタジオ青山の2Fのこの部分は、大きな窓の開口から植物いっぱいの心地よい外の風景を満喫できる場所だけに、この壁面に設置するストリング(ソファ横)はブラックのフレームに、あたたかみのあるウォールナットの棚板、収納ボックスで構成したストリング シェルフで構成しました。用途としては、フィルムのカメラや編集機器、映画関連の書籍やプラズマボールなど、趣味のアイテムを収納する場所としましたが、選択するカラーや素材によって、どんなスタイルのインテリアにも合わせることができるストリングの特性を感じて頂けたのではないかと思います。

以上、ざっくりとではございましたが「THE STRING APARTMENT」でスタイリングをさせて頂きました、ストリングシェルフの使い方や 組み合わせた家具をご紹介させて頂きました。

期間中はたくさんの方にご来場頂きまして、様々な感想を聞くことができましたが、今回は何よりも会場の設営から期間中の運営、撤収までを担当して頂いた、センプレデザインの皆様と、このイベントにお声掛けを頂きました、ストリング ジャパン様に本当に感謝しています。

関係者のみなさま、お疲れさまでした!そして、ありがとうございました!

自分以外のご活躍中の3人のトップスタイリストさんのスタイリングを設置から完成までじっくりと見ることができて、非常に勉強になりましたし、刺激にもなりました。こんな素敵な企画にまた呼んで頂けるように、これからも頑張りたいと思います。

ストリングの製品は、おウチの収納.com の中にある、ショップ&ショールームガイドにも登場する、SEMPRE HONTEN(センプレ 本店)さんをはじめとする、センプレさんの店舗で展示されていますので、ご興味のある方には是非とも実物を見て頂きたいと思います。

それでは、また!