前回、「ものが活躍する収納」について考えましたが、いよいよ実践。まずはキッチンから始めるのがおすすめです。中でも食器棚は、油断するとすぐに散らかってしまう危険ゾーン。これから何かと自宅に人を呼ぶ機会の増える季節が来ます。まずは食器棚をきれいにして、気持ちよく春を迎えましょう。生活研究家・阿部絢子さんにポイントを伺います。
「一目瞭然」が合い言葉。必要な量を知るためのプランニング
生活研究家・阿部絢子さんの自宅には、仕事の打ち合わせやプライベートの食事会などで毎日のように客が訪れます。コンパクトな食器棚の中に並ぶ皿や飯碗、猪口などは、「ひとり暮らしとしては多めでも、すべて使っています」ときっぱり。そのポイントは、「一目瞭然」。必要な食器を管理しやすく収納することで、ごちゃつきや使い忘れを防いでいるのです。というのも、食器は整理が難しいアイテムだと考えているから。
「食器はひとり暮らしを始めた時、結婚した時、子どもが生まれた時など人生の節目ごとに増えていくもの。それだけに、定期的に見直さないと食器棚からあふれてしまったり、持っていることを忘れてしまったりしかねません」
家族構成や、暮らしのスタイルの変化に応じて、常に必要な量を見極めることが大切です。では、どうしたら自分の家にとってちょうどよい食器の量を見極めることができるのでしょう。
「ここでも前回紹介した『成否のカギはプランニング』の考え方が有効です。『どんな食卓にしたいか?』を考えることで、持つべき食器やその数がおのずと見えてきます」
具体的には、「和食・洋食・中華などどんなものを家で食べたい?」(用途)、「自炊の頻度は?」「人を食事に招くペースは? 1度に何人くらい?」(頻度)などと理想の食卓をイメージしていきます。すると、「洋食器を中心にそろえてみよう」、「大皿を●枚は用意した方がいいな」など必要なアイテムや数がわかってきます。「一般的に和食器は5枚、洋食器は6枚をワンセットとして販売されていることがありますが、そういった固定観念にとらわれる必要はありません」と阿部さん。使わない器は、ないのと同じ。あくまで「自分の家に必要な食器を、必要な数」を持つことを目標にしましょう。
ちなみに阿部さんの場合、「おいしくお酒を楽しみたい」という気持ちからスタートし、酒に合う料理の皿をグラス周りに置いていくイメージで、必要なアイテムを見極めていったそう。
おいしく食事を味わうために大事な器類。多くても困りますが、少なくても困ります。こうしてプランニングによって、自分の家に必要な食器が見えてきたら、手持ちの食器から種類と数を絞っていく作業へ。次回『用途、使用頻度に合わせた厳選&分類』はそのコツを紹介します。
(つづく)
人を招くキッチンへ。食器収納
- 取り出しやすく、使い忘れない食器収納を考える
- 用途、使用頻度に合わせた厳選&分類
- 主力アイテムの指定席は、「90度」に
- まんべんなく使ったら、指定席に戻す