暑い日が続く中、「料理を作るだけで疲れる」という方は、もしかしてキッチンでの物の置き方・しまい方に原因があるのかもしれません。ムダに動きまわることなく、手早く調理できるキッチンとは? 生活研究家・阿部絢子さんに教わりました
自分にとっての基準を見極め、必要な調理器具や調味料を厳選
キッチンには、いつのまにか調理器具や調味料が増えがち。あれこれ試すのは楽しいものですが、「料理上手と、調理器具や調味料の数は関係ありません」と阿部さんはきっぱり。適切な動線を考える上で、ものを厳選することは避けて通れません。
数多くの国でホームステイ経験を持つ阿部さんによれば、「料理上手な家庭で印象的だったのは、少ない調味料を使いこなしていることと得意なメニューを作り慣れていること」だったそう。そのためには、和食・洋食・中華・イタリアン・フレンチなどのジャンルから、得意な分野をしぼることも手だといいます。
たとえば阿部さんの場合、今は和食をベースに、酒に合うつまみ系のメニューや揚げ物、豆料理をよく作るとのこと。調理器具や調味料も、それに合わせて選んでいます。
「スタイルを限定することで、やみくもにキッチンにものを増やさずに済みますし、調理も手慣れておいしく作れるようになりますよ」
阿部さんが一般的に最初に持つべき調理器具として挙げたのは、
●鍋…1~2個
●ボウル(大小)…計2個
●ざる(大小)…計2個
●まな板…1枚
●包丁…1本
数が少ないように思われるかもしれませんが、これらはあくまで最小限。「調理器具は使ってみないとわからない」という経験則から、考えられたものなのです。
「たとえば鍋と一口に言っても、ル・クルーゼのような鋳物鍋がよいのか、圧力鍋が適しているのか。それはどんな料理を作るのかによって変わりますし、感じる使い勝手も人それぞれ。まずは最小限の調理器具からスタートし、スタイルに合わせて徐々に足し引きしていくのが合理的です」
ちなみに、阿部さんが現在所有している調理器具は、
●鍋…5個
●中華鍋…1個
●蒸し器…1個
●ボウル(大小)…計7個
●ざる(大小)…計5個
●まな板…2枚
●包丁…3本
●その他キッチンツール各種(フライ返し、お玉、さいばしなど)
といったところ。すべて活用しており、しまいっぱなしのアイテムはありません。
また愛用するキッチンツールは、フライ返し、さいばしなどどれも長さが短いタイプ。「道具は手の延長。手になじみ、使いやすくなければ、結局使わなくなってしまう」という理由から、先端が手首に近くコントロールしやすい長さがお気に入りなのです。
調味料は、
●砂糖
●塩各種
●こしょう
●酒
●酢
●油各種
●醤油
●ソース
といった程度。種類・数とも厳選していますが、趣味の塩だけは国内外のものを各種集めて味わいの違いを楽しんでいます。
このように自分にとって使いやすさの基準や重視するポイントを見極めると、必要な調理器具や調味料を選びやすくなります。
限られたキッチンを快適に使うために、置く物を厳選しましょう。
(つづく)
動線を考えたコンロ・シンクまわりの整理収納
- キッチンの動線を考える
- 調理において必要な調理器具、調味料の整理分類
- 動線をふまえた指定席を決める
- 定期的にチェック&お手入れ