家の中で最大級の収納スペース、押し入れ。上手に使えば頼もしい収納の味方ですが、実は使い方に悩んでいる人も少なくありません。生活研究家・阿部絢子さんに、上手な活用法や管理の仕方をうかがいました。
大容量が収納できるスペースも、総量規制は必要です。
大きく、いろいろなものをしまえる押し入れ。一見、収納しやすい場所のように思えますが、生活研究家・阿部絢子さんいわく「難しい場所」。理由は意外にも、その大きさにありました。
「標準的な押し入れの奥行きは90cm前後。人の手の届く範囲はせいぜい60~70cmですから、どうしても奥の方、特に天袋や下段の奥は取り出しにくい。いつのまにか出し入れしなくなり、そのうち何を入れているかすら忘れてしまうのです」
阿部さんの訪れた家庭では、片づいているお宅でも押し入れやその前に物が堆積しているケースがよく見られたそうです。
「引き出し1つなら片づけられても、広いスペースは途中で挫折しがち。年齢を重ねるほど、気持ち的にも体力的にも大きな場所を片づけるのは難しく、優先順位を落としてしまいます。その上、押し入れには戸を閉めてしまえば中が見えないという誘惑も(笑)。それらが重なって使いこなせず、周辺に物をあふれさせてしまうのでしょう」
なかなか難度の高い押し入れですが、できるだけ早いうちに攻略法を身に着けたいもの。どうしたら有効に活用できるのでしょうか?
阿部さんが真っ先に手を付けるべきと指摘するのは、持ち物整理。押し入れに詰め込んだ物すべてを出して、何をどれだけ持っているか把握することから始めましょう。この時点で、いらないものは処分します。広い押し入れといえど、他の場所同様、総量規制は必要です。
次に、物を使う頻度別に分けます。たとえば衣類なら、
①ひんぱんに着る普段着
②時々使うシーズンアイテム
③もう着ないけれどとっておきたい大事な思い出の服
などに分けられるはず。
このとき、③をあえて捨てる必要はありません。このような「使う機会はないが保存したい物」の収納については、第2回でご説明します。
押し入れに収まる量まで物を整理できたら、いよいよ収納です。押し入れのサイズを測り、使う頻度に合わせて物をしまっていきます。とはいえ、天袋・上段・下段とざっくり分けられただけのスペースをそのまま使うのは難しいもの。阿部さん宅は、もともとあった段を外し、入れるものに合わせて仕切り板を付ける改造を行いました(第3回でご紹介します)。
そこまでできなくても、市販のアイテムを組み合わせることで空間内を仕切ることはできます。
では、次回『押し入れ収納の2大お悩みを解消する』から阿部さん宅を例に、実際の収納についてくわしく見ていきましょう。
(つづく)
押し入れを活用したオリジナルの収納スペースのつくり方
- 広い押し入れを上手に使いこなすポイントとは?
- 押し入れ収納の2大お悩みを解消する
- 押し入れをムダなく使う指定席決め
- 常に使い勝手のよいスペースに保つために必要なこと