家の中で最大級の収納スペース、押し入れ。上手に使えば頼もしい収納の味方ですが、実は使い方に悩んでいる人も少なくありません。生活研究家・阿部絢子さんに、上手な活用法や管理の仕方をうかがいました。

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家、消費生活アドバイザー。整理収納から食、掃除など、生活全般に渡る知識を生かした著作多数。

http://ayakoabe262.jp/

「仕切りがざっくりしすぎ」「奥行きが深すぎる」を克服!

押し入れを効率的に使う上でネックとなるのは、「仕切りがざっくりしすぎ」「奥行きが深すぎる」の2点。阿部さん宅の押し入れを例に、克服法を押さえましょう。

まず、「天袋・上段・下段」という元の仕切りだけでは上手に収納できないなら、しまう物に合わせて仕切りを追加すればOK。阿部さんは元の段を外し、入れる物に合わせて新たに細かい仕切りや段を付けるリフォームを行いました。

「たとえば左端はラグなどの長物をしまえるよう、仕切りを縦に入れて縦長のスペースを確保しました。本をしまう場所も細かく段を付けたので、特に棚などを追加せずそのまま本を置くだけで整頓できます」

このような大掛かりなリフォームが難しい場合は、市販の収納アイテムを組み合わせるなどして仕切れば大丈夫です。

次にもう1つの難点である、標準で約90cmある奥行き。前回の阿部さんの言葉にもあったように、腕を伸ばして届く範囲は成人女性で60~70cm程度。つまり、押し入れの奥に20~30cm程度、手の届かない空間が生まれます。もちろん、天袋や下段など手を伸ばしにくい場所は、空間はより大きくなります。

阿部さんは斜線部を使いづらい場所とし、 使用頻度の少ないものを収納しています

「ここは構造上、そもそも使いづらい場所と心得ましょう。あえて使うなら死蔵スペースと割り切るか、奥まで引き出せる収納アイテムを足すなどの工夫がいります」

死蔵スペースというとネガティブなイメージを受けるかもしれませんが、実は収納に困りがちなある物をしまう場所として活用できる、貴重なスペースになります。

それは、「使う機会はないが保存したい物」。第1回で行った物の整理中、多かれ少なかれ出てきたはずです。 たとえば、

●もう着ないけれどとっておきたい服
●子どもの写真や作品
●結婚式などイベントの写真
●賞状やトロフィー
●旅行の思い出の品や記念品

など、たとえ使わなくてもずっと保存したいと思える物の保管庫として、押し入れの奥を利用するのです。

阿部さんの場合、今は使わない掃除用品やカーテン、昔の自著、読み返さない本、みそ作りの道具などはすべて棚奥にしまっています。「次に見返すのは引っ越しの時かな(笑)」という阿部さんですが、日頃は忘れていていいと思えるものを割りきって収納するからこその余裕です。

一方、奥まで出し入れしたいと考えるなら、死蔵スペースをなくす工夫が必要。引き出し式の収納ケースやキャスター付きのワゴンを取り入れるなどして、奥まで出し入れできるようにしましょう。

(つづく)

押し入れを活用したオリジナルの収納スペースのつくり方