家のごちゃつきの元になるのが、気づけばいつの間にか溜まっているもの。中でも「なかなか捨てられないもの」に苦労している方は多いのでは? それらをうまく整理するコツを、生活研究家・阿部絢子さんに伺いました。

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家、消費生活アドバイザー。整理収納から食、掃除など、生活全般に渡る知識を生かした著作多数。

http://ayakoabe262.jp/

「手放す=捨てる」ではありません。

最後にものをスムーズに手放し、増やしすぎないための考え方についてご紹介します。 まずは「定期的に見直す」ことです。大きなスパンとしては5年ごと、小さなスパンとしては1年ごとが目安。あとはものにより、1週間単位で区切って暮らしを見直していく習慣を付けましょう。

「さらに家全体で考えるなら結婚、出産、子どもの入園・入学・進学、子どもの結婚などのライフイベントを節目と考えれば、状況が大きく変わるのでものの取捨選択がしやすくなります」

大きな見直しは絶対にしておくべき、と阿部さんは考えます。年齢を重ねるほど気力や体力が衰えてやりにくくなりますので、前回「『決断力』をみがくのがすっきりへの近道」でご紹介した決断力を付ける練習をできるだけ早く始めて、若いうちから節目ごとにものとの付き合い方を見なおしていきたいものです。

見直した結果、とっておくことに決めた大事な品は、前回「『決断力』をみがくのがすっきりへの近道」を参考に指定席を決めて活かしましょう。

そうでない場合は手放しますが、そのときに大切なのは「手放す=捨てるではない」と理解すること。

「ものを手放す、処分すると聞くと、燃やして灰になるとイメージしてしまうのか、拒絶反応を示す方は多いです。でも衣類は発展途上国に送られて再び着られたり、家具はリサイクルショップを通して他の家庭で活躍したり、と”ものは循環する”と考えれば、手放しやすくなるのでは。本も紙という原料に戻って新しい本に生まれ変わると考えると、決してただ灰になるわけではありません」

正しくリユースやリサイクルすることで、ものがより活かせる状態になることを考えれば、手放すことに罪悪感を覚える必要はありません。

行き先を作ってからでないと手放せないという方は、リサイクルショップの場所やフリーマーケットの開催予定を調べたり、図書館などで引き取りを行っているか確認しておきましょう。エコ意識の高まっている近年では、アパレルメーカーなどが自社製品を引き取りリサイクルしていることもあります。

阿部さんは箱を用意し、不要品が溜まったらリサイクルショップへ郵送。また日ごろから周囲にこまめに声をかけ、必要とする人がいたら譲るようにしています。

最後に、ものを増やしすぎない生活をキープするための考え方も大事です。 「暮らしはずっと同じではなく、状況は変化していきます。必要なものは常に同じとは限らないのだから、今、必要なものを必要なだけ手に入れる。そのためには、やはり買う前にとことん考えぬくことです」

(おわり)