生活研究家・阿部絢子さんによる、家じゅうのごちゃつきをスッキリに変える整理収納術。今回からは、整った空間を快適に、そして常にキレイに維持していく、収納スペースごとのお手入れポイントを紹介していきます。適切なお手入れをすることで、おうちはもっと快適で美しくなりますよ!
クローゼット収納の極意は、すき間を空けてゆったり
家の中でも「クローゼットの整理は特にニガテ」という方は多いのではないでしょうか。中には、開閉が困難な扉と化しているケースも少なくありません。その主な原因は「詰め込みすぎ」。そんな“ぎっちりクローゼット”に、生活研究家の阿部絢子さんは問題を提起します。
「扉で締め切られるクローゼットは内部に湿気や熱がこもりやすく、毎日着る服の出し入れでホコリが溜まりやすい場所。パンパンに詰まった状態では空気の循環がうまくいかず、湿気によるカビや衣類害虫を呼び込む原因にもなってしまいます。また、探す手間が増え、似たような服を買ってしまうなどのデメリットも生まれます」(阿部さん)
クローゼット収納の一番のポイントは、「すき間を空けて、ゆったりスムーズな収納をすること」です。さらに、クローゼットのキレイをキープするお手入れを、次の3ステップで確認しましょう。なお、クローゼットの代わりにチェストや衣装ケースを使っている場合も同様です。
衣服を整理し、普段着と外出着に分ける。
クローゼットの衣服をすべて出し、「着る服」「着ない服」「迷う服」などに分けます。着ない服は処分。迷う服も5年間着ていないものは、今後も着ない服と考えましょう。また着る服は1着ごとに傷みや汚れ、虫食いなどのダメージがないかチェックします。着るコンディションのよい服だけになったら、「普段着」と「外出着」に大きく分けておきます。
クローゼット内は掃除機をかけ、水拭きする。
クローゼットは衣類害虫に狙われる場所。虫の糞尿や羽がないか、カビが生えていないかチェックを。隅に溜まったホコリは掃除機で吸い取り、水で絞った布でしっかりと拭きます。湿気が完全に乾くまでしばらく扉は開けたままにしましょう。
服を分類してクローゼットにしまう。
「普段着」「外出着」に分けた服を、さらにわかりやすく分類してしまいます。 たとえば
●「春夏」「秋冬」とシーズンごと
●「トップス」「ボトムス」と服の種類ごと
●「ミニスカート」「ワンピース」などの丈ごと
など。自分にとってわかりやすいルールで種類別にまとめると、選びやすくなります。
この行程を年2回(夏・冬の終わり)は行うようにすると、クローゼットがパンパンになるのを防げます。
“動き”を意識した普段のひと手間が大事
さらに、普段から気を付けたいポイントも。
「空気の流れをよくするために、洗濯終わりの服をしまう時は元の位置ではなく、違う位置にしまう、引き出し内は手前から使って奥からしまうなど、日ごろからクローゼット内の“動き”を意識して収納する習慣を付けましょう」と阿部さん。
特に冬服は、虫食いの被害あいやすいウールなどの天然素材製の衣類が多いので、夏の間にこまめに動かしておくことが良いのだそう。クローゼットにゆとりがあると、服を循環させるのも容易になります。
クローゼット内に置くタイプの除湿剤を使用している方も、こまめに扉を開けて換気することをおすすめします。
「近年は高温多湿が進んでいるので、除湿剤だけを過信するのではなく、こまめに扉を開けて換気したり、扇風機で風を当てて湿気を飛ばしたりするなどの対策が必要です」
また、衣類害虫対策として防虫忌避剤や殺虫剤を使う家庭も多いですが、身近な物でもナチュラルな虫よけが作れます。
「虫は香りを嫌がるので、お気に入りのアロマオイルを布にしみ込ませ、ハンガーバーに吊るしておきましょう。シダーウッド、線香やいただきものの石けんを置いておくのもいいですね」
衣類カバーをかけても、下部のすき間から入り込むことも。虫よけ対策はしっかりしておきましょう。
「そもそも害虫は温かく湿気があり、食料(天然繊維)のある場所など、いくつかの活動条件が整うと繁殖します。逆に言えば、それらの条件をひとつでもカットすれば効果的ということ。手っ取り早いのが湿気対策です」
うっかりしがちなのはクリーニング店から引き上げた衣類を、ビニールカバーを付けたままクローゼットにしまうこと。カバーは通気性が低いため衣類害虫も棲みやすく、また人工皮革のジャケットは生地がくっついて表面がはがれてしまったり、ポリウレタン混紡の服は熱でプチプチと切れてしまったりと、ダメージを受けるもとに。ホコリ除けのカバーは、通気性のよい不織布がおすすめ。
快適なクローゼットをキープするプロのアドバイス
クローゼットのお手入れと収納を考えるときに押さえておきたいコツをご紹介します。
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湿気・カビ対策
梅雨時期は衣類収納の扉や引き出しは、常に少し開けておきます。
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ホコリ対策
洗濯物をたたむ前に、服を振りはらい、ホコリを落としましょう。
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衣類の劣化対策
服のチェックを兼ねて、ブラッシングを習慣に。ブラッシングのとき、コンディションをチェックでき、ホコリも取り除けダメージ防止になります。ブラシは、天然素材の豚毛がおすすめ。ナイロン製は毛羽立ち、静電気を起こします。
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衣類害虫対策
アロマオイル(好みの香り)をしみ込ませた布や匂い袋、固形せっけん、線香などをクローゼット、チェスト、衣装ケースの中に入れておくと効果的。