生活研究家・阿部絢子さんによる、家じゅうのごちゃつきをスッキリに変える整理収納術。今回からは、整った空間を快適に、そして常にキレイに維持していく、収納スペースごとのお手入れポイントを紹介していきます。適切なお手入れをすることで、おうちはもっと快適で美しくなりますよ!
冷蔵庫収納は、1週間の食生活を基本に考える
「冷蔵庫の中はいつもグチャグチャ」「どこに何があるかわからない」「何が入っているか忘れて二度買いしてしまう」「食材を消費期限切れにしたり、腐らせてしまう」「ドアを開けるとイヤなニオイがする」
……こんなお悩みを抱えている方、冷蔵庫を「ただの保存庫」と考えていませんか? 「冷蔵庫は食と栄養を管理するための場所で、鍋やフライパンと同じく調理器具のひとつ。鍋やフライパンを汚したまま、お手入れもせず使う人はいませんよね? 詰めこんだままほったらかしでは、機能をフルに発揮できません。冷蔵庫も日ごろからケアすることが必要なのです」
と生活研究家 阿部絢子さんは語ります。
とはいえいきなり冷蔵庫を開けて整理整頓しても、きれいになるのは一瞬。なぜ、自分の冷蔵庫はゴチャついてしまうのか、食材をダメにしてしまうのかを理解しなければ、あっという間に元通りになってしまいます。
そこで阿部さんのおすすめする方法が、「まず我が家の食生活を把握する」こと。そこから解決の糸口をつかみましょう。
1週間のメニューをチェックする。
1週間、毎日何を食べたか、紙に書き出してみましょう。すると、冷蔵庫の必需食材、不要な食材、あるいは、食生活の偏りまでが見えてきます。実情を把握することで、冷蔵庫内の循環がなぜうまくいかないのかといった問題点を知ることにつながります。
5大栄養素を1週間で摂ると考えて、冷蔵庫管理を考える。
たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)、ビタミン、ミネラルの5種類を「5大栄養素」といいます。主にたんぱく質と脂質は肉や魚、卵、豆類で、ビタミン・ミネラルは野菜や海藻、牛乳で、糖質は米や穀物などから摂ると考えると、食材購入がしやすく、メニューを決めやすくなります。1週間単位で考えると、食材を上手に使いまわすことができるので、冷蔵庫に収納する食材もわかりやすくなります。
必要な食材だけを購入します。
5大栄養素をふまえて1週間分のメニューをほぼ決めたら、必要な食材だけを購入。菓子類、嗜好品、調味料などは、食生活のバランスをよく考えてプラス購入していきましょう。
必要な食材を適切な場所に収納する。
毎日の食生活に必要な購入食材が決まれば、冷蔵庫収納のスペースや場所も決まっていきます。 「すぐに食べる肉や魚は、チルドやパーシャルに。数日先に食べたい、ハンバーグ用の挽肉やすり身などは下ごしらえをして冷凍庫で保存することも可能です。野菜室はビタミン・ミネラルの収納場所と考え、野菜をしまいます。料理した常備菜などは冷蔵室へ、と食材ごとにおおまかな指定席を決めておけば、在庫管理や足りない栄養を考えるのがラクになりますよ」
※冷蔵庫内の詳しい収納方法は、「食品・保存食品の整理収納」をチェック
阿部さん宅はこの方法で週に1回買物をし、次の買物までに冷蔵庫内の食材を使い切ります。毎日の献立も「5大栄養素をバランスよく摂れるものを、手持ちの食材を組み合わせて作る」と考えることで、すぐに決まるそう。 こうして冷蔵庫管理をラクにすることで、食品ロスを防ぎ、キッチンの労力や時間を省いてほかの楽しみや好きなことに注ぐことができます。
冷凍庫や冷蔵庫になんでも詰め込むのは禁物!
「なんでも冷凍すれば安心」と過信してしまいがちですが、阿部さんは「冷凍庫に入れるのは1ヵ月以内に食べきる食材を」と指摘します。また、「冷蔵室の循環をよくして、せいぜい1週間以内に食べきりましょう」とも。
食材を新鮮なうちに食べ切るためにも、冷凍庫と冷蔵庫への詰め込みグセはきっぱりやめ、計画的に使い分けましょう。
「冷蔵庫に入れたままダメにしがちな食材は、きゅうりやもやし、豆腐など。一番の原因は、安売りしているからと多めに買ってしまうことです」(阿部さん)
阿部さんはもやしはさっと茹でて、あえたり炒めたりして買った日にすべて調理し、翌日までに食べきってしまうそう。食べる量だけ、使う量だけを買う習慣を身につけると、冷蔵庫がゴチャついたり食材をムダにするのを防げます。
「それでも白菜や大根をまるごと買うなら、絶対に使いきると決めて毎日のメニューを工夫しましょう。料理力をアップさせるいい練習になります」
このように、スッキリした冷蔵庫は管理と時間遣いをラクにする、料理の腕を上げる、お金のムダ使いを防げるといいことづくめ!
正しいお手入れとチェックで清潔な冷蔵庫をキープ
冷蔵庫をきれいに保つには、毎日のチェックが欠かせません。 「異臭がしないか」「液ダレや汁モレしていないか」「食材が傷んでいないか」はこまめにチェックしましょう。
「食材を使ったあと、一段空いたらそこを拭くようにすると汚れが溜まりません」 キッチンに布巾を用意しておき、気になったらすぐに拭けるようにしておくのがポイント。汚れは時間が経つほど、取り除くのが大変になります。
なお、拭くときは次の3ステップで。
汚れがひどければお湯拭きする。
特に汚れのひどい場所にはお湯で軽くしぼった布巾をのせ、まずは汚れをゆるませます。野菜室は泥がつきやすいので、特に注意を。
中性洗剤液をつけた布巾で拭く。
水やお湯に中性洗剤を1〜2滴溶かした液で布巾をしぼり、冷蔵庫内の汚れを拭き取ります。その後、水でしぼった布巾で仕上げ拭きします。
エタノール拭きする。
消毒用エタノール液を乾いたふきんにつけ、全体を拭いて除菌・消臭します。 阿部さんは食品にも使える除菌用アルコールスプレーの「アルタン」を愛用。「拭いた後に拭き取る必要がなく、手軽に使えて便利です」
「冷蔵庫がフル稼働する真夏に庫内の掃除をするのは考えものです。気温が高くなる時は一度出した食材が傷みやすく、長時間のお手入れに向かないからです。今のうちに徹底的に掃除しておきましょう」 いっしょに、食べ残して僅かになった食材や使い忘れた調味料なども確認しましょう。
イヤ~なニオイにさよならするための方法
食材傷みが早くなるこれからの時期に、悩まされるのは冷蔵庫内のニオイ。 「食材をむき出しにして、またお皿にラップフィルムをかけただけの状態で冷蔵庫に入れることが要因です。めんどうでも、よく冷まして密閉容器に移してからしまいましょう」 すでにニオイがする場合は庫内の汚れをすべて拭き取り、エタノール液をかければ軽減できます。
それでも気になるようならニオイの原因をきちんと突き止めましょう。ニオイのもとをそのままにして脱臭剤に頼ってもニオイは消えませんので、ご注意ください。