生活スタイル、家族構成。建築家は、そこに住む人々の動線を踏まえながら、収納にさまざまなアイディアを盛り込みます。今回は、団地を大胆にリノベーションした能作淳平さんのご自宅を訪問。目から鱗の収納術がそこここに施されていました。
能作淳平さん
「ノウサクジュンペイアーキテクツ」代表
個人宅からゲストハウス、図書館まで、さまざまな物件を手がける新進気鋭の建築家、能作淳平さん。プライベートでは、団地の一室を実験的にリノベーションし、家族3人で生活しています。懐かしい団地ならではの良さは各所に生かしつつ、4畳半と6畳で構成されていた昔ながらの間取りはフラットにし、広々とした1LDKへと改築。
「団地の持っている心地良さを残して、使いやすい家としてリノベーションしようと思いました。スッキリしたことで、収納についてはいろいろと工夫せざるを得ませんでしたね(笑)」(能作さん、以下同)
必要なときだけモノを取り出すシンプル空間
能作家のリビングダイニングは、とにかくシンプル。無駄なものは何もありません。
「来客も多いので、床には大きめのクッションを置いています。畳ベンチは、来客用のベッドになるんですよ。ベンチの下には、ブリキの缶がちょうど入ったので、収納として利用しています。来客の多いときは、テレビはしまっておきます」。
3歳の息子さんは、リビングにプラレールをいっぱいに広げて遊んでいると言います。シンプルだからこそ、家族全員が自由自在に空間を使うことができるのです。
押し入れは、ワーキングテーブル&本棚に
押し入れは、もとのかたちを生かして、能作さんの書斎兼収納スペースに生まれ変わりました。取り払った押し入れの戸は、布を貼り直して、水回りの隠し戸などに再利用しています。
「押し入れって、落ち着きますよね。収納力もやっぱり高いですし」と能作さん。
道具にこだわって、魅せるキッチン
「母が飲食店を営んでいることもあって、昔から料理が好きでした。器好きも、両親の影響です。好きなものは、しまい込まずに使いたいし、テイストが揃うと、見せる収納もしっくりくる気がします」
こどもの成長と共に、収納を変化させる
「今は子どもが小さいので、おもちゃがあるくらい。でも、これから子ども自身も持ち物が増えていくでしょうし、家族の収納スペースも変えていかなければならないと思っています。その都度、必要なもの、不要なものを見直して、工夫をしたいですね」。
古い団地をリノベーションすることで見つけた、新しい暮らし。家族の成長と共に、さらにユニークな収納のアイディアが生まれていくことでしょう。