今回お邪魔したのは、まさに「収納」をコンセプトにリノベーションされたマンション。無理なく生活に収納を組み入れた4人家族の住宅には、たくさんの工夫が凝らされていました。
大野友資さん
「ドミノ設計事務所」代表
「収納のためのボックス」で空間を仕切る
川崎市にある築約20年のマンションの最上階。約70平米の物件を、昨年リノベーションしたばかりの住宅にお邪魔しました。手がけたのは、海外経験も豊かな建築家、大野友資さん。2人の小さなお子さんと奥様との4人暮らしです。
構造上の特徴は、平面的な壁で仕切っていないこと。収納や、トイレなどが入った木のボックスを配置して空間を仕切っているのです。
「仕切りをただの壁ではなく、ボックスにすることでそれぞれ機能を持たせ、限られた住空間を有効に使いたいと思いました。こうすることで、収納スペースも確保できますし、家全体に回遊性が生まれます」(大野さん、以下同)。
「僕たち家族は、みんな掃除が苦手(笑)。だから、まずは見せるモノとしまうモノを極端に分けて、大きい容積の箱をつくってそのなかにしまうモノを押し込んでいけばいいんじゃないかと。できるだけ片付けやすくすることがテーマでした」。
市販の収納グッズを想定してつくる造作
この家のコンセプトは、ずばり「収納」。
大小さまざまな収納テクニックが、家のあちこちに配されています。
「収納のためのスペースは、そこに入れる市販の収納グッズの大きさを計算して造作しています。引き出しや仕切りなど、細かいところまで造作するのは、お金も労力もかかりますから。簡単に交換ができる日本の収納グッズは優秀ですね」。
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ランドリーコーナーに配した収納スペース。2つのソフトボックスがきちんと収まっています。上の棚も、小さなボックスを組み合わせて整理。
センスと機能を兼ね備えた「見せる収納」
長年の海外経験で培われたセンスが遺憾なく発揮された大野さんのご自宅。ディスプレイを兼ねた「見せる収納」にも、参考にしたいポイントがたくさんありました。
散らかりやすい子どもグッズも、楽しく収納
「小さい子どもが2人いるので、散らかって当たり前。だから、あえて子どもがよく歩く場所に、興味を持ってほしいものにものを置くようにしています」と大野さん。子どもの動線を意識して、片付けやすく、かつ、子どもが楽しく過ごせる工夫を凝らしています。
収納をコンセプトにリノベーションされた家。それは、愛情たっぷりの工夫がふんだんに織り込まれた、家族のための温かな空間でした。