大人気の建築集団「HandiHouse project」が再登場!今回紹介するのは、住宅のリノベーションとともに、おしゃれで機能的な収納家具までつくってしまう達人です。
荒木伸哉さん
「サウノル製作所」代表・「HandiHouse project」共同主宰
昭和のレトロ感が漂う一軒家のリノベーション
本連載のvol.26でご紹介した、「HandiHouse project」。デザインから工事のすべて過程を、暮らす人と一緒にチームになって行うという新発想の建築集団は、今やなかなか予約が取りづらいほどの人気を集めています。今回は、メンバーの一人である荒木伸哉さんが手がけた、郊外のリノベーションハウスへお邪魔しました。
築34年。埼玉県の閑静な住宅街にあるその一軒家は、もともと昭和の雰囲気が漂う和風住宅でした。住宅街自体の平和な雰囲気と、安定感がある建物。そして、内装の建具の風合いなどが気に入って、この家をリノベーションしようと決めたのは、Sさんご夫妻。この家で、自分たちの好みに合わせたリノベーションをしてくれるのは「HandiHouse project」しかいない、と直感で決めたそうです。
「施主のSさんご夫妻とは年齢も近くて、インテリアの好みも似ていたので、楽しかったです。解体工事や、廊下のペンキ塗りなど、みんなで一丸となって取り組みました。」(荒木さん、以下同)。
家の個性に寄り添う収納づくり
もともと、建具のいくつかにラワン材が使われていたこの家。建具の色合いは、Sさんが好むアンティークやヴィンテージの家具にぴったりでした。荒木さんは、木の風合いをインテリアの色調の軸として、収納にも活かすことにしました。
オリジナルの造作収納は、最後につくる
「HandiHouse projectの家づくりは、とてもフレキシブル。家をつくりながら、ここはこんな造作が欲しいな、と思ったら、その都度つくっていきます。このSさんのお宅は、かなり造作収納にこだわりました」。
設置箇所は決めた上で、どんな色・形の造作収納にするか。それらを考え、つくるのは最終段階だと荒木さん。
「ある程度、家が仕上がらないと、収納のディテールはイメージしづらい。現地で感じたことや動線も体感してもらった上で、インテリアにも合うかどうか、生活しやすいかどうかをSさんとも協議しながら、造作収納は最後につくりました」。
使い勝手を考えたプチ収納テクニック
Sさんの家では、ところどころに、荒木さんが施したプチ収納テクニックが見られます。これも、Sさんご家族の好みを知りつくしているからこそできること。毎日の暮らしを楽しく、便利にしてくれる工夫が詰まっています。
家族みんなが「お片付け」を楽しめる空間
荒木さんとともに自分たちの手でつくった家に、Sさんの愛着もひとしお。インテリアはもちろん、動線の良さ、収納のしやすさなど、とことんこだわった理想の家は、いつもすっきりと片付いています。
「収納のポイントは、置く場所のルールを決め、使いやすく、しまいやすい収納をつくること。加えて掃除のしやすさだと思います。生活の土台となる収納を、より機能的にさせることで、その場所を好きになってもらえたら…と考えています」。
みんなで話し合いながらつくったリノベーションハウス。収納にも、暮らす人を思いやる優しい気持ちがこめられていました。