起業家やフリーランスのクリエイターらが場所を共有し、自由に働く。「コワーキングスペース」と呼ばれる新しいスタイルのオフィス空間が、いま各地に増えています。昨年秋にオープンしたばかりの川崎のコワーキングスペースで、ユニークな仕掛けの収納に出合いました。
高瀬友基さん
coto Inc.
川崎の新名所に登場したコワーキングスペース
川崎市日進町に、昨夏オープンした話題の複合クリエイティブ施設「unico」。築54年、昭和の趣をそこここに留めたそのビルには、カフェやコインランドリー、オフィスなど、さまざまな業態が入り、周辺エリアの新しいアドレスとして注目を集めています。
このビルの4階に、建築家高瀬友基さんが設計施工を手がけたコワーキングスペース「創荘」があります。
広々としたオフィス内の中央には、ワイドな掘り炬燵が!メンバーは、靴を脱いで炬燵でくつろぎながら仕事をしてもよし、フロアのテーブルを組み合わせてミーティングをしてもよし。
コワーキングスペースに掘り炬燵がある理由
創荘を運営するのは、川崎経済新聞編集長・田村寛之さん。信頼する高瀬さんに設計施工を一任するにあたり、リクエストしたのは、「とにかく居心地の良い空間に」という希望でした。
「収納を含めた使い勝手、空間としての面白さ(デザイン性)をすべて成立させたいと考えました。堀り炬燵は、創荘が大切にしている『居心地の良さ』を体現するアイコンであるとともに、これをつくることで、思った以上に収納スペースを確保することができたんです」(高瀬さん)。
「掘り炬燵が収納できるアイディアには、驚きました。掘り炬燵をしまえば、ステージになるので、トークショーやライブなどイベント利用はもちろん、災害時にはベッドとしても使えますよね。フレキシブルで利用価値が高く、とても満足しています」(田村さん)。
空間をマルチに使える収納アイディア
創荘には、掘り炬燵以外にも、随所に収納のアイディアがちりばめられています。
入ってすぐ、フロントカウンター周辺には、運営に必要な備品などがまとめて収納できる空間を用意しました。
「平面的でただ広いだけのオフィス空間に、収納を兼ねたロフトをつくることで、立体的な印象を与えたかった」と高瀬さん。
立体的に考えると、収納スペースは広がる
「収納を、立体的に考えるといいと思うんですね。家庭でも、下の方にモノが散らかっていて、上の方には何もない、ということがあると思うのですが、空間を立体的に捉えてデッドスペースに目を付ければ、意外と多くの収納スペースを確保することができます。くつろぎのスペースを底上げして、広さを保ちながら収納をつくったこの掘り炬燵がいい例ですが、こうした考え方は、家の収納づくりにも応用できると思います」(高瀬さん)。
コワーキングスペース創荘に施された収納の工夫。それは、快適な共有空間を保ち続ける秘訣でもありました。