コンパクトなマンションをフルリノベーションした、大内久美子さんの自宅兼事務所は、光に満ち、風が吹き抜ける快適な住まい。暮らしを楽しむ人ならではの収納テクニックを教えてもらいました!
大内久美子さん
「small-design-studio」代表
「持ち方」「しまい方」を考えたリノベーション
雑誌などでも話題の建築家、大内久美子さんの自宅兼事務所は、築40年のマンション。L字型で、3方向に窓があり、風通しの良さと日当りが抜群です。もともとリフォーム済みで売り出されていた物件でしたが、ご夫婦のライフスタイルに合わせて、フルリノベーションをしました。
「50平米とけっして広くない空間で、快適に暮らすためには、使いやすい収納をつくることと、暮らしに必要なモノの量を見極めること。これらのバランスを見極めながらつくったのが、この家です」(大内さん、以下同)。
リノベーションをする前に、大内さんは持ち物をリスト化し、しまい方を事前に計画。その上で、収納スペースを家の中の各所に用意したのです。
家電を隠すだけで、キッチンはスッキリする
「キッチンは、どうしても生活感が出やすいので、見せるものと隠すものをきっちり分けています。一番のポイントは、家電を見えないようにすること。冷蔵庫や電子レンジなど、統一感がない家電を隠すだけで、全体がスッキリするんですよ」。
家電は、隠すと言っても見えないだけで、使い勝手のいい位置に収まっています。たとえば炊飯ジャーは、流しの横側につくったスライド棚に置いてあります。
「キッチンに置くものって、調理用具やスパイスなど、どれもサイズとしては小さいですよね。ですから、キッチンには、細々と扉付きの収納スペースをつくりました。そこに分けてしまうことで、必要以上に箱や籠を用意する必要がないんです」。
出しておくものは、見られてもいいものに絞る
とはいえ、すべての生活感を隠してしまうのもさみしい、と大内さん。自分の好きなもの、眺めていたいデザインなどは、使い勝手の良さも考えつつ、ディスプレイを楽しんでいます。
かさばる本は、棚の高さにひと工夫
収納の悩みのひとつ、本の整理。職業柄、本や雑誌が多くなる大内さんの家では、本棚の高さに工夫がありました。
「夫が漫画好きで(笑)、かなり量があるのですが、本棚の上段は、あえて漫画専用の高さ20センチにしたんです。コンパクトに、ざっと揃えて置くことで、バラバラな印象の漫画にも統一感が生まれて、圧迫感が減りました。下段は、高さ40センチ。大判の本などは、上に抜け感のあるほうが見栄えがいいと思います」。
風通しのいい暮らしを保つ、収納の秘訣
「私の家には、ほとんど家具がありません。そもそも家具って、とても難しい。引っ越したりすると、新しい家には、持ってきた家具が合わなかったりすること、ありませんか? どうしても気に入っている家具があるのならば、設計の段階で相談することをおすすめします。家具は一度買うと捨てるのも大変ですし、きちんと計画をするべき買い物だと思うんですね」。
暮らしていれば、どうしてもモノは増え続けるもの。だからといって、その都度、収納場所を増やせば、人の居場所が狭くなる、と大内さん。
「収納には、定期的な整理が欠かせません。お客様を招くタイミングや、衣替えのときなど、年に何回か、家の中の持ち物をざっと見直すことをおすすめします。今ある収納スペースに、いつも適度な余裕をキープすること。それが、風通しのいい暮らしの秘訣だと思います」。
収納計画に加えて、定期的な家の中の持ち物チェックを。美しく、快適な暮らしを実現している人からのアドバイスは、とても参考になりました。