オフィス内でコワーキングスペースを運営する話題のリノベーション会社で、「オープン収納」のメリットと、使いこなすコツを伺いました。
斎藤潤さん
「coco Inc.」
人と人とをつなぐコワーキングスペース
今回お話を伺ったのは、中目黒にあるリノベーション会社「coto Inc.」の取締役を務める斎藤潤さん。ホテルから住居まで、さまざまなリノベーション設計を扱う同社のオフィスも、ビルの1階をリノベーションしてつくられています。
このオフィスがユニークなのは、一部がコワーキングスペースとして開放されているところ。社員と、コワーキングスペースを利用するフリーランスの人たちとが共存し、それぞれ仕事に専念しているのです。
「コワーキングスペースを利用されるのは、主に同業、デザイン関係のフリーランスです。建築設計の仕事は、カタログなど紙の資料を使うことが多い上に、専門雑誌も高価ですし、個人で揃えるのはけっこう大変なんですよ。こうした資料を自由に使ってもらえたらいいな、と思って、ライブラリーを整えました」(斎藤さん、以下同)。
コワーキングスペースの書棚には、建築雑誌やカタログがびっしり。可動棚にして、サイズが異なる書籍もきれいに収まるように工夫をしているそうです。
「新しい縁が結ばれるように、という思いをこめ、コワーキングスペースはknot=結び目という名称です。こうした運営をすることで、新しい発想や、仕事のご縁が生まれることがあるんですよ。ライブラリーの収納は、フリーランスの方々との接点になるようにと思ってつくりました」。
オフィスのオープン収納は、共用のための場所
オフィスとコワーキングスペースのライブラリーは、オープン収納の典型。誰もが目的のものを手に取りやすくするために、ジャンル分け、サイズのルール決めをして収納をしています。
「オープン収納の良さは、やはり共用に便利だということ。多くの人が行き来する場所に、わかりやすく配置すれば、気兼ねなく利用できますよね。少しでも奥まったところに資料があったら、探しづらいですし、整理整頓のルールも崩れやすくなります。共用されるオープン収納は、人の目の下に、きれいに保たれるものですから」。
「これは、オフィスやパブリックな空間での基本的な収納の考え方ですが、いま、個人宅のリノベーションでも、オープン収納を依頼されることが増えています。特に、都内の限られたスペースでのリノベーションで、その傾向がありますね」。
漫画と雑貨を美しく見せて収納する家
斎藤さんが最近手がけたという、リノベーション例を紹介していただきました。こちらは、30代の夫婦が暮らす、61㎡の中古マンションをフルリノベーションしたA邸です。
「一目瞭然ですが、施主様は大の漫画ファン。好きな漫画や雑貨を、見せて並べたい。収納はほぼ、オープンにしたい、というご要望でした。リビングの壁の一面を造作のオープン棚にして、オーディオ類も置けるように。漫画もこれだけ美しくディスプレイすると、圧巻ですよね」。
モノを整理したい人こそ、オープン収納を
スペースに余裕があれば、収納はできるだけ多く欲しい、と思ってしまうもの。でも実際は、収納があるほど、やみくも詰め込んでしまって、奥に何が入っているかわからない状態になっている方が多い、と斎藤さんは指摘します。
「せっかくつくった収納からモノが漏れ出して、部屋全体が散らかった印象になってしまう。本末転倒ですよね。家づくりを機に、持ち物を整理する。そして、その量を保つために、あえてオープン収納を選ぶのも手だと思います」。
人目にさらされるオープン収納。その緊張感から、人はその都度「いるもの・いらないもの」を判断できる、と斎藤さん。一見難易度の高そうなオープン収納ですが、逆に、持ち物の量を自制してコントロールできる効果があるのだとか。
「片付けが苦手な人こそ、見せるオープン収納をメインにしてみるというのも一案です」。
共用できる。物量をコントロールできる。ディスプレイを楽しむことができる……メリットの多いオープン収納。うまく取り入れて、収納の達人を目指してみませんか。
コワーキングスペース knot
東京都中目黒2-6-24-101(中目黒駅から徒歩10分)
営業時間:シェアデスクは24時間。フリー席は9:00〜22:00
定休日:土日祝
問い合わせ: 03-6452-4786
http://coto-inc.net/knot/