収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!
本のプロが選ぶ“収納本”とは?
選んでくれたのは…ROUTE BOOKS
上野駅入谷口から徒歩3分のところにある本と植物の店。“つくり手からの思いを繋ぐ”をテーマに選書し、本の作り手と直接取引による直販本も多い。運営する工務店YUKUIDOが古い工場をリノベーションした空間は、高い天井に緑が溢れるリラックススペース。ソファでコーヒーを飲みながら本を選べる。アート展示や映画会などイベントで使われるほか、CMなどの撮影が行われることも。 今回は『物選びからの収納』をテーマに選んでいただきました!
選書人
ROUTE BOOKS 選書担当 石川歩
1冊目『リフォームの爆発』町田康/幻冬舎
目的は不具合の解消。それがこれほどの苦悩を生むとは!犬と猫と、熱海で暮らす作家の自宅大改造。ただならぬ文学的ビフォア・アフター!
2冊目『疾駆 NO.7 PORTRAIT JURGEN LEHL』/リトルプレス
生活の豊かさの意味を考える場を作りたいという想いが込められた雑誌『疾駆/chic 』。7号の特集「ポートレート」では、服飾デザイナー、器、家具デザイン、そして晩年の海洋漂着廃材のリクリエイトで知られるヨーガン・レールにスポットを当て、現代文明に対する鋭い眼差しの一端に迫ります。
選書理由:
「テキスタイルデザイナーでありアーティストでもあるヨーガン・レールの特集号。心安らぐ生活スタイルの提案で知られる彼の世界観を、まるごと知ることができます。海辺に暮らし、本当に必要なものだけを手に入れて、豊かな生活を送っていた彼。その彼が『買うことは日々の決断』と言う通り、物が多くなければ収納も楽になります。この特集を読めば、本当に気に入ったものだけを手に入れる審美眼を身につけることができるのではないでしょうか。また、この雑誌は装丁にも凝っていて、味わい深さがあるのも魅力。紙質や綴じ方にこだわり手触りの良い仕上がりで、手に取るだけで幸せな気持ちになります」(石川さん)
3冊目『FLAT HOUSE LIFE in 九州』アラタ・クールハンド/辰巳出版
福岡と東京で“平屋二拠点生活”をおくる著者アラタ・クールハンドが九州で出会ったFLAT HOUSEと住人たちの暮しを大公開!写真とイラスト満載で、ハウスの細部、家の見取り図、家賃、住人の暮らし方まで、一棟一棟、ディティールを重視した構成でじっくり、たっぷり紹介しています。
選書理由:
「FLAT HOUSE(平屋)フリークとして知られるイラストレーターのアラタ・クールハンドさんの本。住まいの選び方として、新築のマンションなどではなく、平屋を選ぶ人のセンスは、もっと知られてもいいのではないでしょうか?戦後にアメリカ軍の将校たちのために作られた「米軍ハウス」を借り、住み継ぐという生活スタイルを選んでいる人たちは、新品ですべて揃えるのではなく、古さを生かしたり、既成品にこだわらずお金をかけずに済ませたり、収納術にもオリジナルなセンスが光ります。きれいに整理整頓されているわけではありませんが、独特で味わい深い日常の暮らしが垣間見え、温かみを感じます」(石川さん)
まとめ
「『物選び』をキーワードに選書しました。自分らしい暮らし、自分らしい収納のためには、収納する物をどう選んで買うかというところから考えてみるのも、楽しいと思います。マニュアル本だと真似して終わってしまいがちですが、せっかく収納を考えるなら、自分らしいスタイルを見つけてみてはどうでしょう?」(石川さん)
ROUTE BOOKS w/botanicals
- 住所:東京都台東区東上野4−14−3 Route Common 1F
- 営業時間:12:00~21:00
- 定休日:なし(イベントで貸し切りの際はツイッター@routebooksでお知らせ)
- 問い合わせ:03-5830-2666
- http://route-books.com/
選書理由:
「収納と聞いてまず思い出したのがこの本。町田康さんによる自宅のリフォームの実録で、独特なあの筆致で失敗や苦労がじっくりと綴られ、役に立つうえ笑えます。まず荷物が多い。それだけでなく、犬が2匹、猫が10匹も同居しているのだから、大変です。自分でリフォームをして失敗した話から、収納場所作りの苦労、かかった金額から大工さんにお茶やお菓子を出すタイミングまで、ページを割いて微細に書いてあります。収納と暮らしがいかに結びついているか、そして収納する場所から暮らし方を考えることができます。リフォームを考えている人にはぜひ読んでいただきたいですね。さらに読み終わってみると、詳しい実録でありながらも心に響き、これはまさしく文学であったと気付くはずです」(石川さん)