収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!
本のプロが選ぶ“収納本”とは?

HOUSTO 編集部

HOUSTO 編集部

HOUSTO公式アカウントです。当サイト独自の目線で、毎日の暮らしがちょっと豊かになる情報を定期的にお届け中です!

https://www.instagram.com/ouchinoshunou/

選んでくれたのは…nostos books

東京都世田谷区松陰神社前の穏やかな商店街の中にある、デザイン会社が営む古書店。「日本の芸術文化」をメインテーマにセレクトした古本・新刊・雑貨などを取り扱っています。選書に際しては、既存の教養主義や美術史にとらわれず、知ることを純粋に楽しむことを前提としているそう。画集、写真集、フォント集、絵本などが並ぶアーティスティックな空間は、奥行きのある日本の芸術文化の入り口になってくれそうです。

選書人はこのお二人

nostos booksディレクターのおふたり。山田なつきさん(左)は、Web管理とお店の空間づくりを手掛けています。山田友佳里さん(右)は、アート・カルチャー系の記事を手掛ける編集者。今回は、収納の前段階である「生活の整理」をテーマに選んでくれました。

1冊目『花森安治の仕事』/読売新聞社 美術館連絡協議会

世田谷美術館で開催された、同名の展覧会の図録。1948年9月に創刊した生活家庭雑誌『美しい暮しの手帖』(のちの『暮しの手帖』)の初代編集長・花森安治(はなもり・やすじ)の記事やアートワークを収録している。

選書理由:

「整理・収納する一歩手前で、物を手にするときの『審美眼』について考えるきっかけになる本です。 物を大切にする生活の知恵や、暮しを豊かにするレシピが盛り込まれた記事からは、時代背景が感じられるだけでなく、『庶民の暮しが大事』だという花森安治の哲学が伝わります。とくに初期の誌面には強烈なメッセージ性があり、『自分宛てのメッセージ』を受け取った感覚になれます。 整理・収納をするためには、物が少なければいいというわけではありませんよね。収納に取り掛かる前に、この本を読みながら物選びの観点を見直し、いま持っている物と見つめ合ってはどうでしょうか。 花森が理想とした『美しい暮し』が描きこまれた表紙イラストも収録され、眺めるだけでも楽しい一冊です」(山田なつきさん

2冊目『花暦』/京阪神エルマガジン社

女性誌『&Premium』の連載「ボタニカルカレンダー」を書籍化。ウメ、サクラ、アジサイ、ヒマワリなど、日本でおなじみの花々の驚くべき生態を、二十四節気ごとにユーモラスな問答形式で紹介する、異色の植物インタビュー集。

選書理由:

「1年を約15日ずつに区切る『二十四節気』をもとに、それぞれの期間に花期を迎える植物を擬人化して、インタビューした本です。 タイトルにある『暦』は、生活を整える基準にもなるもの。この本ではまず、日本で使われる暦の詳しい解説があり、『ていねいな暮らし』に思いを馳せることができます。 インタビューに答える植物によって性格が違い、その植物の成り立ちや歴史背景についても知ることができます。写真もきれいで、片付いた部屋でゆったりと眺める本としてもおすすめ。 お部屋を整理・収納して、花を飾ったりと、暮しを整え続けることは、忙しい生活の中ではなかなか難しいけれど、この本の季節の花の語り口に耳を傾けると、その季節に合った花を飾りたくなります。『花のインタビュー』を入り口に、生活を整えるきっかけにしてはいかがでしょう?」(山田友佳里さん

3冊目『エクリ叢書I』/オーバーキャスト

様々な書き手によってデザインの思想を伝えてきたWebメディア「エクリ」の記事を書籍にしたシリーズ『EKRITS Books / エクリ叢書』の第1弾。「デザイン」そのものをテーマに論じた記事を収録。

選書理由:

「生活空間を整理・収納するとき、デザインを考えることは大事ではないでしょうか。 この本は、そのデザインについて『そもそもどのように考えたらいいのか』を教えてくれます。 さまざまな書き手によって記された『記憶のデザイン』『タイポグラフィとはなにか』『デザインとアートの同一性』といったデザイン論から、町で出会ったデザインについてのコラムも収録され、幅広く思いを馳せることができます。 また、引用した参考文献もしっかり記載してあるので、掘り下げたいテーマがあれば、その入り口にもなってくれます。 大きなテーマを扱っているので、日常の雑事から少し離れたいときにもおすすめ。ページをめくるごとに、頭の中のごちゃごちゃをスッキリと『整理・収納』してくれるかもしれません」(山田友佳里さん

こだわりの書店インテリア

実はこのお店、元八百屋だった物件をDIYでリノベしたそう。床を剥がし、天井を高くして壁を足し、塗装まで。シンクも手作りするほどこだわって完成した店内は、まるでひとつの作品のような仕上がりです。

  • 店内では雑貨や作品の展示販売も行います。この置型モビールは、札幌を拠点とする木工作家・辻有希さんの作品。

  • 天井近くの空間を大胆に使った収納術。吊り下げ式の棚には、古典文学集などの古書を飾りつつダイナミックに収納します。

  • チークをヘリンボーン柄に貼った壁面に、おすすめの本を展示・収納し、一枚のキャンバスのようなデザイン空間に。

  • アーティスティックなオブジェが空間を彩ります。店全体がひとつの大きな展示スペースのよう。

  • さりげなく置かれた雑貨も気になるところ。レジカウンターの片隅では、アクリルの文鎮が陽の光を浴びていました。

  • 直線で構成された店内で、グリーンやスワッグの温かみが優しいアクセントになっています。

  • モフモフでかわいいイメージキャラクター「ノストス」さんのぬいぐるみ。お店のどこかにひっそりと佇んでいるので、探してみて。

まとめ

選書してもらった本の内容だけでなく、美しくデザインされた古書店の佇まいにも刺激をもらった第7話。美しい空間を目にするだけで、お部屋の整理・収納も一歩進むのかもしれません。

Nostos books

  • 住所:東京都世田谷区世田谷4-2-12
  • 営業時間:12:00~19:00
  • 定休日:水曜
  • 問い合わせ:03-5799-7982
  • https://nostos.jp