収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!
本のプロが選ぶ“収納本”とは?
選んでくれたのは…RBL CAFE
下北沢にある「RBL CAFE」は、クイズ問題を作成するために使用した資料を中心に集めたブックカフェ。クイズ作家の店主が集めた膨大な資料が並び、知的好奇心を刺激される空間です。おいしいコーヒーを飲みながら仕事や読書に集中できる静かな店内では、アコースティックライブ、上映会、朗読会などイベントが開催されることも。今回は、小さな収納から大きな収納まで、ズバリ「収納」に向き合って選んでいただきました!
選書人
店主 仲野隆也さん
『まるごと本棚の本』センドポインツ・パブリッシング編/グラフィック社
住空間や図書にあわせてトランスフォームしたり、ソファやランプになるなど、多機能でありながら、インテリアとしても空間をスタイリッシュに演出する本棚。作る人・使う人の想像力と創造力を刺激する、世界の逸品が続々登場!
世界の不思議な図書館
著者:アレックス・ジョンソン、翻訳:北川 玲/創元社
マドリードの地下鉄図書館からモンゴルのラクダの図書館、電話ボックスを活用した小型ライブラリーや個人宅に設けた夢の図書空間まで、世界中のバラエティあふれる図書館全89館を収載した図書館ガイド。
選書理由:
図書館は、施設自体が本棚みたいなもの。しかも効率的に分類され、どこに何があるかすぐに分かるという機能的な収納を実践している場所です。この本は、従来のかたちにとらわれない世界中の図書館を集めた本。例えば、ウォールポケットに本を入れて動物の背中に乗せて運んだり、船の上や砂浜にあったりと、個性的な図書館はディスプレイのヒントになってくれます。共通点は、生活と密着した手段を使っていること。図書館と人間の営みは、切り離せないものなのかもしれませんね。図書館に行くと、給料が上がったのと同等の喜びがあるという研究結果もあると聞きます。図書館はそれぐらい満たされる場所。自分の家にも、そんな豊かな空間が欲しいものですね。
TOKYO NOBODY―中野正貴写真集 /リトルモア
渋谷の駅前、銀座のビル街、誰もいない東京。人のいない場所を求めて11年間撮り続け、こだわり続けた写真家・中野正貴が、世紀末に残した問題作! マスコミでも話題騒然の本書。見慣れた景色の、決して見られない一瞬がここにある。
選書理由:
いちばん大きな「収納」はなんだろうと考えた時、それは都市かなと思い至りました。都市をデザインし、ビルや家の配置を決めて収納し、人間が暮らしやすいように動線を確保して…と出来上がったのが町。この本は、その大きな収納である町だけを見つめ、人にフォーカスしていないのが面白いんです。ふだんは人が溢れる場所に人がいないことで、「マテリアルとしての東京」が際立ち、まるでSF映画の一場面のようにシュールです。お店の看板や住人の洗濯物、ベランダの植木などがそこに加わり、町は人が暮らすことで無秩序に発展していきます。都市計画でも収納は予想通りにはならないものであり、またそこが街の「らしさ」にもなっているのは興味深いですね。
店内のインテリア
まとめ
「本棚というミニマムな収納から、都市という大規模な収納まで、カメラのズーム機能のように寄ったり引いたりしながら考えてみました。すぐに家の収納として取り入れる、という実用性はないかもしれませんが、収納そのものを、マテリアルとして興味深く面白いもの、として見ることができれば、取り組み方も少し変わってくるかもしれませんね。」
RBL CAFE
- 住所:東京都世田谷区代沢5-32-12
- 営業時間:金・土・日・祝13:00~22:00(月〜木 不定期営業)
- 問い合わせ:03-6805-2046
- http://rblcafe.jp/
選書理由:
世界中のアイデアを集めた本棚のカタログのような一冊です。本は置くと思いがちですが、この本では、吊り下げたり、転がしたり、挟んだり、本自体が本棚になっていたりと、思いもよらない発想で本を収納しています。壁面を使うにしても、完全に見せるために作っていて、詰め込むだけが収納じゃないなと刺激を受けます。ファッションショーの洋服は、普段着にするのは難しくても、夢を見せてくれますよね。この本にも、一般家庭には置けないような奇抜な本棚もありますが、アイデアひとつでこんなにバリエーションができるんだという驚きをくれると同時に、本の収納を考えるモチベーションを上げてくれます。