収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!
本のプロが選ぶ“収納本”とは?

HOUSTO 編集部

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選んでくれたのは…恵文社一乗寺店

恵文社は「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」。広い店内に一冊一冊丁寧に並べられた本は、新刊、既刊、アートブックから自費出版のZINEまで幅広く、思わぬ出会いを与えてくれます。本の横に並ぶ雑貨は、読書の楽しみが増したり、本のある生活が豊かになるようなセレクトがずらり。書店併設のギャラリー「アンフェール」では、アーティストに発表の場を提供するほか企画展も主催し、さまざまなカルチャーを紹介しています。こだわりの店作りは世界的にも知られ、イギリスのガーディアン紙で「世界の美しい書店10選」に選ばれたことも!

選書人

恵文社一乗寺店 鎌田裕樹

『プリンセスメゾン』(全6巻) 池辺葵/小学館

2015年、日本。女性がひとりで家を買うことは、無謀なのか、堅実なのか。年収250万ちょっとの独身女性・沼越さんが、オリンピックを控えた東京で、理想の家を求めて歩く。共感度100%の家探しストーリー。

選書理由:

「主人公の26歳の女性と周囲の女性たちを通して、「家」という容れ物について考える群像劇です。そもそも、漫画としても素晴らしい作品ですが、彼女たちの当たり前の喜びや葛藤に共感するというか、心を動かされます。家は広ければ良いということはありませんが、そうは言っても心地よい暮らしのためには、ある程度の広さや使い勝手は必要です。たとえば私も夕飯を作っていても、コンロがもう一口あれば楽なのに、と毎日のように思っています。私も含め若い世代にとって、家を購入するというハードルは途方もなく高く、いつしか何事も賃貸サイズで収納や生活を組み立てていますが、もう一度まっさらに、どんな暮らしが理想なのか、を考えてみたいですね。そのきっかけになる作品だと思います。」

『いつまでも考える、ひたすら考える』保坂和志/草思社文庫

結論に逃げ込まず、「考える」行為にとどまりつづけろ! 作家の紡ぐ「うねる」言葉が、本質的な思索へと読者を導く。自分の人生をつかむための粘り強い思考の作法。

選書理由:

「簡単に答えを求めず、考え続けるという”面倒くささ”を肯定してくれる本。わかりやすさや結果だけを求めない姿勢は、恵文社の本棚にも通じるところはあって、50音順でもないし、ジャンルもあってないようなものだし、アーカイブとして分かりやすい棚作りはしていません。それでも、一見ではわかりにくいですが、代々のスタッフが45年間かけて考えてきた「思考の跡」があって、本が好きなお客さんはそれを嗅ぎ分けるように、本を選んでいかれます。家の収納も同じで、たとえば調味料ラックが自分の使いやすい順になるように、年月の積み重ねや個人の経験則が現れる。散らかっていて、めちゃくちゃに見える本棚も、その棚の持ち主にとっては考え抜かれたベストの並びかもしれない。整頓されているかどうか以前に、どう考えたかが重要だと思います。」

『谷川俊太郎選 茨木のり子詩集』茨木のり子/岩波書店

青春を戦争の渦中に過ごした若い女性の、くやしさと、それゆえの、未来への夢。スパッと歯切れのいい言葉が断言的に出てくる、主張のある詩、論理の詩。ときには初々しく震え、またときには凛として顔を上げる。素直な表現で、人を励まし奮い立たせてくれる、「現代詩の長女」茨木のり子のエッセンス。

選書理由:

「収納のことを考えて選書していて、家での過ごし方の本ばかり思い浮かびました。偉大な詩人たちに失礼かもしれませんが、僕は家のトイレに詩集を置くようにしています。良く言えば一輪挿しに花を飾るように…ちょっとしたことですが、風通しが良くなる気がします。そうしていると毎日、必ず本に触れることができますし、言葉がコンパクトに一篇に収められている詩は、トイレのような隙間の時間向きではないでしょうか。例えば、煮込み料理の待ち時間にも、詩なら二、三篇読めるので、キッチンにも本を置いています。なかでも、茨木のり子の詩は己を奮い立たせてくれるようなところがあって好きですね。本に携わる仕事をしていることもあって、隙間の時間でも、スマホを触るかわりに少しずつでも本を読むように心がけています。」

店内のインテリア

アンティークな雰囲気の家具に並べられた本は、美しい表紙のひとつひとつが語りかけてくるよう。

雑貨のように飾られた本は、お店で手に取って選ぶ楽しさを思い出させてくれる。

高い天井に下げられた個性的な照明が、空間の広がりを演出する。

衣食住を中心とした生活にまつわる書籍に加え、食器や生活雑貨が並ぶスペースも。

広々とした店内には古典文学、人文学、アートブックまで幅広い蔵書が並び、訪れた人に思いもよらぬ出会いを与えてくれる。

まとめ

「引っ越す気も無いのに賃貸情報を見るのが好きなのですが、いい家って、だいたい収納が考え抜かれていますよね。それと同じように、人の家に行って本棚を見ると、その人と話す以上に、何を考えているか分かる気がします。物として目の前にあると、買った時のこととか誰からもらったものだとか、暮らしの背景を考えざるを得ないので。そういう意味では、必ずしも片付いているだけがいい収納ではないと思います。そして、ムダがたくさんある家づくりの方が、ちょっと面白い。恵文社も、本屋なのに庭があったり、ムダが多い店舗だと思いますが、本の並びはもちろんのこと、余白も楽しんでもらえると嬉しいですね」

恵文社一乗寺店

  • 住所:京都市左京区一乗寺払殿町10
  • 営業時間:10:00~21:00
  • 定休日:年中無休(元日を除く)
  • 問い合わせ:075-711-5919
  • http://www.keibunsha-store.com/