収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!
本のプロが選ぶ“収納本”とは?

HOUSTO 編集部

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選んでくれたのは…かもめブックス

本ができあがる前に必ず必要なのが、文字や内容の正誤を確認する校正作業。その校正に携わる会社「鷗来堂」が作った書店が、東京・神楽坂にある「かもめブックス」 です。意識するのは「レコメンド/感動を伝える」と「リマインド/感動を想起させる」。思いがけない新しい本との出会いを提供したいと、新刊だけでなく既刊の紹介にも力を注いでいます。幅広く変化に富んだ本棚は、見ているだけで時が経つのを忘れてしまいそう。カフェ、ギャラリーを併設した開放的な空間では、本屋に赴き、本を選ぶことの面白さを実感できます。

選書人

かもめブックス 前田隆紀

『あなたを選んでくれるもの』ミランダ・ジュライ/新潮社クレスト・ ブックス

映画の脚本執筆に行き詰まった著者は、フリーペーパーに売買広告を出す人々を訪ね、 話を聞いてみた。革ジャン、オタマジャクシ、手製のアート作品、見知らぬ人の家族 写真……。それぞれの「モノ」が、一人ひとりの生活が、訴えかけてきたこととは? 胸を打つインタビュー集。

選書理由:

「収納の前提は、使うこと。いくら収納しても使わなければ意味がありません。 ただ、収納するものを減らそうにも、思い出があるものほど捨てにくいものですよね。では、人にあげてしまうのはどうでしょう。言い換えれば、『人に収納してしまう』ということです。この本では、ネットばかり見ていた脚本家が外に出ることで、予想もしなかった出会いがあります。モノを家から外に出すことも、人間関係を作ります。友情や恋愛のはじまりにおいて、モノの貸し借りは次に会う約束のようなものですが、予定を合わせづらい大人にとっても、モノをあげることは会って話をする口実になります。『人に収納』することは、人に会うための種のようなものになり得ると思います」

『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』坂口恭平/角川文庫

何も持たない人間でも生きていく方法がある。ぼくらの周りには“都市の幸”が溢れているからだ。衣服にも食べ物にも困ることはない、もうどこかに勤めるのはよそう、家だって自分の手で作れる―。家・仕事・生活についての先入観を覆す、現代人必読の一冊。

選書理由:

「都会では特に、限られた収納スペースに悩む人も多いと思います。この本は、 都市で仕事も家もなく生きていけるかという実践の本。また、自由な発想で『都市をどう見るか』という本でもあり、海の幸、山の幸があるように、都会で得られるものを『都市の幸』と呼んでいます。たとえば1階に酒屋のあるマンションに住んでいれば、自宅にお酒を買い置きする必要はありません。それを拡大解釈して街全体を収納ととらえると、自分で持っている必要がないものも意外と多い気がします。若い人は物を持たなくなっていると言いますし、データもネット上のクラウドに置くようになっている世の中では、極論ですけど、収納も”『クラウド化』できるところは多そうですよね」

『黄色い本』高野文子/講談社

小説の主人公に自分を重ね、図書館で借りた本を読みふける少女。名作『チボー家の人々』を題材に採った表題作のほか、3編を収録。バラエティー豊かに人生の真実と上澄みをすくい取る、名手によるたぐいまれなる作品集。

選書理由:

「地方都市に住む高校3年生が『チボー家の人々』をひたすら読んでいる話で、読書好きには響く本だと思います。この本には『自分の好きな人を大切にすることは、それ以外の人には冷たくすることになるんでねえの』と自問する名台詞が出てきます。これは収納も同じで、本棚を例に取ると、本棚の範囲以外の本は大切にできないとも言えます。収納は結局、そういう優先順位を決める作業でもあるんですよね。また主人公は、読んだという体験のほうが大事だと考えたのか、父親に本の購入をすすめられても『持たない』 選択をしたように読み取れます。前述の台詞のように、この本を持っているとほかの本に出会えないと考えたのかもしれません。新しい出会いのためには、空席を作る必要があると僕も思います」

かもめブックスの見どころ

カフェスペースではこだわりのコーヒーや軽食も楽しめる。コーヒーは京都の自家焙煎珈琲専門店「WEEKENDERS COFFEE」の珈琲豆を採用。ハンドドリップやエスプレッソで提供。

雑誌にも巻頭特集があるように、かもめブックスには「店頭特集」が入り口付近でお出迎え。3週間に一度替わるテーマ別に、選び抜かれたおすすめ本と出会えます。

店頭特集以外にも、店内のいたるところに小さな特集コーナーが。一見ジャンルは違っても共通点のある仲間たちが集まっているようなミニ特集がいっぱい。

選書内容はもちろん、本棚の分け方もオリジナリティを感じさせ、背表紙を眺めているだけで楽しい。よく見ると、棚ごとに趣向を凝らしたキャッチコピーが付けられています。

奥に長い店内を探検するように進むと、漫画を集めたコーナーを発見。

クリエイターからも愛されるかもめブックス。壁には作家のサインがいっぱい!

店内にはギャラリーも併設。かもめブックスは、『お店の入口から奥に行くに連れ、日常から離れていく』がコンセプトとなっており、その最後の場所がギャラリースペースです。お客様が日常から切り取られた空間を楽しんで貰いたいと作られました。平面、アニメーションなど、ジャンルはくくらずに、『軸』のある作品の展示しています。

店名の由来は、開いた本のかたちを飛ぶカモメに見立てた俳句。いたるところにカモメのモチーフがある店内では、オリジナルグッズも手に入ります。

まとめ

「収納には限度がありますし、悩んでいる人は多いと思います。初期の収納ってどんなものだったかを考えてみると、きっと原始時代には、道具になりそうな石や食糧など、命に直結するものをしまっていたはず。それに対して今の収納は、趣味で集めたものを並べたりしまい込んだりして、実は使っていないことも多いのではないでしょうか。そこで、『収納を解き放って』というテーマで選書しました。ものを人にあげても、まつわる思い出はなくなりません。思い切って収納を家の外に開放してあげるのも、意外な出会いにつながると思います」

かもめブックス

  • 住所:東京都新宿区矢来町123
  • 営業時間:11:00~21:00
  • 定休日:水曜(祝日の場合は営業)
  • 問い合わせ:03-5228-5490
  • http://kamomebooks.jp/