収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!
本のプロが選ぶ“収納本”とは?

HOUSTO 編集部

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選んでくれたのは…ホホホ座 浄土寺店

「ホホホ座 浄土寺店」は銀閣寺や法然院、哲学の道からほど近い、静かな住宅街に佇む書店。京都の名物書店「ガケ書房」の店主だった山下賢二さんが移転オープンしたお店で、1階は新刊書、2階は古書を扱っており、ライブやトークショーのほか編集プロダクションとして出版も手掛けています。ホホホ座は現在、全国に10店舗。「親戚みたいな関係で、名字は同じだけど住んでいる地域もやっていることも違う」と山下さんが言う通り、一棟貸しの旅館やライブスペースなど業種はすべてバラバラ。業種は違っても、テイストを共有できる人たちが想像力を巡らせて、自由に育てる楽しさが伝わるようお店ばかりです。今回はそのホホホ座の総本山ともいえる、「ホホホ座 浄土寺店」でお話をお伺いしました。

選書人

ホホホ座 店主 山下 賢二

『お弁当』/エイ出版社

お弁当は蓋を開けるその瞬間がワクワクの最高潮! お弁当の盛り付けのコツや、カレーや肉じゃがなど夕食で残ったおかずを賢くリメイクする術など、お弁当作りが楽しくなるアイデアをふんだんに紹介しています。

選書理由:

「1冊目は『食べ物の収納』ということで、お弁当の本です。収納としてならある意味無個性なものを、と思い、タイトルも表紙もシンプルなこの本にしました。『◯◯さんのお弁当』のような本だと、基本情報は「分かってるでしょ?」と省略されますが、この本は基本の献立やお弁当箱の詰め方など、基礎的なところから載っています。収納として見ると、お弁当は入れ物も詰め方もさまざま。ご飯とおかずを一緒に”収納”するタイプもあるし、別々にする2段のタイプもある。彩りを考えたり汁がこぼれないように工夫したり、弁当の『しまい方』は考え抜かれていますよね。家族のためにお弁当を作っている人なら、日常でいちばん考える収納ではないでしょうか」

『漱石全集を買った日』山本善行 清水裕也(著)/夏葉社

京都の古書店「善行堂」店主の山本善行さんと、その常連さんである清水裕也さんが、対談形式によって「どういうふうにして古本にはまっていったか」を説き明かした本。読めば、いますぐ古本屋さんに行きたくなる”古本入門”。

選書理由:

「もともとはそこまで本に詳しくなかったお客さんが、夏目漱石の全集を買ったのをきっかけにどんどん本棚が充実していく過程を、時系列に追っていった本。古本屋の店主とお客さんの対談で構成されています。この『善行堂』の山本さんは古書業界では有名な方で、僕が以前やっていた『ガケ書房』に貸し棚があったんですけど、そこから古本屋を始めて実店舗を構えた方なんです。お客さんはこの本屋に通うようになってから、自分の中の興味をどんどん発見していく。本棚に収められる本の種類の変化は、”古本力”が上がっていく過程でもあって、中には古本好きなら『おっ』と反応するような本も混ざってきます。写真付きで紹介されたその本棚の変化も面白いんですよ」

『旅立ちのデザイン帖 あなたらしい“終活”のガイドブック』NPO法人ライフデザインセンター(編著)/亜紀書房

老後の保険から財産管理まで、介護サービスから終末期医療まで、遺言・相続から葬儀の生前準備まで…「生老病死」にまつわるお役立ち情報満載。特別寄稿:上田紀行・上野千鶴子・鎌田實・高橋卓志・武藤香織。あなただけの人生の旅立ちを準備するためのガイドブック。

選書理由:

「最後は『人生のしまい方』ということで、「終活」の本です。HOWTO本なので、相続や医療やお墓のことなど、実用的な情報が書かれています。人生をしまうこと、つまり死ぬことは、誰にでもさいごには必ずやってくることですが、頭では分かっていても僕にはまだ実感がありません。実際に70歳、80歳になったときに終活を考えるのか、それをどう考えるのか、想像で中身を読んでみたところ、HOW TOだけに終わらず、当事者の方から寄稿されたエッセイの部分で人の思いを汲んでいるのが、他の本との違いかな。人生をしまうことがいつか実感を伴って目の前に現れたとき、実際に人生の収納を考えるときが来たら、この本の意味はガラッと変わるかもしれません」

店内のインテリア

入ってすぐの場所には、迫力の平置き台。気軽に手に取りたくなるような、押し付けのないラインナップも魅力です。

それぞれ美しい表紙を心ゆくまで眺められる絵本の陳列。子どもでも手に取りやすい高さです。

様々なサイズの木箱や子ども用の机まで、自由な収納方法にも注目。お店を歩き回って思いも寄らない発見をするのも、本屋の楽しみ方のひとつです。

カラフルな雑貨は落ち着いた色味の棚に並べられることで、空間に調和が生まれます。

作家の手作りの雑貨は、個性的で手に取りたくなるものばかり。セレクトのポイントは「ロマンチックとユーモアのバランスがいいもの」(山下さん)。お気に入りを探してみて。

本屋であることに縛られないお店は、インテリアの発想も自由。空間そのものに心が躍るお店です。

地元のイベントなどの情報が集まるホホホ座。お店としてコンセプトを押し付けはしないけれど、共有したいテイストはしっかりある。それがホホホ座に人が集まる理由かもしれません。

まとめ

「収納を広く捉えて、暮らしに深く関わる3つの収納を考えてみました。お弁当の”収納” は本当に効率よく考えられていると思います。また、本は形がだいたい決まっている分、同じシリーズやテーマごとにまとめたりする収納の楽しみがありますよね。そして食べ物や本の収納と違って、3冊目の『人生の収納』は、僕もまだリアルではありません。でも、お金のことも持ち物のことも、古本屋に大量にある本も、僕たちはさいごには収納せざるを得ないんです。やりっ放しでいなくなったら、残された人が収納せざるを得ない。そうであれば自分で収納しておいたほうが、意思を持って物の行き先も決められるんじゃないでしょうか」

ホホホ座 浄土寺店

  • 住所:京都市左京区浄土寺馬場町71 ハイネストビル1階・2階
  • 営業時間:1F 11:00~20:00、2F 11:30~19:00
  • 定休日:1F 年中無休(元日を除く)、2F 不定休
  • 問い合わせ:1F 075-741-6501、2F 075-771-9833
  • http://hohohoza.com