収納の定義を幅広く捉え、書店スタッフが推しの収納関連本3冊を紹介!
本のプロが選ぶ“収納本”とは?

HOUSTO 編集部

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選んでくれたのは…青と夜ノ空

衣食住を中心とした古本、新刊本に加え、絵本やリトルプレスの本なども積極的に扱う書店。”生活を豊かにしてくれる本”をキーワードに、料理、インテリア、ファッション、旅、雑貨、絵、映画など、ときに幅広く、ときにマニアックに、自由な発想でセレクトされた本が並びます。テーマ別に本を毎月宅配する「青と夜ノ空セレクト便」、本を読んだ後は返却する「青と夜ノ空クルクル便」などリアル書店の枠を超えた面白い試みも。いい本との出会いの場を提供する本のセレクトショップです。

選書人

青と夜ノ空 店主 中村 克子

『本棚の本』赤澤 かおり(著)/アノニマ・スタジオ

料理家、古書店、酒屋、デザイナー、カメラマン……。編集者である著者が敬愛する19組の本棚を訪ね、たっぷりと話を聞きました。それぞれの人柄と仕事ぶりを知る著者が引き出す、本と人生の物語。おすすめ本を300冊超紹介。

選書理由:

「19人分の人生が詰まっているような本。本は人柄や生活スタイルを表すものですが、1920年代にまつわる本ばかりのピザ職人の本棚、ニーチェの全集が並ぶ酒屋店主の本棚、レコードだらけのカフェ店主の本棚、『チェ・ゲバラ伝』を収めた花屋店主の本棚など、その人が心に持つ『好み』は職業からは思いもよらないものだという、楽しい発見が詰まっています。収納の仕方も、デザイン性の高い家具に美しくディスプレイされていたり、とにかく機能性重視で整頓されていたり、本人にしか分からなさそうな混沌にあふれていたりと多岐に渡っていて、みなさんの目的に合わせた収納のヒントになってくれると思います」

『のほほんと暮らす』西尾 勝彦(著)/七月堂

詩人である著者が「どのように日々の生活を送れば穏やかさや安らぎが得られるのか」を考えて書いた”すこし詩的な実用書”。荘子、臨済、ソローなどの思想に見る「のほほん」や、身近な「のほほんとしたモノ」を紹介する、詩人による幸福論。

選書理由:

「いろんなことが便利になり効率化された今の時代には、『のほほん』と暮らすことは本当に難しくなっていますよね。この本は、奈良にお住まいの詩人・西尾勝彦さんが、禅の思想にも通じる『のほほん』ということばに共感して書いたものです。今や難易度の上がった『のほほん』をどう実践するかを、わかりやすく短いことばで紹介しています。たとえば毎日やっている『歩く』『自転車に乗る』も、捉え方を変えてやってみると、心を整頓する時間になります。寝る前に開き、暮らしの中のそこかしこに『のほほん』の種があることを思い出せば、一日の出来事で乱れた気持ちの整理にもなるのではないでしょうか」

『ちいさなヒッポ』マーシャ・ブラウン(作・絵)、内田 莉莎子(訳)/偕成社

カバの子ヒッポは、母さんカバから厳しい言葉の特訓をうけます。母と子の愛情の物語を、みごとな木版画で美しく力強く描きます。『三びきのやぎのがらがらどん』で知られるマーシャ・ブラウンの絵本。

選書理由:

「3冊目はインテリア目線でセレクトしました。見せる収納として、少し懐かしさを感じる絵本はおすすめです。昔の絵本は、表紙だけでなく1枚1枚の挿絵が独特の雰囲気を持っているものが多いので、やわらかい空気感を演出できると思います。特にこの絵本は、マーシャ・ブラウンの美しい版画で物語が描かれていて、印刷の仕上がりも美しい。インクのかすれた風合いや、単色を繊細に組み合わせた美しい表現は、優しくも力強く心に響くものがあり、ページをめくる手をとめてゆっくり眺めたくなります。赤ちゃんのカバの成長と、それを見守るお母さんの愛情を通して、親子の関係を改めて考えてみたくなるストーリーも素敵な絵本です」

店内のインテリア

コンパクトながら見飽きることのない蔵書量でつい長居してしまう店内。


古いミシン台に並べられた本が落ち着いた雰囲気を醸し出す。

女性も手に取りやすい高さの本棚が、白い壁に映える。あえて壁に空白を残すディスプレイは参考にしたい。

懐かしの学習椅子などアンティークと本を自由に組み合わせてディスプレイ。

めざしたのは、人が集まる場所。通りに面した大きな窓から、自然光が優しく店内を演出。

店にある小物は、西荻窪の古道具屋をはじめ、お気に入りの店で買い集めたもの。細かいところまで、好きなものが並べられている。

親しいクリエイターの雑貨も販売。なかでも「月」をテーマにした旧暦カレンダーは人気が高いそう。

空間を活かした”引き算”のディスプレイ。クリエイターのワークショップも定期的に行う。

まとめ

「衣食住をテーマにした本には、著者の生き方が文章の端々からにじみ出ていて、実用書と一言では片付けられない面白さがあるものが多いんです。今回は人柄や好みなど、人の気持ちをキーワードに『整理・収納』を考えて、暮らしを整えるきっかけになるような本をセレクトしてみました。私はこの物件の空間が『なんとなく好き』だと感じ、ここにお店を出すことに決めたのですが、おかげさまでいつの間にか5年間続いています。言葉にならない『なんとなく好き』なものが、その人にしっくり来る暮らしの空間を作るのかもしれませんね」

青と夜ノ空