注文住宅を建てたのは、ライフスタイル書籍などで幅広く執筆を行なっているライター・佐藤望美さん。整理収納のプロを多数取材するうち「本当に暮らしやすいおウチをつくりたい」と思うようになったそうです。特に収納にはこだわりがあり、可動棚「シューノ」を採用することに。注文住宅の計画から完成、実際の使い方までをありのままに語っていただきました。今回はいよいよ完成した新居を公開! 家の顔となるキッチンについてお届けします。 連載記事はこちら

佐藤望美

佐藤望美

ライフスタイル全般を手掛けるエディター・ライター。インテリア、整理収納、家事のコツ、ミニマリスト関連の書籍も数多く編集、執筆。トラベルエディターとして子連れ旅情報をまとめたWebマガジン「FOOTABY!」を運営中。

https://www.instagram.com/nozomi.at.work/

「シューノ」って?

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  • 壁面に取り付けられる可動式の棚。スペースや用途に応じてパーツを組み合わせて自由な場所に設置ができる。暮らしに合わせてレイアウト変更が可能。
  • もっと知りたい方はこちら
    https://uchishu.com/royal/

ペニンシュラキッチンの壁面に可動棚「シューノ」を設置!

こちらが完成した新居のキッチン。コンロ側に壁があるペニンシュラキッチンですが、アイランドのようにキッチンのまわりをぐるぐる回遊できるような間取り。「ステンレス天板」「収納はオープン」「ミーレの食洗機を設置したい」など譲れないこだわりがたくさんあったので、システムキッチンは導入せず造作で大工さんにつくっていただきました。

以前の住まいは使い勝手も悪く、圧迫感を感じるキッチン

キッチンは、新居計画で最もこだわったところです。わが家の炊事担当は夫。私もお菓子づくりや季節の手仕事をするし、小学4年の息子は魚をさばく練習中。保育園に通う娘も手伝いをしてくれるので、家族全員が使いやすいキッチンにしたかったのです。

じつは以前の住まいもペニンシュラキッチンでしたが、奥まった場所で壁に囲まれていたため、リビングダイニングからは隔離された印象に見えてしまっていました。

以前の住まいのキッチン。写真には写っていませんが、シンク上には吊り戸棚が。収納力は抜群でしたが、圧迫感があるうえ上部のモノは出し入れしづらくなるため使い勝手はあまりよくありませんでした

背面の食器棚のせいで通路が狭くなってしまい、2人以上キッチンに入ると作業効率がダウン。みんなで料理したくてもできない、そんな状態がストレスだったのです。

新しい家のキッチンは、リビングの延長のような開放感のある空間にしたい。キッチンに立つ人とリビングダイニングで過ごす人がゆるくつながっているキッチンを目指しました。

こちらは新居キッチンの設計図。当初は天板の下も可動棚「シューノ」にしようと考えていました。でも食器類やストウブなどの重たい鍋を置くことを考えて側面受け(両側の壁で棚板を支える)タイプを選び、棚板の幅も狭くしました。

キッチン収納のポイント1: 扉も引き出しもなし! よく使う家電は造作収納棚上に

ここからは、キッチン収納のこだわりを詳しくご紹介します。

引き渡し時

入居後

シンクやコンロ下の収納に鍋類の収納と電子レンジを置き、食器はすべて壁面の造作収納棚へ。扉で隠すと空間も食器もフル活用できない気がして、オープンな収納にしました。可動棚「シューノ」は長めの棚板を4枚、短い棚板を4枚。置くモノに合わせて上下に動かせるように設計。

以前のキッチンはシステムキッチンで収納スペースはたっぷりありましたが、その広さと深さのせいでモノが埋もれてしまう結果に。またコンロ横についているスパイス用引き出しなど、わが家には不要の収納スペースも多くありました。

新居のキッチンは「モノが見える」「さっと出し入れできる」ことが最優先。設計のポイントは、壁面の造作収納棚と可動棚「シューノ」です。

出し戻しやすさを確保するため、造作収納棚の収納スペースには扉も引き出しも一切つけませんでした。毎日のように使う炊飯器、電気ケトル、コーヒーメーカーは天板の上で“見せ家電”として置くことに。

ただし出しっぱなし=ごちゃごちゃして見えやすくなるので、天板と収納棚に置くモノは最小限に。全体の印象を引き締めるために家電は黒で統一しています。

可動棚「シューノ」の取り付けにあたって

造作収納棚より上の壁面は、可動棚「シューノ」を設置しました。棚板の幅は、左の2ヵ所は約87cmと87.5cm。右の2ヵ所は約36.5cmと44.5cmです。

ちなみに可動棚「シューノ」を設置するには、下地が入っていることが絶対条件です。わが家は計画段階から設置を決めていたので壁全面に下地合板を入れてもらうこともできましたが、そのぶん建築費が上がってしまうため断念。そこで間柱がある箇所を狙って、可動棚「シューノ」のサポート(ブラケットを受けるため壁にとりつける柱金具)を設置してもらいました。棚板の幅にズレがあるのはそのためです。設計段階では棚板を上下左右と自由に動かせるほうが便利かなとも思いましたが、棚板が片方に偏るとバランスが悪くなってしまうため、これでよかったと今は感じています。

キッチン収納のポイント2: 棚板の奥行を浅くし、家電の蒸気を逃す

可動棚「シューノ」棚板の奥行は25cmと35cmを1枚ずつにしました。シューノの製品ではなく、すべて大工さんにつくってもらっています。

引き渡し時

入居後

床から立ち上がりの造作収納棚の天板奥行は45cm。可動棚「シューノ」の棚板も同じ奥行にすると目線に圧迫感を感じそうなので、あえて浅めに設定しました。置くモノは、基本的には軽さを重視。一番上の棚板には使用頻度が低い調理器具やインテリア小物を置いています。

入居してしばらくは奥行25cmの棚板を上に設置していたのですが、その後上下を入れ替え。なぜならコーヒーメーカーの蒸気が棚の裏側に当たり、水分を含んでザラザラになってしまったからです。そこで奥行25cmの棚板が下にくるように入れ替え。コーヒーメーカーを天板の手前ギリギリに置くことで問題をクリアしました。棚板の裏面にもクリアオイル塗装を施しています。

これが固定式の棚だったらコーヒーメーカーの置き場所を変えることでしか解決できない問題。棚板を自由に動かせる可動棚「シューノ」だからこそ臨機応変に対処できました。

後編では、可動棚「シューノ」を使った飾り棚の活用方法について詳しくご紹介したいと思います。

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