注文住宅を建てたのは、ライフスタイル書籍などで幅広く執筆を行なっているライター・佐藤望美さん。整理収納のプロを多数取材するうち「本当に暮らしやすいおウチをつくりたい」と思うようになったそうです。特に収納にはこだわりがあり、可動棚「シューノ」を採用することに。注文住宅の計画から完成、実際の使い方までをありのままに語っていただきました。完成した新居には、日々の暮らしをラクに快適にする工夫がいっぱい。今回は2階につくったフリースペースについてお届けします。連載記事はこちら
「シューノ」って?
- 壁面に取り付けられる可動式の棚。スペースや用途に応じてパーツを組み合わせて自由な場所に設置ができる。暮らしに合わせてレイアウト変更が可能。
- もっと知りたい方はこちら
https://uchishu.com/royal/
わが家に廊下は不要。階段上がってすぐの場所をフリースペースに
2階建ての注文住宅をつくる中で、全体的に意識したのは空間のつながりです。扉で部屋をあまり仕切らず、どのスペースもゆるくつながっているような間取りを選びました。
特に設計段階で建築士さんに伝えていたリクエストは、「廊下はいらない」ということ。2階は階段を上がってすぐの場所を広くとり、廊下ではなくフリースペースとして幅広く活用できるように設計してもらいました。ただの廊下にして床面積を使うのはもったいない!
廊下なしでよく挙げられるデメリットとしては、音や光、匂いが漏れること。ただ、わが家のケースではフリースペースが家の中央にあり、廊下を広めにとったような間取りになっているため、私自身はこれらのデメリットを感じることはありませんでした。
フリースペースがこどもの遊び場に! 読書もできる
ここはフリースペースという名前の通り、どんな使い方もできる場所。こどもが工作をしたり、パズルを床いっぱいに広げて取り組んだり、絵本を読んだり。こどもの友だちが遊びに来たときも、フリースペースにおもちゃを出して遊んでいます。
こうした作業をリビングですると散らかっていることにイライラし、「片づけて!」とこどもを急かすことになりがち。でも2階ならそこまで気にならず、急な来客があっても慌てません。セカンドリビングのような感覚です。わが家は吹き抜けのため、柵越しに会話することも可能です。
可動棚は絵本やアルバムの収納に最適。高さ変更が自由自在です
このフリースペースには、ファミリーライブラリーをつくろうと設計段階から考えていました。本を読むということを、暮らしの一部として溶け込むようにしたかったからです。
本の収納には既製品の本棚ではなく、可動棚「シューノ」を選択。
階段を上がって左、作業部屋の入り口の壁に可動棚「シューノ」を設置しています。棚板の奥行は25cm。
子どもの目線の高さには絵本を並べ、絵本の上には漫画やアルバム、DVD類を置きました。可動棚「シューノ」は、置くものの高さに合わせて棚板を自由に動かせるのが大きな魅力。高さの違うアイテムを効率よく収納することができています。
ちなみに絵本はサイズや厚みの規格がバラバラ。すっきり収納するのはなかなか難しいのですが、せめて統一感が出るようにと色別に並べました。
こどもたちはこのフリースペースでも本を読むし、リビングに持って行ったり、寝る前の読み聞かせ絵本として寝室に持ち込むことも多いです。家の真ん中にあるフリースペースは、どこで本を読むにも便利な収納場所なのだなと改めて実感しています。
アルバムも以前の家では扉つきクローゼットの奥にしまってあったのですが、フリースペースに見えるように置くことで見返す頻度がアップ。特にこどもたちは自分が赤ちゃんの頃の写真をうれしそうによく眺めています。
思い出だって、ものと同じ。しまい込むと「ないもの」「なくても問題ないもの」になってしまうのかもしれないなぁと感じました。
このファミリーライブラリーに置くものは、絵本を卒業したら小説や図鑑などこどもの成長とともにどんどん入れ替わる想定です。スペースが空いたらフォトフレームやインテリア雑貨を飾ってもいいし、置くもの自体が減ったら棚板を外せばいい。家具よりも自由で、スペースを有効活用できる気がしています。
可動棚のおかげで、暮らしと収納の自由度が高まった!
わが家ではキッチン、洗面所、ファミリークローゼット、各部屋、フリースペースと至る所に可動棚「シューノ」を設置しましたが、暮らし始めてさらに使い勝手のよさを実感しています。下地のある部分に棚柱を追加したり、棚板を増やしたりと、考えていた以上にアレンジしやすいのも大きな魅力でした。かつての家で抱えていた「奥行はこんなに深くなくてもいいのになぁ」「棚板があと●cm高かったら」といった悩みごとも、可動棚がすべて解決してくれました。
そして最も意外で大きな収穫は、オープンな可動棚だからこそ置くものを厳選するようになったこと。「見えているから出し入れしやすい」という可動棚のメリットを最大限に生かすためには、限られた量に絞ることも大切だと強く実感しました。置くものを減らした結果、可動棚で余白やディスプレイを楽しむ余裕も生まれています。
収納や間取りに自分が合わせるのではなく、自分の暮らしに合わせて収納を変化させられる。それが可動棚。今後も引き続き、持ち物や生活スタイルの見直しとともに可動棚の使い方もアップデートしていくつもりです。