梅林を抱いた埼玉の田舎町で、古民家でのセルフリノベ生活を送る人気インスタグラマー<花・鳥・風・月 〜越生暮らし〜>さんを取材しました。ヨーロッパのアンティーク家具、日本の古道具など、好きなものに囲まれながら、独学DIYで少しずつ家の中を整えていくその暮らし方には、まさにプライスレスな喜びに満ちていました。
プロフィール
Name:古森久美子 <花・鳥・風・月 〜越生暮らし〜>
Instagram:kumiko_ogosegurashi
Blog:https://ogosegurashi.amebaownd.com
Hobby:DIY、古道具集め、編み物、カメラ
Place:埼玉県越生町
House: 持ち家(平家)/築44年/4DK
Family structure:夫婦2人
「空き家バンク」で見つけた古民家をコツコツとセルフリノベ
埼玉県越生町(おごせまち)。関東三大梅林の一つ、越生梅林を擁する北関東のこの小さな町は、2月になると町中が梅の香りに包まれます。
古民家生活を公開し、現在2.6万人のフォロワーがいるインスタグラマー、<花・鳥・風・月 〜越生暮らし〜>こと古森久美子さんは、2018年にこの町へと引っ越してきました。それまでは都内のあちこちで暮らしていたという古森さんは、もともと埼玉県出身です。
「そろそろ、持ち家を持って落ち着きたいと考えていました。仕事がフリーランスなので、なるべくコストをかけずに物件を探したいと考え、『空き家バンク』を検索してみたんです。自治体の空き家バンクは登録制で、物件が出たら教えてくれるシステム。母が近くに住んでいることもあって、越生町に登録し、一軒目に紹介されたのが、ここだったんです」。
それは、築44年、一戸建ての平家でした。
「ガランと何もない台所に、この食器棚だけが置いてあって、一目惚れしたんです。でも家の中はもう、本当にボロボロでした。畳も穴が空いているくらい。でも、地元の大工さんが『この家はしっかりしている、後50年は余裕で住めます』と太鼓判を押して下さって。庭はあるし、間取りも気に入って、『ここにしよう』とすぐに決めました。素人にはできない水回りと、シロアリにやられていた部分はプロにお願いして、あとはすべて夫婦で修繕していったんです。最初の一年くらいは集中的にDIYをやって、少し疲れてしまったので休んでいる間にコロナ禍になり、また少しずつ直しはじめて。整うまでに、4年かかりました」。
DIYはまったくの素人だったという古森さんご夫妻。YouTubeなどインターネットで情報を集め、壁、天井、床も全部自分たちで直していったそう。家の修繕とともに、大好きなインテリアを実現していきました。
苦手だと思っていたDIYが、今は一番の趣味に
「このあたりは大型のホームセンターがたくさんあります。また、材木で有名なエリアなので、建具や材木が安く手に入るんです。車で一時間圏内に古道具屋さんがいくつもありますし、少し足を伸ばして各地で開かれる古道具のマーケットを巡ったりすることも。夫婦でお休みの日には、DIYの材料と、古道具やアンティークなどを探して回るのが楽しくなって、すっかりはまってしまいました」。
夫婦ともにまったくの素人だったというDIYですが、電動のこぎりなど、一通りのDIYグッズを揃え、「以前はトンカチすら持ったことがなかったんですけどね。ずいぶん腕前が上がりました。50代からでもDIYはできるようになるんですよ」と胸を張ります。
リビングの一角に、ガラスのコーナーを。テイストを揃えて飾ると、アンティークショップのような趣が出ます。
テレビ横に置かれた小引き出し。古道具屋で手に入れた時はボロボロだったそう。「やすりをかけて塗装を剥ぎ、オイルを塗ったら生き返りました」と古森さん。上にのせたデコイは、フリマサイトで購入したもの。
古くても、古臭くない。心なごむインテリア
以前から、古いものが好きだったという古森さん。
古い家には、買い集めてきた古い道具がしっくりと似合っています。しかもそこには「古臭さ」はありません。古森さんのセンスで選んだ国内外のアイテムは、どれもデザイン性に優れたおしゃれなものばかり。
例えばランプも、IKEAで購入したモノにアンティークのシェードを付け替えて。現代のモノと組み合わせて、使いやすく、かつ見た目にもこだわったインテリアは、全体的に落ち着いたトーンでまとめられ、心がなごみます。
古いデスクチェアに、ドライフラワーを飾ったアイアン籠をさりげなく置いて。
古い時計と歯車、自転車。連続性を感じる飾り方も素敵です。
書斎のデスク上には、ノスタルジックな雰囲気の事務用品をまとめて。
このテープ台と穴あけパンチは、お父さまが使っていた古いものだそう。
ご主人の趣味だという古着も、インテリアの一部としてしっくりと古民家にマッチしています。
玄関の壁には、好みの植物画をフレームに入れ、たくさん並べてありました。このレイアウトにも、センスを感じます。
後編では、古森さんのさらなるDIYテクニックや、収納のポイントについてご紹介します。お楽しみに。