梅林を抱いた埼玉の田舎町で、古民家でのセルフリノベ生活を送る人気インスタグラマー<花・鳥・風・月 〜越生暮らし〜>さんを取材しました。ヨーロッパのアンティーク家具、日本の古道具など、好きなものに囲まれながら、独学DIYで少しずつ家の中を整えていくその暮らし方には、まさにプライスレスな喜びに満ちていました。
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プロフィール
Name:古森久美子 <花・鳥・風・月 〜越生暮らし〜>
Instagram:kumiko_ogosegurashi
Blog:https://ogosegurashi.amebaownd.com
Hobby:DIY、古道具集め、編み物、カメラ
Place:埼玉県越生町
House: 持ち家(平家)/築44年/4DK
Family structure:夫婦2人
建具にこだわったら、DIYの腕前がめきめきと
長年、フリーランスとしてラジオ番組制作の仕事に携わっている<花・鳥・風・月〜越生暮らし〜>こと、古森久美子さん。年齢を重ねるにつれ田舎暮らしへの憧れが募り、埼玉県越生町に引っ越して、古民家セルフリノベライフをスタートさせました。
ほとんど未体験だった古森さんも、今ではDIYの虜。建具に穴を開け、ガラスを嵌め込んで、オリジナルのドアをつくるまでに成長しました。
「模様のついた古いすりガラスは、もうつくられていないものが多く、新規では手に入らないんですよ。それぞれの模様に名前がついていたりして、懐かしさもあって、愛おしいんですよね。1、2年前に、建具と一緒にガラスも譲っていただき、しばらく手を付けずにいたんですけど、ついにガラス専用のナイフを購入しまして。ガラスを切るなんてハードルが高いからドキドキしたんですが、思い切ってやってみたら『できた!』って」。
右側に見えている建具は、お風呂場に続いているものです。ガラス部分にはもともと木枠の飾りは施されていませんでしたが、古森さんが手づくりでつけたそう。
「冷蔵庫の存在感を消したい」と、古い建具を天地逆向きに置いて、インテリアとして利用するなど、アイデアいっぱいです。
冷蔵庫の奥に見える壁は、板に着色をしたもの。この向こうには洗濯機が隠されています。
「埼玉の田舎町には、空き家がどんどん増えているんですよ。『立て壊すから、持っていっていいよ』と言われて、建具をいただくこともあります」。
ときがわ町など、材木が有名な町が近いこともあり、越生町界隈では古い建具が手に入りやすいそう。それらを再利用する古森さんのテクニックには、目を見張るものがあります。
現在の新築住宅では、「建具は高価」としてあまり使われない傾向にありますから、とても贅沢なものに感じられました。
懐かしい田舎の家を思わせる、道具のディスプレイ
キッチン周りの道具は、「見せる収納」になっています。
例えばこうして、ザル類はオブジェのように壁にかけられていました。
「古い日本の家は、どうしても湿気が多いんですね。竹ザルもしまいこんでおくとカビてしまうので、なるべくぶら下げています。現代はマンションなど、家は締め切っておくのが当たり前ですが、昔の人は窓を開けて、毎日風通しをよくしていました。この家も古いので、道具の置き方も昔ながらの方法で。見えることで、頻繁に使う気になりますし、お手入れもラクです」。
キッチンの窓にも棚を自作。
「夫には、まだまだツメが甘いと言われる仕上がりですが、私は気に入っています(笑)」。
S字フックを活用した吊り下げ収納なども併用され、とても使いやすいキッチンです。
壁に吊るした古い魚籠(びく)には、ビニール袋をまとめて。ホウロウの容器には、小さく切った古い布(布巾として利用)が収められています。
また、ポットの中には、乾燥させたコーヒーのカスをためています。コーヒーのカスは、消臭やガーデニングに活用しているそう。
「古道具も、飾るだけではもったいないですよね。生活の一部として毎日利用すれば、また新しい魅力が発見できると思います」。
掃除道具も壁にまとめてディスプレイ。見た目と実用を兼ね備えた、真似したいテクニックです。
DIYを続けながら、田舎の古民家暮らしを楽しみたい
基本的にはリモートワークとのことですが、現在も週に2回ほどのペースで、都内に通勤しているという古森さん。都会も適度に楽しんで、週末にはDIYと古道具の買い物廻りを満喫するという現在の暮らしに、とても満足していると話します。
「若い頃なら、こんな暮らしは選べなかったと思います。でも今は、新しいモノにはあまり興味がありませんし、自分たちの居心地のいい空間をつくることに魅力を感じるようになっています。欲をいえばキリがないから、今あるものを大切にしたい、という気持ちですね。自然の移り変わり、鳥の鳴き声を楽しみながら、花鳥風月の毎日を過ごしたいと思っています」。
現在古森さんご夫妻は、庭づくりに精を出しています。
「いつかこんな暮らしができたらなあ」と取材スタッフもため息をもらすほど、その暮らしぶりは素敵でした。またDIYでおウチが変化したら、ぜひ取材させてくださいね、古森さん!
実家から譲り受けたという古いキャンプ道具と、古道具を飾って。