賃貸住宅より分譲や注文住宅の方が高スペックとは限らない!? 賃貸住宅の間取りから見る、暮らしやすさの秘密とは?

東沙織

東沙織

1988年生まれ、兵庫県相生市出身。有限会社ひまわり工房取締役 暮らしの設計士。 設計思想は、『家事シェアできる家』・『らくちん動線の家』。適材適所の収納計画も定評あり。毎朝アイデア発信するインスタグラマー。

注文住宅を建てたいけれど、賃貸の間取りが手放せない?

「僕たち、今住んでいる賃貸アパートのまどりが、気に入っているんです。」
これは、わたしが注文住宅の設計相談をいただく時に、ご依頼者さんから言われるメッセージです。ここ3年くらいの比較的新しい賃貸アパートにお住まいの方からは、こういったメッセージをよく言われます。
実際にお住まいである『アパートのまどりイラスト』をもって来られることもあります。(下図のようなもの)

わたし『たとえば、今お住まいの賃貸アパートのどんなところが気にいっているのですか?』 このように聴いてみたところ、下記のような話題が挙がります。

玄関からつづく廊下も最小限で、平屋みたいな動線が便利。
1階の場合は階段が不要で、寝起きも安心。
水まわりの窓は不足ぎみですが、その代わりに掃除箇所が減るのが嬉しい。
ポストが玄関ドアに備わっていて、寝間着のままラクラクポスト確認できるのが良い。
浴室乾燥機が備わっていて、電気代は必要だけれど物干しがラク。

こうしていただいた話題は、以下のような2つの特徴にわかれます。
①動線にメリットを感じている。
②設備にメリットを感じている。
たしかにこれらメリットをふりかえった時、わたしも賃貸アパートの合理性に共感することは多いです。

あっ、申し遅れました。わたしは 工務店ひまわり工房 暮らしの設計士、東 沙織(あずま さおり)です。
前回のエッセイコラムを読んでくださった皆さま、ありがとうございます。

今回のコラムは、「賃貸アパートの『まどり』は、一戸建て住宅より合理的だったりもする」と題してまとめてみました。

住み替えを考えている方にとって「理想のまどり(間取り)」を考え尽くした先には、結局現在住んでいる賃貸アパートのようなまどり形態に安心感を感じることだってあるかもしれません。

今日は、なぜ賃貸住宅の間取りが住みやすいのか?から、住み替えの時にぴったりな間取りを作ることができるように考えてみようと思います。

賃貸住宅における局所的収納への配慮例

多様化社会に合わせて、賃貸住宅は進化している!

ここ3年ほどで賃貸アパートのまどり計画はさまざまなニーズに応えるように、多様化していています。局所的収納への配慮も見受けられますね。

共働き夫婦が世間的に増えたことや、同居のカタチが多様化したことがまどり計画多様化の背景にありますね。
時代の変化に合わせて、より暮らしやすい賃貸アパート(まどり)となるようにアパート設計も変化しているように思います。

例えば、40坪ほどの土地を購入して30坪程度一戸建ての家を建てるとします。ぎゅうぎゅうに2階建ての家を計画したり、階段動線前提の3階建てを計画することも考えられます。 そうなると、いっそのこと賃貸アパートで暮らしていた時のほうが「合理的なまどり」で暮らせていたと感じるかもしれません。

次回後半は、賃貸住宅の暮らしやすさから見る、住まいのこだわりポイントを考えてみます。
お楽しみに!