佐藤望美

佐藤望美

ライフスタイル全般を手掛けるエディター・ライター。インテリア、整理収納、家事のコツ、ミニマリスト関連の書籍も数多く編集、執筆。トラベルエディターとして子連れ旅情報をまとめたWebマガジン「FOOTABY!」を運営中。

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モノを持つのが当たり前。それをどう整頓するかが課題だった30代

須藤昌子さんは整理収納コンサルタントとして個人向けの片付けレッスン、企業セミナーなどを行なっています。現在50代。家を整えることに半生を費やしてきましたが、若い頃に比べて考え方は少しずつ変化してきたといいます。

「今振り返ると、30代は何事にも全力で頑張れていました。モノを持つのが当たり前。どんどん足して、モノも、やらなくてはならないこともどんどん増えていきましたね。40代はそれに疑問を持ち始めた年代。足すことに疲れ、それを管理するための手間や家事が余計に増えていることに気づき始めました。肩に力が入りすぎて、心のバランスを崩した時期もあります」

「持たない」「やらない」選択をした自分を認めると、心がラクになる

50代の今は欲しいから買う、素敵だから持つのではなく、自分が心地いいかどうか。自分の気持ちがラクかどうかで、モノを持つか持たないかを決められるようになったという須藤さん。

「“これを選ぶ、これをする”という基準が明確にあります。心にゆとりも生まれましたね。モノだけでなく家事もどんどん削ぎ落としていますが、罪悪感はまったく感じていません。むしろそれでいい、それが心地いいと思えるようになったのです」

例えばキッチン家事。料理することは好きだという須藤さんですが、専用の便利な家電や調理道具は、今の暮らしに必要ないのだそう。

「随分前に炊飯器を手放し、土鍋でご飯を炊き始めました。もともとは、炊飯器のパーツをきれいに保つことにストレスを感じたことがきっかけ。予約炊飯や保温ができて便利ではあるけれど、私にとってはお手入れの手間というデメリットがそのメリットを上回ったのです。さらに今は土鍋を重いと感じるようになってきたため、フライパンでご飯を炊くことも多いです」

どう収納するかではなく、そもそも「持つべきかどうか」をしっかり考える

須藤さんはバットもざるも持っていません。揚げ物の衣をつけるときは、手持ちの器で代用。野菜を洗った後は、ラップフィルムをワークトップに広げて水を切っています。

「ざるは完全に乾くまでに時間がかかるから、その間はキッチンに出しっぱなし。収納場所もかさばります。整理収納のセオリーに当てはめると、ざるをどこにどう収納するかを考えるところですよね。でも、それに悩まないために“ざるを持たない”という選択をしてもいいのではないかと私は思うのです。水を切るための道具が必要だという固定観念にとらわれているだけで、ざるを使ってまで水をしっかり切らなければならない強いこだわりがあるわけじゃない。だから洗った野菜は両手を振って水を落とし、ラップの上にのせてある程度水分が少なくなれば、私の中ではOKなんです」

ラップを使うのはもったいない、と思う人もいるかもしれません。でも使用済みラップはIHコンロの掃除に使っているそう。

「ざるありきで、ストレスを感じながらざるを使い続けて自分の機嫌を損ねるより、私自身がどうすれば快適に過ごせるかを重視したい。そのために、それほど重要でない家事やモノを手放して暮らしていきたいと考えているのです」

本当によく使うモノは、実は驚くほど少ない。なくても代用できることが多いし、強いこだわりを持たずに使っているモノも、たくさんあるかもしれません。

「もし野菜の水を完全に切ることが重要で、ざるの管理や収納の手間をストレスに感じないのなら、もちろんざるはその人にとって必要な道具。結局、答えは自分自身の心の中にあるのです」

細かいラベリングはやめた。中身を見れば分かるモノにはわざわざつけない

「自分がラクできるほうへ」という考え方に変化したのは、家事だけではありません。収納も、見た目を整えることや細かく分類することをやめました。

「以前は何もかもボックスに入れ、カテゴリーごとに細かくラベリングしていました。でも、歳を重ねるにつれてボックスのふたを開けて取り出したり、かがんで引き出しを開けたりすることが億劫になってきたのです。そして目が疲れると、ラベルの小さな文字が読みにくくなってしまうことも……」

片付けることよりも、こうした何気ない動きにストレスを感じるようになった須藤さん。

「今は、ペットケア用品など見れば分かる収納にラベルはつけていません。また、クローゼットのボックスにはラベルがついていますが、疲れていてもすぐ認識できるように、イラストにチェンジしました」

家事はエリアごとにグルーピング。「3分でどれだけ掃除できるか」チャレンジも

須藤さんは毎日4時に起床。朝、家族が起き出してくる前に1日にやる家事のほとんどを終わらせてしまうそうです。

「早起きするのは家事が大好きだからでもなく、常に家を片付けておきたいからでもありません。日中に自分時間を確保したいからです。もう少しゆっくり寝たい、と思う日ももちろんあるけれど、そうすると予定が後ろにずれ込み、あとでモヤモヤするのが目に見えています。だから早く起きています」

とはいえ、須藤さんは“頑張って”家事しているのではないそう。

「無理して頑張らなくてもいいように、行動をひとまとめにして動いています。外にゴミを捨てに行き、戻ってきたときに玄関を掃除。2階に洗濯物を持って行くついでに2階の部屋を掃除。洗濯があと3分で完了するというタイミングで、どれだけ小さな家事をすませられるかチャレンジすることもあります。浴室を拭き上げたり、トイレを掃除したりと、洗面所周辺で3分もあれば意外と家事がはかどるものです」

収納も人生も、「みんながこうしているから」ではなく「自分がこうしたいから」で決める。それが須藤さんの今の暮らしです。

家イコール、家事を頑張っていることを証明する場所でなくてもいいと私は思うのです。重要ではないことへの全力投球はやめ、しなければいけないと思い込んでいたことをさらに緩めていく。そんな選択を今後もしていきたいです」

今回教えてもらったのは……

  • 須藤昌子さん
    ラクな暮らしと人生を手に入れる「しない片付け」を提唱する整理収納コンサルタント。整理収納サポート、企業向けコラムの執筆、テレビ出演など多方面で活躍。『死んでも床にモノを置かない。』『リバウンドしない収納はどっち?』など著書多数。公式ブログ「ROOM COZY 心地いい生活の始め方」

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