「わざわざ」のアクションが加わるとハードルが上がる。 収納はなるべくシンプルで単純がいい
今回ご紹介するのは、整理収納アドバイザー/ルームスタイリストのNagisaさん。中学1年生、小学4年生の息子さんを子育て中ですが、ご主人が長く単身赴任中のため1年を通してほぼワンオペで生活しています。
「こどもとの生活は、散らかるのが当たり前。そして、2人いれば性格や得意分野も違います。次男は苦なく片付けできますが、長男は出しっぱなしでも気にならないタイプ。でもこどもはそんなものだし、無理に難しい片付けをさせようとは考えていません」
小さなこどもや片付けが苦手な人にとっては「持ち上げる」「引っ掛ける」といった簡単な動作でも面倒に感じてしまうもの、とNagisaさん。
「引き出しを開けるだけでも立派な一手間です。中身を細かく仕切るなんてハードルが高すぎます。だから、わが家は置くだけ、カゴに入れるだけという収納を多用しています。例えばパジャマ。本当は脱衣所に戻して欲しいのですが、ポイっとそのままになっているのが日常です。だから、よく脱ぎっぱなしにしている場所にカゴを置くことにしました」

テレビ横にパジャマを入れるカゴをセット
「ここまで戻しに来てね、と無理に行動を変えるより、まずは動かなくても片付けられるように仕組みをつくりたかったんです」
同じくランドセル収納も、しばらくの間はリビングに第2の収納場所を設けていました。
「小学校に入学してすぐ、本来の定位置は長男の部屋に設けたフック。帰宅後にポイっとリビングに放置することが多かったので、リビングにもランドセル入れを置きました。アウターは玄関にフックを設置。いちいちハンガーにかけてクローゼットにしまうのは難しいと分かったからです。片付けが苦手なタイプには、自分の収納に合わせてもらうより、こちらが合わせてあげるほうが上手くいくと思っています。アクション数をできるだけ減らして、面倒に感じないようにすること。片付けの第一歩はハードルを上げすぎないようにしたいのです」
おもちゃの見直しは週末に10分。折り紙や無料おもちゃからスタート
おもちゃの整理は幼少期から一緒に取り組んできたそう。「いる」「いらない」の確認を繰り返し、ずいぶんと減ってきました。
「折り紙や無料でもらったおもちゃなど小さなものからスタート。少しずつの積み重ねで、今は判断がかなり早くなりました。一気にやるのは難しいので、週末に10分だけ。今日はこの引き出しをやろう、とエリアを小さく決めて続けています」
息子さんたちが手放しをする過程を見守ってきて、Nagisaさんが感じたこと。「片付けができる」と「ものを手放せる」は必ずしもイコールではなく、どちらも訓練で身につけられるということです。
「長男はどちらかというと片付けが得意ではないと思います。でも“あれもこれも全部いる”と言うタイプではなく、自分にとって大事なものを選びとる力は少しずつついてきたと思います。だから今残っているのは、本当に好きでずっと残しておきたいものだけ。小さな頃から少しずつ訓練してきたことが確実に実を結んでいるので、片付けに関してもこれからステップアップしていけると信じています」
家族みんなが楽になる収納ルール。「スペース全体をボックスで埋めない」「中身がすぐ分かる半透明を多用」
おもちゃに限らず、Nagisaさんが収納で意識しているのは中身が分かりやすいこと。
「パッと見て何が入っているのか分かることはとても大事です。よく使うものをふた付きボックスに入れないようにしているのはもちろんですが、棚とボックスの間にある程度スペースが生まれるサイズ感を意識しています。空間があれば、上から覗いて中身を確認することができる。そしてボックスを引き出すというアクションを飛ばしてものの出し入れができるんです」
棚にぴったりおさまっているほうが、見た目は美しいもの。でも、それよりも片付けやすさや使いやすさを優先したいとNagisaさんは話します。
「床に散らばったおもちゃ。拾ってそのままボックスに投げ込めるほうが、こどももママも楽ですよね。ちなみにレゴブロックは透明ボックスに収納しています。上からも横からもすぐ中身が分かるようにしたかったからです」
洗面所も、棚までのスペースを意識して収納。立った状態、しゃがんだ状態のまま、ボックスを引き出さずとも中身が確認できます。
「ドライヤーはオープンな『無印良品』のソフトボックスに収納しています。コードをきれいに巻くのはハードルが高いので、無造作に入れてOKというルール。ストック品も、あえて高さがハーフサイズの収納ボックスを選びました。全部隠すより、断然見やすくて楽です」
完璧は目指さず、片付けは週末だけでもOK。ハードルも下げることも大事
Nagisaさんのワンオペ生活はなんと9年目。仕事をこなし、ひとりで母業を務めていると、家事が追いつかない日も多々あります。
「家じゅうを完璧に片付け、それを1日中キープすることなんてできません。こどもの机や学用品棚はモノがあふれていることもありますが、平日はノータッチ。ただし、リビングとダイニングテーブルの上だけはきれいにしてから寝ようと決めています。他の場所は週末にまとめて片付けられればそれで良いんです」
こども部屋は「片付けなさい」ではなく、「一緒にやろう」と声をかけます。
「“お母さんも◯◯を片付けるから、あなたたちは自分の部屋をやってね”と息子たちを誘って、ゲーム感覚で始めます。やらされていると感じながら片付けるより、何倍も気分がいいですよね」
上からではなく、同じ目線で考える。Nagisaさんのスタイルは、苦手な人にも優しい思いやりの収納でした。