「片づけられない」のは、脳に理由があるって本当…?
“脳のクセ”によって分けられる8つのタイプと、それぞれの対処法を知れば、誰もが片づけが得意な「片づけ脳」になれるそう。
脳内科のスペシャリスト、医学博士の加藤俊徳先生にレクチャーしてもらいました。

HOUSTO 編集部

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片づけられないのには脳のクセによるタイプがある?「片づけ脳」とは

『片づけ脳ー部屋も頭もスッキリする!』(自由国民社)の著者・加藤俊徳先生は、MRIを使った脳画像診断の権威。脳画像からは、その人の性格をほぼ読み取ることができ、驚くかな、「片づけが得意か、不得意か」もすぐにわかるというのです。
「“片づけ脳”とは、片づけが得意な人の脳タイプ。左脳の思考系が発達しているため、考えたことを即行動に移すことができ、パッと見ただけで状況が判断できるのです。一方、片づけが不得意な人は、それぞれ脳に原因となるクセがある。脳には神経細胞の集団がつくられている“基地”のようなところがあるのですが、私はそれを“脳番地”と呼び、機能別に8系統に分けています。それぞれの脳番地が未発達だった場合に、片づけが苦手になるのですが、誰でも該当する部分を鍛えることで、発達を促すことができるんですよ」。
自分の脳の弱点と克服法を知って、あなたも「片づけ脳」を目指してみませんか?

あなたはどのタイプ? 片づけられない脳のクセをさっそくチェック!

あなたは、A〜Hのなかで、どこに多くチェックがつきましたか?
多くチェックがついたカテゴリーが、あなたの陥りやすい片づけ下手な部分、すなわち「特に鍛えるべき脳の部分」です!

A 目の前にあるのに見えない?探し物も苦手な「視覚系脳番地」が弱い人

見た情報を正確に処理できず、部屋が散らかっていても視覚情報としてインプットされない。目の前にあるものを「ない!」と探してしまう。歩いている時にすぐ人とぶつかってしまう。活字中毒や、スマホの連続使用などが原因で、知らず知らずのうちに視野が狭くなっていることも…。

→観察力アップでスッキリ!

弱まっている視覚系脳番地を回復させるためには、あちこち目を動かすのが一番。風景写真を撮る、果物狩りをする、キャッチボール、箒で掃き掃除をする、などが効果的です。電車の中ではスマホを見ずに、中吊り広告や、窓の外の風景を見るのもおすすめ。

B 散らかった部屋を見ると、脳がフリーズ!「理解系脳番地」が弱い人

必要なものと不必要なものを分けることや、ものを捨てるのが苦手。頭がかたく、応用がきかないこのタイプは、分類・整理、空間認知をつかさどる右脳側の理解系脳番地が弱いといえます。また、会議など複数人での会話も苦手だと自覚していたら、ぜひこの脳を鍛えるべし。片づけだけでなく、仕事もはかどるようになります。

→イメトレで空間認知能力を高めてスッキリ!

片づけをスムーズに進める空間認知能力を高めるためには、頭の中でものごとを映像化させる習慣づけを。思い浮かべた文字を利き手で何度も空書をしたり、自分の家や部屋の間取り図を紙に描いてみる。冷蔵庫の残り物を使って料理をするのも効果的です。また、自分とは価値観の違う人と積極的に交流することもトレーニングになります。多くの情報に接し、刺激を受けることが理解系脳番地を育てるからです。

C ダイエットは明日から…そんなタイプは要注意!「運動系脳番地」が弱い人

このタイプはズバリ、「面倒臭がり」。部屋が散らかっていてもすぐに動けず、ゴミ箱もいっぱいになるまで放置。外出が苦手か、外出ばかりの両極端な生活習慣で、座り仕事の人が多いのも特徴です。また、太り気味、ものを食べる時に片方の歯でしか噛まない、睡眠時間が短いなどの傾向も見られます。

→身近なところから、とにかく動いてスッキリ!

おすすめは、早起きして行う「寝起きお手玉」。また、ラジオ体操や朝の散歩も◎。歩くときはいつもより歩幅を広げ、階段を使うことをマイルールに。家族や友人との会話を意識的に増やし、口腔運動をするのも効果的です。ほかにも、床に落ちているものをかぞえながら拾う・歌いながら作業するなど、小さな習慣を積み重ねることで、運動系脳番地を鍛え、片づけが得意なスレンダーを目指しましょう。

D 自分で決める、がとにかく苦手…「思考系脳番地」が弱い人

何につけても選択することが苦手なので、要・不要の判断ができず、いらないものがどんどん溜まってしまうタイプ。買い物や飲食店での注文も苦手です。やることが多いとやる気が失せてしまう、食べ終わった後の食器をすぐに片づけられない、「どうしたらいいかな」と思考が頭の中でぐるぐる巡る…そんな傾向がある人は、思考系脳番地が衰えているかもしれません。

→瞬時の判断能力を鍛えて、スッキリ!

思考系脳番地は判断力と結びついているので、「判断をする機会を意識してつくる」ことがとても大切。外食時にメニューをパッと選ぶ、買い物をする際も時間や購入金額をあらかじめ決める、ものを処分する基準をつくることなどが効果的です。また、自分の将来や暮らしについてできるだけ具体的に考えたり、料理をつくりながら片づけも同時進行で行うなどのトレーニングもおすすめです。

E 部屋のサイズに合う家具を選べてる?「記憶系脳番地」が弱い人

自分が今日1日何をしたのか振り返ることが苦手…という人は、モノの置き場所の推移を覚えていられないため、元あった場所に片づけることができません。同じものを何度も買ってきてしまったり、収納グッズだけ増えて活用されていなかったり、冷蔵庫に賞味期限切れの食材が多かったりします。漢字がパッと出てこない、映画のストーリーがよくわからないという人も。

→記憶力を鍛えてスッキリ!

記憶力を維持するには、さまざまなことを何度も繰り返して思い出すことが大切。これまでの自分の知識や率直に感じた気持ちや感情と連動させると、記憶は定着しやすくなります。おすすめは、撮影した写真や動画を整理してアルバムをつくること。また、季節ごとの衣替えも◎。日頃の習慣としては、毎日決まった時間に行動する・時間設定をして動くことが有効で、間違い探しやトランプ遊びの神経衰弱なども効果的です。

F ワクワク、ドキドキがない。毎日がつまらない…「感情系脳番地」が弱い人

最近、ときめいたり、感動したりする機会が減っている。ドキドキワクワクしない。片づけをする気が起こらない。片づけをやり始めてもすぐに気が変わってしまう。主体性がなくなっていると感じている…そんな人は、感情系脳番地が衰えているのかも。感情系脳番地は、喜怒哀楽など感情をつかさどる脳番地で、一生成長し続けるといわれています。衰弱を放っておくことなく、豊かな気持ちを取り戻して、片づけ脳に!

→感受性を養ってスッキリ!

感情系脳番地を鍛えるには、感情を高揚させるアクションを自ら起こすこと。気分が良くなる感情を湧き出させるために、部屋に季節の生花や、懐かしさを感じる写真を飾るなど、空間づくりにひと工夫を。また、好きな音楽をかけて気分を高揚させながらの掃除も効果的です。ご当地の名物を食べに出かけたり、旬の食材で料理をするのも感情系脳番地のトレーニングになります。

G さっき言ったでしょ!と言われてしまう…忘れっぽい「聴覚系脳番地」が弱い人

聴覚系脳番地が衰えていると、聞いたことが頭に残りづらく、覚えていることができなくなります。男性に顕著な傾向で、言葉を聞きもらして何度も聞き返すことが多い人は要注意。調べ物をスマホやPCに頼ることで、人に話を聞かない人が増えているのも原因の一つ。一人暮らしや集団活動に参加することが少ない人も、その傾向があります。

→聞き取り力をアップしてスッキリ!

聴覚系脳番地を鍛えるには、「聞き取ろう」という意思が大切。おすすめは、ラジオを聴きながら家事をすること。語学や楽器を習ったり、ラジオ体操やダンスをすることも有効。ほかにも、自然の音に耳を傾ける・聞きもらしを防ぐために人の話をメモする習慣をつけるなどのトレーニングも◎。ホームパーティーを開いて人との関わりと片づけの機会を増やすことも効果的とされています。

H 家族にどうして欲しいのかが伝えられなくて部屋が散らかる「伝達系脳番地」が弱い人

家族が片づけに協力してくれるかどうかは、伝え方が肝心。意思を相手に伝えるのが伝達系脳番地の役割ですが、ここが衰えると、家族に「片づけて」を伝えることができず、散らかったままの家に…。人と会ったり、話すことが億劫になっている人に多くみられる傾向です。伝達系脳番地を鍛えて、思いを伝え、人を動かすマネジメント能力を高めましょう!

→言葉の力でスッキリ!

不特定多数の人が閲覧するSNSでは、文章をつくる際、内容がきちんと伝わるように構成を考えるもの。ブログやインスタグラムなどの発信は、伝達系脳番地が衰え気味の人には、思いを伝える訓練になります。手書きで日記を書くのも有効です。また、きれいに片づいている家を見たら、すぐに真似をしてみる。片づけをする前に、家族でアクティビティを楽しみ、コミュニケーションを図るのもおすすめ。人との会話の機会が減っているという場合は、音読をするのも◎。週に1度は実家に電話をするというのもいいでしょう。会話のやり取りは、伝達系脳番地を発達させてくれます。

脳のトリセツを知れば、何歳でも片づけ脳になれる!

加藤先生「医師になり、脳を研究して30年。MRIによる加藤式脳画像診断法をスタートさせて、10年以上になります。一万人以上の診断と治療の経験から、片づけられない傾向と対策がわかってきました。脳はとても柔軟で、いつまでも成長する器官。これは、勉強が一番苦手だった私自身が、今医師として働いていることでも実証できていると思います(笑)。苦手なことも、それをつかさどる脳番地を鍛えることで、克服できるのです。
現在、多くの受診者さんから『片づけられないんです』という悩みを聞きます。私自身も、実は片づけられないタイプでした。運動系脳番地と思考系脳番地が弱いという自覚があるのですが、朝に片づけをする工夫を続けることで、ずいぶん改善されたと思います。世の中には、さまざまな片づけ法に関する書籍、情報が溢れていますが、それらが誰にでも当てはまるというわけではありません。ならば、脳の弱いところを補強しさえすれば、誰もが片づけられる人に変わるはず。そう考えて、『片づけ脳』を書きました。
習慣を変えるのは、なかなか難しいものです。ここさえ鍛えれば!という強い意志を持って、トレーニングしてみてください。何歳であっても、脳は成長します。自分の脳のトリセツを知って行動すれば、片づけが得意になるだけでなく、気持ちが前向きに、暮らしも楽しくなることうけ合いですよ」。

今回教えてくれたのは…

加藤俊徳先生

新潟県生まれ。脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。14歳で「脳を鍛える方法」を知るために医学部進学を決意。米国ミネソタ大学、慶應義塾大学、東京大学などで脳研究に従事。加藤式脳画像診断法を開発、脳番地トレーニングを提唱する。著書に『アタマがみるみるシャープになる!脳の強化書』(あさ出版)、『脳が若返る最高の睡眠: 寝不足は認知症の最大リスク』 (小学館新書)など多数。

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