「2歳の息子と全力で遊べるのは今しかない」。小島よしおさんが選んだのは、これまでの仕事のスタイルを大きく変えることでした。育児のリアルに直面する中で学んだのは、完璧を目指すことではなく「人を頼る勇気」を持つこと。自身も葛藤したからこそ伝えられる、親が「持続可能」であるための抱え込まない工夫とは。インタビュー後編では、家族の笑顔を守るために小島さんがたどり着いた、家族との向き合い方を伺います。小島家の片付けルールなどを紹介した前編はこちら

ライター・山野井

ライター・山野井

思春期まっただ中の10代男子と、天然な夫との3人家族。鎌倉の小さな家で、インコとワンコと共に暮らしています。趣味は旅と料理、マイペースでフランス語を勉強中。

小島よしお プロフィール

1980年生まれ、沖縄県出身。早稲田大学教育学部卒業。2007年「そんなの関係ねぇ!」などのフレーズで大ブレイクし、同年の新語・流行語大賞にノミネートされる。現在は、お笑いライブやYouTubeチャンネル「おっぱっぴー小学校」での分かりやすい学習動画が人気を博し、こどもから大人まで幅広い支持を得ている。ジュニアアスリートフードマイスターなど多彩な資格も持ち、健康や教育への造詣も深い。

仕事時間を減らして、プライスレスな「今」への投資

多忙を極める芸能界で長年走り続けてきた小島さんですが、お子さんの誕生を機に、これまでの歩みを見つめ直し、大きな決断をしました。それは、「仕事の時間」を物理的に削り、家庭に充てるという、キャリアにおいてはとても勇気のいる選択でした。

「僕にとっては、それが一番大きな『手放し』でしたね。以前は、月に10日ほど泊まりの仕事が入っていたんです。そういう仕事のやり方が、当たり前だと思っていました。今は、多くても3日くらい。YouTube動画を作ったりする時間もなかなか取れなくなってしまったんですけど、それ以上に家庭の時間、こどもといる時間を優先したいと思いました」

もともと子育てに対する意欲は高く、女性だけに任せるという気持ちはなかった、と小島さん。

「家にいられるときは、子育てに関わることはなんでもやろうと思っていました。寝かしつけも、『寝られないなら、朝までつきあうぜ!』って気合いでいけるタイプ。だからイライラするということもなかったんですが、単純に仕事で家にいる時間がなかなか取れなくて」

事務所に正直に話した「仕事のセーブ」

人気が生命線の芸能界において、露出を減らすことは恐怖を伴うはず。葛藤もあったのでは?

「もちろん、不安もありました。だけど、自分の今の年齢と、こどもといられる時間の価値を天秤にかけたとき、お金を稼いだり仕事をしたりするのは60歳になってからもできるかもしれない。一方で、2歳のこどもと全力で遊べるのは今しかない。『そっちの方が圧倒的にプライスレスだろう』という思いが勝りました。それで、この世界に入って初めて、事務所に『仕事をセーブしたい』と相談をさせてもらったんです。ちょっとドキドキしながら」

想像以上に事務所は理解を示してくれ、ほっとしたそうです。

「思いきって話してみて、本当によかったと思います。前の家庭環境のままだったら、下手したら離婚してたんじゃないかな、と思うくらい、妻には負担をかけていたので。やっぱりワンオペ育児は大変ですよ。時間は与えられるものではなく、自分で作るもの。自ら動いて事務所とちゃんと話し合えたことは、僕と家族にとっては大きかったですね」

大胆な決断を後押ししたのは、2022年頃から続けてきたという資産運用の備えもあったからだそう。

「備えがあったからこそ、決断が踏めた部分はあります。これからも家族のために、お金のことはいろいろ勉強したいと思ってます」

「持続可能」な親であるために

育休が一般的になりつつある一方で、今でも仕事と育児の板挟みに一人悩むパパやママは絶えません。そんな「見えないハードモード」の中にいる人たちへ、小島さんは「まずは小さなSOSを出してみて」と呼びかけます。

「僕自身も事務所に相談するまで、人に弱みや悩みを見せられないタイプでした。『(他人に)求めすぎかな』と自分自身でブレーキをかけていたのかも。でも、思いきって言ってみたら、とても楽になれた。
今はみんなが『周りに迷惑をかけるから……』と自分で踏みとどまってしまっている状態に見える。つまり誰も倒れられない緊張状態だと思うんです。でも、誰か一人が勇気を持って姿勢を崩せば、きっと周りが支えてくれます。そして今度はその支えた人がバランスを崩した時に、また別の誰かが支える。そうやってみんなが支え合うフェーズに行くのが理想だと思うんです」

はじめの一歩を踏み出さなければ、何も始まらない。
自分の職場がSOSに応えてくれるかどうかを知ることで、その後も長く働けるかどうかを見極めることもできる、と小島さんは言います。

「柔軟に対応できる社会であってほしいですよね。まずは勇気を持って人を頼ってみる。それでダメなら、仕事の効率を良くするとか、別の道を探すということになるのかもしれないですけど。でも、やっぱり『頼り合える関係』が一番良いと思うな」

また小島さんは、一人で育児を抱え込みがちなママたちに対しても、自身の経験を生かしたメッセージを寄せてくれました。

「とにかく、ママたちも『一人になれる時間をうまく作ってください!』と伝えたいですね。僕も自分の家族を見てすごく感じたんですけど、こどもと離れる時間をいかに作るかが大事だな、と。どれだけかわいくても、365日一緒にいたら、大変ですよ(笑)。自治体の一時預かり事業や、ファミリーサポートセンターなど、使えるものはどんどん頼ってほしい。中には一回500円程度で利用できる補助もあるはず。それは、『手抜き』じゃないと思うんです。自分が『持続可能』な親でいるためにも、抱え込みすぎないシステムを自分で持つ努力をしてほしい。一人でリフレッシュする時間を持つことで、ママが笑顔になれたら、こどもたちも笑顔でいられると思うんですよね」

未来の共演を夢見て

今2歳の息子さん。どんな大人になってほしいと考えていますか?

「優しい人に。自分の好きなことに没頭して、自分の世界を持っている子に育ってくれたらうれしいです」

教育については、「さりげない作戦」を構想中だそう。

「僕は人間学が好きなので、こどもも自然とそのジャンルが好きになってくれないかな、と。僕の実家にもことわざや歴史の漫画がいっぱいあって、読めと言われなくても読んでいたので、そういう本を家じゅうに散りばめておこうと思ってます。今もけっこう、パズルや絵本に興味を持ってくれているので、そこを伸ばしていきたいですね。幼稚園は奥さんと検討中ですけど、正直、今の保育園のままでもいいんじゃないかな、とも思っています。のびのびと見守ってくれている保育園がなかったら、ここまで仕事と両立して育てることはできなかった。保育園、本当にありがたい存在ですよ」

お子さんの習いごとについても、これから選ぶのが楽しみ、と目を細めます。

「どんな習いごとも、本人が嫌がったらさせないですけど。バレエは体幹も鍛えられるし、怪我もしにくくなりそうで魅力的。ピアノもいいなあ。いつか息子がピアノを弾いて、僕がその横で踊る。街頭のピアノで、そんな『連弾』ならぬ『連弾舞踊』ができたら。スカイツリーあたりで、人だかりができちゃうかもしれない(笑)。その日のために、僕も感性を磨き続け、彼にとって誇れるパパであり続けたいと思います。あ、まずは今夜もちゃんと、部屋着をたたむところからですね」

一見、SOSとは遠いところにいるように見えた小島よしおさん。しかし、家族との時間は自らの努力だけでは得られない、と勇気を出したエピソードは印象的でした。子育てにおける「周りへの忖度」は昔の話。これからは、みんなで支え合える「持続可能」が家庭にとってもキーワードになるかもしれません。家族との時間を全力で楽しむ小島さんは、優しくてかっこいい、とても素敵なパパでした。

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