実家じまいや、実家片付けをスムーズに進めるための心構えや具合的な進め方を、時間×片付けコンサルタントの下村志保美さんにお伺いしました。下村さんはご自身の実家じまい経験者でもあります。下村さんの実家じまい実体験はこちら

HOUSTO 編集部

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実家が片付かないのはなぜ? 具体的な理由を探れば、解決策も見えてくる

下村さんのお母様は昨年、実家じまいを行いケアハウスに入居。下村さんはサポート役に徹して遠方から見守りました。それに加え、整理収納サポートを仕事のひとつとして活動しているため、実家片付けの依頼を受けることも多いそうです。

「モノだらけの実家を親に片付けてもらうにはどうすれば良い?とよく相談されます。まずは、なぜそんな状況になっているのかをよく考えてほしいのです。親も片付けたいと思っているけれど体力的に難しいのか、片付けはできそうだけれど粗大ゴミを出すのが大変なのか、そもそも家のモノを手放したくないと思っているのか。たいていは複数の要因が折り重なっていますが、片付ける意欲や意志があるなら、こどもが手伝ってあげたり、ゴミ出しを担当してあげれば前に進めそうですよね」

問題は、親自身が片付けの必要性を感じていないケース。親自身が今の暮らしに不便を感じていない、将来への不安があまりないのならば、なかなかうまくいきません。

お母様が暮らしていた頃の実家

「親を説得しようと思わないことが大事です。“片付けたほうがいいよ”“捨てれば?”と押し付けるほど、親は反発してトラブルになりがち。実家は親の家。そして実家にあるモノは親のモノです。周りから見れば不要なモノに見えても、親からすれば思い出が詰まった大事なモノかもしれません。それを頭ごなしに否定したり、命令したりすると、親だって傷つくはずです」

実家にある自分のモノを片付けるのが先。まずは自分が動いてみて

親に片付けを促す前に、してほしいこと。それは実家にある自分のモノの整理だと下村さんは言います。

「親のモノを気にする前に、まずは自分のモノをゼロにする努力をしましょう。若い世代のお客様の片付けサポートをしていると、“これは使わないので実家に送ります”という言葉を本当によく耳にします。親御さんが困りませんか、と尋ねると、実家にはまだ自分の部屋があるから大丈夫だと。今すぐ決断ができなくても、時間を置くことで手放せるようになるモノも確かにあります。でも根本的な解決にはならないし、実家に送ったモノはいずれ自分自身で片付けなくてはなりません。問題を先送りにしているだけなのです」

下村さん自身も、実家を出て30年以上経ってもまだ学生時代の思い出の品(手紙や写真)が実家の自室に残っていたそう。それらは実家じまいを前に自分で選別し、処分しました。

「片付ける」のではなく、「大事なものを選び取る」気持ちで取り組む

では、どのように話を進めていけば良いのでしょうか?

「実家を片付ける目的を今一度、確認してみましょう。将来自分が片付けるときの負担を減らすのはもちろんですが、親が安全に、快適に暮らせるようにするためではありませんか? だからあふれるモノを捨てる、片付けるのではなく、大事なモノを選び取るという視点で取り組んでほしいと思っています。とりあえず今は捨てなくても良い、まずは分けるだけで良いんです」

たとえばクローゼット。好きな服、よく着る服を親に選んでもらいます。そうすると、残りは処分予備軍ということに。大事な服とそうでもない服を仕分けることで、後から処分することになっても迷わずにすみます。

買い物という楽しみを奪うのではなく、さりげなくモノを減らす提案を

「親子で入院セットをつくるのも良いですね。急に何かあったら困るから、大事な服やモノをまとめておこうと話がしやすいと思います。選別中に“この服はね……”と思い出話が出てきたら、ぜひ聞いてあげてほしいです。話すことで満足し、“もういいかな”と手放しても良い気持ちになることもあるからです」

昔からあるモノをため込んでいるだけでなく、今も実家はどんどんモノが増え続けているんです、と悩む人も少なくありません。

「高齢者にとって、買い物はささやかな楽しみのひとつ。足の踏み場もなくモノが散らかっているような状況でない限り、その楽しみを奪うのは酷なような気もします。モノが多すぎて心配なら“気に入ったから私がもらってもいい?”とお願いして、一部引き取ってみるのも手。使わないなら捨てなよ、と言われると親は嫌な気分になりますが、我が子にあげるのなら喜んで手放すかもしれません」

重要書類の整理やパスワード管理から始めるのもおすすめ

真夏や真冬など片付けで体を動かすのがつらい時期は、イスに座ってできる書類整理に取り組むのもおすすめです。

「これも服と同じ考え方で、大事なモノを選り分けるのです。保険証券など重要書類を一箇所にまとめ、銀行・金融関係のID・パスワードなどを書き出してみましょう。一番のポイントは、“何かあったときのために家族が困るから、私もメモをまとめるね。だからお母さんも一緒にやろう”などと対等なスタンスで声かけすること。そして、“お母さんに私のメモを預けるから、持っていてほしい。その代わりに私もお母さんの分を預かるね”と話してみてはいかがでしょうか。年を取っても親は親。頼られたいし、プライドもあるものなのです」

自分も親も確実に年を取る。それなら、今すぐ始めたほうが良い

親が元気なうちは、「まだいいか」「そのうちいつか」などと軽い気持ちでいられるかもしれません。でも、実家は「いずれ」「誰か」が必ず片付けなければならないのです、と下村さん。

座卓はお寺に寄進した

「親側は“死んだら全部処分していいから(今はやらなくて良い)”と思っているかもしれませんが、亡くなったら親の持ち物はすべて遺品になります。捨てていいと言われても、なかなか難しいですよね。親も年を取るし、自分だって年を取る。取れば取るほど体は動かなくなり、ますます手をつけにくくなります。どうせ片付けることになるなら、早いうちにケリをつけて今からずっと気持ちよく暮らせるほうが良いと思いませんか?」

家が片付き、親が快適に暮らせて、後々の自分も楽になる。一石三鳥です。

「実家を片付ける時間は、親と共に過ごせる貴重なひとときだと私は思います。出てきたモノの思い出を語って笑い合う。今しかできない、楽しい時間になればさらに素敵ですよね」

片付けをネガティブなものにせず、前向きで楽しいものだととらえる。そんな心持ちで、実家の片付けと向き合ってみてはいかがでしょうか。

今回教えてもらったのは……

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