収納について考えるとき、つい忘れてしまいがちなのが「安全性」への意識。
大事なのはどうしまうかではなく、いかに安全に取り出しやすく使いやすい環境を整えるか。住生活アドバイザー すはらひろこさんに、ものを安全に心地よく使うための収納法を伺います。安心収納のキホンを押さえ収納プランを考えていきましょう。

すはら ひろこ

すはら ひろこ

株式会社アビタ・クエスト代表。一級建築士、インテリアコーディネーターの資格を活かした整理収納アドバイスに定評がある。

https://ouchisuteki.com/

住まいの中で通路となる玄関、廊下、階段は、人がスムーズに動くことができるよう整えておきたい場所です。とくに、一日のスタートをきる家族を送り出し、外から帰宅する家族や来客を出迎える、住まいの顔ともいえる大事な玄関はスッキリ気持ちよい印象にキープしておきたいもの。人の出入りを妨げることなく安全に、限られたスペースを効率よく活用できるポイントをゾーンごとに考えます。

ZONE1:靴箱(下駄箱)

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  • 靴箱は「靴箱」と呼ぶものの、シューズ以外にも傘や靴のお手入れグッズ、アウトドアアイテム、子どもの遊具、非常用の防災セットなど、小さなものから大きなものまで玄関まわりのさまざまなものを収納するスペースです。そのため、収納スペースの大きさに合わせて、持ちものの整理整頓をしておくということが大前提。あれこれとスペースいっぱいに詰め込むと、扉を開けたときに中身が飛び出す恐れがありますので注意しましょう。
    そして、取り出す時の危険を軽減するために、大きなもの、重量のあるものを高い場所にしまわないということをまず意識します。

棚板の数が少なくて、棚板と棚板の間のスペースが無駄に空いてしまうのが気になる際は、棚板を増やすことで収納量が増え、出し入れしやすく改善されます。ホームセンター等で販売されている突っ張り棚、突っ張り棒を活用すると手軽で便利です。

ZONE2:靴箱(下駄箱)のカウンタースペース

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  • 靴箱がカウンター形式になっている玄関では、帰宅した時に部屋のカギや郵便物、帽子、子どもの自転車用ヘルメットなど、無意識にものを置いてしまいがち。そのまま置きっぱなしにはせず、部屋の中の定位置まで持っていくように習慣づけたいものです。
    出入りのことを考えてカギを玄関に保管したい場合は、専用のケース、かけられるフックなどを用いて紛失を防ぎましょう。壁にコートフックを取り付けて、上着や帽子などを掛けておけるようにするとわかりやすく、見た目もスッキリします。

ZONE3:玄関のたたき

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  • 玄関のたたきに靴が散乱していると、滑ったり、転んだり、つまづいたりして危険です。靴を出しておくなら、家族一人につき一足におさえて、片側に寄せて通路スペースを確保しておきましょう。

    所有している靴が多く、どうしても靴箱に収まらないせいで散らかってしまうという場合は、別の場所で保管することも必要。たとえば、冠婚葬祭用の靴やシーズンオフの靴を押し入れやクローゼットを活用して収納するのも手です。

「靴は靴箱に収納しなければならない」といった固定観念をなくして、効率よく収納を考えてみることが快適な空間を手に入れることにつながります。

またベビーカーを置く場合は、通路の妨げにならないように折りたたんで立てかけておきましょう。

ZONE4:扉の上の収納スペース

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  • 収納スペースが限られている玄関では、突っ張り棚や突っ張り棒を使って、扉の上の空間を収納スペースとして活用するケースもあります。その場合は、突っ張り棚や突っ張り棒の耐荷重をきちんと確認し、正しい方法で取り付けて落下を防ぐことが肝心です。定期的に弛みを確認することもお忘れなく。

ZONE5:廊下

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  • 部屋と部屋をつなぐ廊下は、災害時には重要な避難経路となります。廊下にカラーボックスや背の高い書棚を置いていると、災害時に倒れて避難経路を塞ぐ可能性があり危険です。棚が倒れなくても、棚の中身が廊下に散乱して避難に時間がかかるといったケースも。ものの収納場所として廊下を選ぶのは避けましょう。

ZONE6:階段

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  • 他にスペースがなく、階段に一時的に子どもの遊具や本、宅配された荷物などを置いているご家庭がありますが、階段は廊下同様に通路となるスペースです。ものを置く場所として適しません。止むを得ず置く場合は、収納ボックスにひとまとめにして端に寄せておきましょう。